細部千晴
細部小児科クリニック院長。
日本小児科学会小児科専門医。子どもの心の相談医。
地域医療と子育て支援に力を入れ、乳児健診・予防接種・育児相談以外に思春期外来を設けている。
著書に『イラスト・マンガで育児の悩みをラクにするBOOK』(成美堂出版)、監修本に『この1冊で安心 はじめての育児辞典』(朝日新聞出版)がある。
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生活・しつけ
年長 2017年1月17日の記事
もしも子どもがノロウイルスに感染してしまったら、家庭でどのようにケアすればいいのでしょうか? 細部小児科クリニック院長 細部千晴先生にお話を伺いました。
●嘔吐や下痢によって起こる脱水症に注意
細部 「ノロウイルスによる感染性胃腸炎には、今のところワクチンや抗ウイルス薬がなく、対処療法が行われます。
特に、体力が弱い小さなお子さんがノロウイルスに感染した場合、下痢や嘔吐によって脱水症にならないように注意してください。
症状を悪化させないためには、水分や栄養の補給が大切です。
下痢や嘔吐を繰り返すと、水分だけではなく消化液(胃液・腸液)に含まれるナトリウム、カリウムなどの電解質も体外に出ていきます。
脱水症対策というと水分だけを補えばいいというイメージがあるかもしれませんが、水、お茶では電解質や糖分が足りず、手足が冷たくなったり、ぐったりしたりして脱水症が進行してしまうかもしれません。
水分補給には、『経口補水液』を選んでください。
※軽度~中度までの脱水症状の場合:手足が冷たく、尿量が少ない、だるそうにしている。口の中が乾燥している→経口補水液で水分を補う。
脱水症状が重い場合:ぼ~としていて、水分補給ができない。口の中が乾ききっている。手足は冷たく、チアノーゼ〈紫色の皮膚の色〉があり尿も最小限しか出ない→急いで受診をしてください!
『経口補水液』には、水分とともに電解質、糖分が含まれています。スポーツ飲料よりも体に吸収されやすい飲料です。ドラッグストア、医療機関の売店、調剤薬局などで購入することができ、乳幼児用のものもあります。
『経口補水液』は、表示の目安量を参考に、下痢や嘔吐があるたびに飲ませてください。
水分と電解質、糖分を補うことで尿が出るようになり、脱水症状からが回復していきます。
また、食事では、脂っこいもの、繊維質のもの(ごぼう、海藻など)、辛いものなど、胃腸に負担がかかるものを控えてください。
消化のいいおかゆ、野菜や豆腐をやわらかく煮たみそ汁などでエネルギーや塩分をとるのがおすすめです」
●子どもが吐いてしまった場合の処理の仕方は?
細部 「吐物や便にはノロウイルスがたくさん含まれています。放置して乾燥すると、空気中にウイルスが飛んで二次感染につながるため、すぐに処理しましょう。
床に吐いてしまった場合、吐物を手でさわったり、ウイルスを吸い込んだりしないように、エプロンや使い捨ての手袋、マスクなどをつけます。
吐物はタオルではなく、使い捨てのペーパータオルなどで拭き取りましょう。
そして、ペーパータオル、手袋、マスクなどはビニール袋に入れ、しっかり密閉してから処分してください。
また、ノロウイルスの消毒にはアルコールはあまり効果がなく、塩素系消毒剤の『次亜塩素酸ナトリウム』(※)が有効だといわれています。
※『次亜塩素酸ナトリウム』は薬局などで購入できます。家庭用の次亜塩素酸ナトリウムを含む塩素系漂白剤でも代用が可能です。使用するときは、必ず使用上の注意をよく読んでください。吐物は酸性で、塩素系漂白剤をそのままかけると有毒なガスが発生するので注意してください。
カーペットに吐いてしまった場合は、汚物をふき取ってからスチームアイロンで熱消毒する方法もあります。
パジャマなど衣類に吐物がついたら汚れを落とし、洗濯用漂白剤で漂白しましょう」
●症状が落ち着いた後も油断しないで
細部 「下痢、嘔吐、腹痛、発熱の症状が24時間なくなり、いつも通り食事できるようになったら登校・登園できます。
しかし、症状が落ち着いても、便の中にノロウイルスが残ります。(1週間~10日、1か月近く、少量のウイルスを排出することがあります)
特にトイレ後の手洗いをていねいにすることを心がけてください」
細部先生、ありがとうございました。
脱水症にならないための水分補給がとても大切だとわかりました。
ノロウイルスに感染していなくても、日頃から手洗いをしっかりして冬場に流行する感染症を予防したいですね。
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細部千晴
細部小児科クリニック院長。
日本小児科学会小児科専門医。子どもの心の相談医。
地域医療と子育て支援に力を入れ、乳児健診・予防接種・育児相談以外に思春期外来を設けている。
著書に『イラスト・マンガで育児の悩みをラクにするBOOK』(成美堂出版)、監修本に『この1冊で安心 はじめての育児辞典』(朝日新聞出版)がある。
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