鈴木さや子
ファイナンシャルプランナー。日本FP協会会員®。
国内損害保険会社に勤務した後、退職して2人の女の子を出産。育児をしながらFP視覚を取得し開業。個人のマネー相談のほか、「教育費セミナー」や「ママと子どものお金教室」などセミナーを多数開催。
ホームページ http://mamatano.net/
【小学1年生】と【年長】ママのお役立ち情報を配信!
週末・その他
年長 2015年12月1日の記事
前回はパート勤務のお金の基礎知識として、所得税や社会保険料の納付義務が発生する年収について、ファイナンシャルプランナー(FP)の鈴木さや子さんにお話をうかがいました。
2016年10月からは、今よりも低い年収に社会保険料の納付義務が発生することが決まっています。今回は、この件について、引き続き鈴木さんにうかがいます。
●条件を満たした場合106万円から社会保険料の負担が発生
来年度から、短時間労働者に対する厚生年金・健康保険適用の基準が拡大されるということでしたが、これはどういうことでしょう?
鈴木 「前回お話ししたように、これまでは、パートで週30時間以上(正社員の所定労働時間が40時間の職場の場合)働いている人や年収130万円以上の人には健康保険や厚生年金などの社会保険料の負担が生じてきました。それが、2016年の10月からは以下のような条件をすべて満たしている場合に変更になるのです。
・労働時間が週20時間以上
・月額賃金8万円以上(年収106万円以上)
・勤務期間1年以上
・従業員501人以上の企業
夫が会社員や公務員の場合、年収が106万円を超えると、毎月1万円以上の社会保険料の負担が生じます。また、仮に年収が120万円としたら、ざっくり計算しても、平均余命まで生きた場合に将来もらえる厚生年金の総額よりも、支払う社会保険料のほうが高くなる可能性が濃厚です。単純に損か得かと言われれば『払い損』と言えるでしょう。
ただし夫が自営業の場合は、妻が専業主婦であっても、国民年金や国民健康保険の保険料を支払わなければなりません。社会保険は、会社が一部を負担してもらえることもあり、国民年金よりも保険料がぐっと安くなります。ですから、妻自身が社会保険に加入したほうが保険料が下がるうえ、将来もらえる年金も増えてメリットのほうが大きくなります。」
●まずは「何のために働くか」を考えて
2016年10月以降も、社会保険料を払わずに働くには、どうすればいいでしょう?
鈴木 「具体的には、以下のどれかに当てはまるように働けば、社会保険料負担は免除されます。
・働く時間を週 20 時間未満にする
・収入を減らす (月額賃金8.8万円未満にする)
・従業員が 501 人未満の企業に転職する
ただし、最後の項目に関しては、いずれは501人未満の企業も同様の条件が適用されていくことになるでしょう。
いずれにせよ、社会保険料を払わずに収入を得ようとするなら、パートでの年収の上限額が従来よりも減ってくるのは確かです。その分は、やりくりや塾の通わせ方、教育費の貯蓄計画などを変更したり、働きに出る前より生活費が上がらないよう生活レベルを変えないといった工夫をして補っていきましょう。
ただ、とにかく余裕を持った教育費計画を立てることが目的なら、これを機に、手取り額が社会保険料の負担を超えるまで仕事量を増やしてもいいでしょう。一般的にはおおよそ年収160万円くらいが境と言われています。
私個人としては、もしこれから働こうと考えている方は、損得だけで働き方を制限するのではなく、何のために働くかということをよく考えて、働き方や職種を決めることをおすすめします。
子どもが巣立った後の自分の人生もとても大切なもの。せっかく働きに出ると決めたのなら、所得税や社会保険料で多少損になるとしても、自分の将来につながりそうな職種で、地道にキャリアを積み重ねていくという選択肢もあると思います。たとえ多少『払い損』になったとしても、やりがいやスキルなど将来的には損をした部分を上回るものを得られるかもしれませんよ」
子どもだけでなく、自分の将来につながる働き方が見つかるといいですね。
鈴木さん、どうもありがとうございました!
教育資金に関する他記事はこちら
ファイナンシャル・プランナーの鈴木さや子さんの他記事はこちら
毎週木曜にメルマガ発信中!
ご登録はこちらから↓
ツイッターもやっています!
鈴木さや子
ファイナンシャルプランナー。日本FP協会会員®。
国内損害保険会社に勤務した後、退職して2人の女の子を出産。育児をしながらFP視覚を取得し開業。個人のマネー相談のほか、「教育費セミナー」や「ママと子どものお金教室」などセミナーを多数開催。
ホームページ http://mamatano.net/
『ママノート』ツイッターやっています!フォローいただけたら幸いです。