佐藤 和紀(さとう かずのり)
常葉大学 教育学部 初等教育課程 専任講師。
上越教育大学大学院修士課程修了。東京都公立小学校教諭・主任教諭を経て現職。この間、東北大学大学院博士課程後期に編入学。文部科学省「情報通信技術を活用した教育振興に資する調査研究」パフォーマンス評価検討委員、同 学校における ICT 環境整備の在り方に関する有識者会議 効果的なICT 活用検討チーム委員、同 次世代の教育情報化推進事業「情報教育の推進等に関する調査研究」企画検討委員等を務める。
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生活・しつけ
小学1年生 2017年11月7日の記事
2020年より、小学校でもプログラミングが授業に導入されます。その目的は、プログラミングコードを書けるようになることではなく、プログラミング的思考を身につけることなのだとか。学校の授業以外でも、プログラミング的思考力を伸ばせたらいいですよね。常葉大学教育学部初等教育課程 専任講師の佐藤和紀さんにお伺いしました。
まず、改めてプログラミングとは何か、またプログラミング的思考とは、どのようなものなのかを教えてください。
「プログラミングは機械などが動くルールや仕組みを制御するもので、『順序』『分岐』『繰り返し』の3要素で成り立っています。『プログラミング的思考力』とは、ものごとを見たときに『こういう順序で、こういう分岐の条件で成り立っている』など、分解して考えられる力だといえるでしょう。また、コンピュータで動いているものが、どのようにプログラムされているかを予想できる力も含まれます」(佐藤さん)
佐藤さんいわく、これらを生活の場面にちりばめることが大切なのだそう。日常的にプログラミング思考で考えるには、親の声かけが手助けになるそうです。
「子どもに『よく考えなさい』と言う親御さんがいると思うのですが、それだけでは子どもに伝わりにくいでしょう。『順番に考えてみよう』や『分類して』『比較して』など、『○○して考えよう』と促すことが大切です。例えば、自宅での時間管理について『順番に考えてみよう』『やることを分類して考えてみよう』『平日と休日を比較して考えてみよう』といった具合に、思考する方向性を示してあげるのです。そのように考える経験を積めば、声かけがなくても自分で考える力が身につきます。だから、大人の『問い』が大切ということになりますね」(佐藤さん)
順番に考えたり、分類、比較という手段で考えたりすることによって、子どもにどんなよいことがあるのでしょうか?
「単純に言うと思考する力が身についていくと考えられます。ものごとを論理立てて考えられるので、思いつきやひらめきだけを頼りにしません。根拠や理由を重視できるので、ものごとに惑わされない力や、自分の考えを客観的な根拠を示しながら説明する力がつくでしょう」(佐藤さん)
「思考力」とよく耳にしますが、当然ながらただ単に考えればいいというものではありません。思考する方法を身につければ、考えることにより正しいことや大切なことに近づくことができるはずです。
また、情報リテラシーを高める意味でも、思考力は頼りになるのだそう。
「情報がこれだけ溢れている中で、見聞きした情報を比較したり、分類したり、根拠やプロセスを考えられるという力は、ものごとを正しく見極めるために重要になるはずです」(佐藤さん)
親からの声がけ以外にも、思考力を身につけるための具体的な方法はあるのでしょうか?
「『思考ツール』を使うとよいかもしれません。例えば、思考ツールのひとつに円を重ねて共通点や相違点を表現する『ベン図』があります。ベン図を使うことで、比較して考える力が身につきます。ほかにも、関連づけて考えるイメージマップ、ものごとを分類したり整理するマトリックス(表)など。インターネットで検索すると出てきますし、書籍も出ているので、それらを参考にするといいでしょう」(佐藤さん)
ベン図を使って説明したり、子どもに考えさせるのは家庭でもできそうですね。可視化することで理解が深まり、そのうち頭の中でも同様のことができるようになるそうです。
「プログラミング的思考というとコンピューターをイメージして気後れしてしまう方が多いようですが、考え方はこれまで教育でやってきたことと大きくは変わりません」(佐藤さん)
思考ツールの一部は、教科書にも登場するのだそう。ただし、家庭でも親が積極的に使っていれば、子どもにはより思考力が身についていくのでしょう。
(取材・文:栃尾江美)
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