鈴木さや子
ファイナンシャルプランナー。日本FP協会会員®。
国内損害保険会社に勤務した後、退職して2人の女の子を出産。育児をしながらFP視覚を取得し開業。個人のマネー相談のほか、「教育費セミナー」や「ママと子どものお金教室」などセミナーを多数開催。
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年長 2015年11月30日の記事
子どもが小学校に入学すると、子育ても少し落ち着く反面、これから増える一方の教育費について気になり始めます。節約や夫の収入アップには限界があるし、自分もパートなどで働いたほうがいいのかな……などと考えている専業主婦の方も多いのではないでしょうか。でも、「自分の収入が増えると、夫の税金が増える」とか「働きすぎるとかえって手取りが減ることがある」といったことも耳にします。
そこで今回は、パートで働くときの正しいお金のルールや知識について、ファイナンシャルプランナーの鈴木さや子さんにお話をうかがいました。
●「働く自分」をイメージすることが大切
将来の教育費を貯めるために、子どもが小学校に入学したら働き始めようかと考えている方もいるようですが、専業主婦が働き始めるのにベストなタイミングはありますか?
鈴木 「働くかどうかや働き始める時期などは個人の考えによって違うので、誰にとってもこれがベストというものはありません。また地域などによっても、専業主婦の方が働き始める時期は異なってくるでしょう。
そういう前提のうえで私の周囲の方たちの傾向を見てみると、1年生の時点で仕事のある方は入学前から働いている人がほとんどで、入学期を機に働き始める専業主婦の方はあまり多くはありません。
低学年のうちは、まだ子どもも学校に慣れていないし、保護者が学校に出向く機会も意外に多くて忙しいんですね。子どもにカギを持たせるのも不安が残ります。高学年になると、塾などの教育費が増えてくるため、パートなどに出られる人がぐんと多くなります。
マネープランという点で見れば、金額の多少に関わらず、妻が働くのと働かないのとではとても大きな差が出るのは確かです。
今すぐにではなくとも、いずれ働きたいと考えているなら、早くからいろいろな情報を集めて『働く自分』をイメージしておくのは、とても大切なことだと思います」
●収入が増えるにつれて税金や社会保険料の納付義務が発生
専業主婦が働くということを意識した場合、やはり気になるのはお金のこと。とくに、税金面や健康保険・年金などの支払い義務が収入によって変わってくるという話はよく聞きます。まずはそのあたりから教えてください。
鈴木 「妻がパートタイマーなどをして働いて給与収入を得る場合、ある定められた額までは住民税や所得税などの税金や年金・健康保険といった社会保険料の支払いが免除されます。
また専業主婦の夫は、配偶者控除といって、所得から一定の額(年38万円)が控除されていますが、これも妻の収入が一定額以上になると受けられなくなります。
妻が働くと夫の税金が高くなるといわれるのは、配偶者控除が受けられなくなることで、課税される給与の額が多くなるためです。
では、妻の収入がいくらになったら税金や社会保険料の支払い義務が発生したり、夫の配偶者控除が受けられなくなるのでしょうか。以下をご覧ください。
妻の収入
100万円以上 住民税が課税される
103万円以上 所得税が課税される/夫の配偶者控除が0になる(夫の所得が1千万円以下の場合はかわりに配偶者特別控除が受けられるようになる)
130万円以上 社会保険料が発生する
141万円以上 夫の配偶者特別控除が0になる
このうち地域や夫の収入の額にもよりますが、もっとも影響が大きいのが、年収『103万円以上』と『130万円以上』になった場合ではないでしょうか。
『103万円以上』の場合、妻自身の所得税が発生します。加えて夫の配偶者控除が0になりますが、かわりに配偶者特別控除が受けられるようになります。配偶者特別控除は、妻の年収103万円のときに38万円ですが、年収が5万円増えるごとに控除額が5万円ずつ少なくなっていき、141万円で0になります。
さらに影響が大きくなりそうなのは、夫の会社から『配偶者手当』が支給されているケースです。これも会社によって違いますが、配偶者手当の基準が妻の年収103万円までと決められている会社が多いんです。もし手当の額が月1万円としたら、年間で12万円と所得税や夫の増税分よりも遥かに大きい額が減ることもあり得ます。
配偶者手当について、あまりよくわからないという方は、一度ぜひ夫の会社に確認してみることをおすすめします。
妻の年収が130万円を超えた場合の影響は、なんといっても妻自身の健康保険や厚生年金などの社会保険料の納付義務が発生するということでしょう。
でも、だからといって決して悪いことばかりではありません。妻自身が健康保険に入れば、出産前後には出産手当金が、4日以上休んだときには最大1年半にわたって傷病手当金などがもらえます。また、多くの場合年収130万円を少し越えたくらいであっても、平均余命まで生きることができれば、納めた社会保険料よりも増える年金のほうが少し上回ります。さらに障害を追ったときの年金や妻自身が亡くなったときの遺族保障が増えるなどのメリットも多く、必ずしも損とはいえないと思います。
ちなみに2016年の10月から、短時間労働者に対する厚生年金・健康保険適用の基準が拡大されるため、より少ない年収でも社会保険料の負担が生じるようになってくるので注意が必要です」
よく耳にする専業主婦の収入の「103万円の壁」とか「130万円の壁」の意味がわかりました。
鈴木さん、ありがとうございました。
それにしても、できるだけ早く働き始めたいと考える人にとって、厚生年金・健康雇用保険適用の基準が広がるという話は気になるところです。次回はその点について取り上げます。
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鈴木さや子
ファイナンシャルプランナー。日本FP協会会員®。
国内損害保険会社に勤務した後、退職して2人の女の子を出産。育児をしながらFP視覚を取得し開業。個人のマネー相談のほか、「教育費セミナー」や「ママと子どものお金教室」などセミナーを多数開催。
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