宮野孝一(みやの たかかず)
平成10年、みやのこどもクリニックを開業、院長に就任。
医学博士、小児科学会認定専門医、日本アレルギー学会認定医。
地域の小児医療に務めながら、現在は昭和大学医学部兼任講師として後輩の指導にもあたる。
『赤ちゃんと子どもの医学事典』(ナツメ社)、『てるてる天使の育児百科 ハッピー・ベビーケア』(学研)など監修書籍多数。
【小学1年生】と【年長】ママのお役立ち情報を配信!
生活・しつけ
年長 2017年6月23日の記事
幼児期以降の夜泣きは『夜驚(やきょう)』と呼ばれ、子どもは寝ている間の出来事を覚えていないことが多いことが前回のお話でわかりました。今回は、幼児の夜泣き(夜驚)に対する治療法や家庭でのケアについて、引き続きみやのこどもクリニックの宮野孝一先生に詳しく教えていただきます。
夜驚が始まったとき、その症状を止める方法はあるのでしょうか。
「夜驚は部分的覚醒状態で、夢の中にいるのと同じなので、途中で止めるのは難しいと思います。普通は2~3分、長くて10分以内で治まります。
そばで見守って、抱きしめてあげたり、ママの声が聞こえてなかったとしても優しく声をかけたりしながら、落ち着くのを待つのがよいと思います」(宮野先生)
夜驚は病気ではないということですが、あまりにひどい場合はなにか治療は必要ですか?
「一時的なものなら全く心配はありません。特別な治療は必要なく、多くの場合は半年以内におさまります。
ただ、いじめなど、夜驚の誘引となるような強いストレスが続いている場合は、原因を突き止めて除去しないと、症状がひどくなることがあります。
ほぼ毎晩夜驚の症状が繰り返される、また半年以上経ってもおさまらない場合は、何かストレスを感じていることが考えられるので、まずは幼稚園や保育園、小学校の先生に相談をして、日中の様子を聞いてみるといいと思います。それでも、なかなか原因がわからず症状が続く場合は、かかりつけ医に相談したり、時には小児精神科や小児神経内科を受診することをおすすめします」(同)
病院を受診した場合、どのような治療が行われますか?
「人間が眠っている間は、“レム睡眠” と呼ばれる浅い睡眠と、“ノンレム睡眠”と呼ばれる深い睡眠が繰り返されています。夜驚は、ノンレム睡眠からレム睡眠へとうまく移行できないために起こると考えられます。
あまりにも夜驚の症状がひどく家族が不眠になってしまうような場合や、お泊り保育などで不安な場合などは、レム睡眠へとうまく移行できるように一時的に鎮静剤のような薬が処方される場合があります」(同)
日中の親の接し方が夜驚に関係するということはあるのでしょうか?
「夜驚は寝ているときの脳の反応によって起こるもので、親の対応が原因になったりはしません。 夜驚が見られても、普段と接し方を変える必要はなく、今までどおりで問題ありません。
たとえば、昼間お母さんが強く叱った日に夜驚が出たりすると、そのことが原因ではないかと悩んだり、自分を責めてしまったりすることがあると思います。しかし、子どもが何か悪いことをしてそのために叱る必要があれば叱っていいのです。それで夜驚が長引いたりすることはありません」(同)
家庭でできるケア法を教えてください。
「夢中遊行の場合にもいえますが、症状が起こったら危なくないように見守ることが一番の対処法です。
そのほかには、日中あまり興奮させすぎないように気をつけたり、何かストレスになるようなことを抱えていないか、子どもの様子をよく注意して見てあげたりすることも有効かもしれません」(同)
夜中に泣いたり叫んだりする子どもの姿を見るのは、パパやママにとっては辛いことです。でも、ほとんどの場合は治療の必要がなく、一時的なものであるケースが多いので、どっしり構えて見守ってあげられたらいいですね。
(取材・執筆:水谷映美)
関連記事はこちら
毎週木曜にメルマガ発信中!
最新記事を毎週配信
ご登録はこちらから↓
宮野孝一(みやの たかかず)
平成10年、みやのこどもクリニックを開業、院長に就任。
医学博士、小児科学会認定専門医、日本アレルギー学会認定医。
地域の小児医療に務めながら、現在は昭和大学医学部兼任講師として後輩の指導にもあたる。
『赤ちゃんと子どもの医学事典』(ナツメ社)、『てるてる天使の育児百科 ハッピー・ベビーケア』(学研)など監修書籍多数。
『ママノート』ツイッターやっています!フォローいただけたら幸いです。