上田玲子(うえだ れいこ)
帝京科学大学こども学部幼児保育学科教授。専門は母性・小児栄養。離乳食や子どもの食生活に関する多くの著書を持つ。
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生活・しつけ
小学1年生 2016年7月5日の記事
今回は、小学校低学年の時期特有の食に関わる問題について、栄養学の専門家である帝京科学大学教授・上田玲子先生にうかがいます。
●歯の生え替わりの時期は咀嚼力が落ちる
前回、小学生の野菜不足には、この時期特有の問題があるとおっしゃっていましたが、それは何でしょう?
上田 「よくお母さんたちから『うちの子は野菜を本当に食べなくて』などと相談を受けますが、それは歯の生え替わりが原因かもしれません。
永久歯は6〜13歳くらいまでの間にはえ替わりますが、その時期は咀嚼力がぐんと落ちてしまいます。特に奥歯がないときは、レタスの葉やセロリ、野菜以外では油揚げ、細切れのお肉などが食べにくいですね。
それがわからず、繊維の多い野菜などを食べさせていると、子どもは食べるのに苦労して、かえって野菜嫌いになってしまうこともあります。
小学生の間は、子どもの歯の状態をよく観察して食事を作るようにしてください。奥歯のない時期は、野菜はお味噌汁やスープに入れるなど、食べやすい状態に調理して出してあげるといいでしょう」
歯の生え替わりが、食生活にそこまで影響するとは思いませんでした。家庭でも、子どもの歯のチェックが大切なんですね。
●夕食が遅くなる傾向が
上田 「もうひとつは、夕食の時間が遅くなる傾向があるということです。共働きの家庭が増えるということもありますが、子どもが塾や習い事に通っているため、帰宅が遅くなってしまうんです。
夜遅くに夕食を食べると、胃腸の働きが低下して、朝ご飯が食べられなくなってしまいます。だから理想を言えば午後6〜7時、遅くても7時台には食べてほしいですね。
家族そろって食べることも大切ですが、どうしても遅くなってしまうときは、せめて平日は子どもだけ早めに食べさせるようにしてはどうでしょう。例えば、子どもには、早い時間におにぎりチャーハンなどのご飯類を中心に食べさせておき、親が後から食べるときに、野菜を中心にしたおかずを一緒に食べるようにするのもひとつの方法です。
それぞれの家庭にあったやり方を工夫して、無理なくできるようにしてください」
「家族みんなで」にこだわりすぎないことも大切なんですね。
●高学年以降は「やせ」志向も問題に
上田 「肥満も問題ですが、最近問題になっているのが若い子の『やせ』です。小学校高学年になると、特に女の子にやせ傾向が見られます。その傾向はそのまま続き、10代でも栄養不足のまま成長した女性が出産すると、低出生体重児が生まれる割合が高くなります。
先進国で低出生体重児が増えているのは日本だけです。低出生体重児でもっとも問題なのは、将来、肥満をはじめとした生活習慣病や発達障がいなどになりやすいということです。そのため最近では、妊娠期にお母さんの体重が適度に増えることを奨励しています。
やせの問題は、美的感覚や親世代の意識の問題もあるので、簡単に解決するのは難しいかもしれません。ただ、極端なやせ志向は、その子の将来に影響してくるということをお母さんがまず認識して、子どもに危険性を伝えるようにしてほしいと思います」
「やせ願望」は多くの女性にあるものですから、誰にでも陥る可能性がありますね。1年生のうちはまだ大丈夫ですが、将来を考えて、今のうちから気をつけたいと思います。
上田先生、ありがとうございました。
次回は、子どもの食についてのお母さんたちの悩みを取り上げます。
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