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生活・しつけ
小学1年生 2015年10月28日の記事
けんかをしたときの、子どもへのフォロー[10/28]
《小1のけんか、どう対応すればいい? 後編》 親は基本的に見守って、こじれたと感じたら早めに相談を
前回は、子どもの成長とけんかの役割などについて、臨床発達心理士で現役のスクールカウンセラーでもある山崎浩一さんにうかがいました。
今回は、子どものけんかへの親の関わり方について引き続き山崎先生にお聞きします。
●よくないことだけではなく、できていたことに目を向けて
子どものけんかには親がでないほうがいいといいますが、放っておいてもよいのでしょうか?
山崎 「前回も少し触れましたが、基本的にはあまり口出しせず、見守るようにしたほうがよいと思います。
そしてもし、子どものけんかに直面したときには、子どもがやってしまった『よくないこと』だけではなく『できていたこと』にも目を向けてほしいと思います。例えば友だちを叩いてしまったという場合、叩くのはよくないということを伝えたうえで、そのときに相手に『ごめんね』と言えたとか、叩いたことを先生に正直に言えたのであれば、そこは『えらかったね』とほめてあげましょう。
けんかがするのがいいというわけではありませんが、友だちと言い合える関係というのは、けんかも含めたやりとりを通して作られるもの。けんかを頭ごなしに否定すると、子ども自身が人と言い合うことに対して腰が引けてしまうようになります。
ただ、口べたな子だと、いつも口げんかで言い負かされないかとか、ジャイアンタイプの子ならすぐに相手に手を出してしまわないか……など、心配な親御さんも多いでしょう。その場合は、その子のタイプに合わせてフォローしてあげるとよいと思います。
例えば、言いたいことが言えない口べたな子には『急に“やだ”って言うんじゃなくて、なんで嫌なのかちゃんと言おうね』とか、『人にお願いするときは、『これ』だけじゃなくて、どうしてほしいか言おうね』などと、言葉に出して伝えることを教えます。
また、すぐに手が出てしまう子なら、『頭にきて叩こうと思ったら、すぐに手を出すんじゃなくて、1回待って考えてみよう』、大声でどなる子には『大きな声を出したくなったら、1度耳をふさいで、自分の声を聞いてみよう』など、どうすればいいのか、その方法を具体的に教えるのがポイントです。
教えてもすぐにできるようになるわけではありませんが、何度も繰り返し伝えているうちに、少しずつ行動に移せるようになるでしょう」
●けんかがこじれたときは、早めに学校に相談を
もしけんかでけがをしたり、させてしまって子どもが傷ついているときはどうしたらいいでしょう?
山崎 「そういう場合は担任から連絡がいくことが多いので、まずはそこで相談したうえで、場合によっては相手の保護者と話し合ったり、謝罪をすることも必要になってくるでしょう。
また、子どもがけんかで悩んでいると思ったら、担任やスクールカウンセラーに相談して、どこまで支援や介入ができるか、一緒に考えていきましょう。敷居が高いと感じるのか、事態が深刻になるまでスクールカウンセラーなどには相談できない親御さんも多いようですが、なるべく早めの時期に相談してもらえれば、まだ問題が小さいうちに芽を摘み取ることができます。
けんかがいじめに発展することもないわけではありませんが、相手の子にそのつもりがなくても、けんかでやられっぱなしの事態が長引いて、やられる側の子が『いじめられている』と感じるようになると事が大きくなり、どちらも傷ついてしまう結果になってしまいます」
こじれるほど、解決にも時間がかかるというわけですね。
●けんかは教科書通りにはいかないことを教えよう
山崎 「ひとつ、お父さん、お母さんに意識してもらいたいのは、学校では道徳教育という枠組みの中で『けんか』が取り上げられることがあるということです。その場合、ある一場面だけを切り取って良し悪しを考えることとなり、子どもがけんかを表面的・画一的に捉えてしまったり、『こういうときはこうしたほうがいい』など、けんかの収め方が前もって決まっていると捉えてしまいがちになります。
道徳教育を否定するわけではありませんが、けんかの場合、現実はそんなに単純なものではなく、それぞれに言い分があり、どちらがよくて、どちらが悪いと言えないことがほとんどです。そのときどきで事情の違う中で、子どもたち自身が主体的に、どうすればよいかを学んでいくからこそ、けんかの意味があるのだと思います。
道徳の教科書を見て『ここにはこう書いてあるけど、こういうこともあるよね。そういうときはどうする?』と様々な見方ができるよう、子ども自身に考える機会を与えて、教科書ではなかなか伝わらない部分をフォローしてもらえるといいなと思います」
大人もつい、よい・悪いという目でけんかを見てしまいがちかもしれません。まずは自分たちがけんかの見方を変えていく必要があるのでしょうね。
山崎先生、ありがとうございました。
前回の記事はこちら
子どものけんかに関する記事はこちら
プロフィール
臨床発達心理士。教育相談オフィス「オフィス紫陽花」スタッフ。
「新しい学校適応支援相談員」を経て、現在、東京都スクールカウンセラーとして勤務中。
オフィス紫陽花HP http://www.maroon.dti.ne.jp/office-ajisai
メール:office.ajisai@gmail.com