宮野孝一(みやの たかかず)
平成10年、みやのこどもクリニックを開業、院長に就任。
医学博士、小児科学会認定専門医、日本アレルギー学会認定医。
地域の小児医療に務めながら、現在は昭和大学医学部兼任講師として後輩の指導にもあたる。
『赤ちゃんと子どもの医学事典』(ナツメ社)、『てるてる天使の育児百科 ハッピー・ベビーケア』(学研)など監修書籍多数。
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生活・しつけ
年長 2017年6月6日の記事
5~6歳のママの悩みで、意外に多いのが「おねしょ(夜尿)」について。お泊り保育のときが心配、小学校に入っても治らないけどいつまで続くの?などと不安なママも多いかと思います。
今回は、みやのこどもクリニックの宮野孝一先生に、子どものおねしょ(夜尿)について詳しくお話を伺いました。
まずは、おねしょと夜尿の定義やおねしょをする子の割合などについて、詳しく教えてください。
「夜、寝ている間に無意識におしっこをして衣類や布団を濡らしてしまうことを『おねしょ(夜尿)』といいます。一般的に、未就学児は『おねしょ』、小学校入学後の場合は『夜尿症』と呼んでいます。
幼稚園年長時で約15%、小学校低学年で約10%、小学校高学年では約5%の子どもにおねしょ(夜尿)が見られるというデータがあり、高学年でもだいたい1クラスに2人程度はおねしょで悩む子どもがいるという割合です。決して珍しいことではありませんので、まずは、お母さんもお子さんも安心してください」(宮野先生)
何歳くらいから、おねしょ(夜尿)の相談が増えますか?
「お子さんが5~6歳になると相談件数が増えてきます。
幼稚園の年長から小学校入学くらいの年齢は、睡眠中に尿を溜める膀胱機能が十分に発達していないため、そのことがおねしょ(夜尿)の原因となっている場合が多いです。年齢が上がるにつれて膀胱容量は大きくなり、機能も発達していきます。
相談に来られたお母さんに、まずわたしは『大人になっておねしょをする人はめったにいません。中学生になってから治るケースもありますので、5~6歳なら心配しなくてもいいですよ』とアドバイスしています」(同)
おねしょ(夜尿)の原因は、膀胱機能のほかにもあるのでしょうか?
「おねしょ(夜尿)の原因はさまざまですが、ひとつには睡眠の問題が考えられます。大人であれば、夜中でも尿意を催したら目覚めますよね。膀胱の容量いっぱいになると、そのことが脳に伝わり目が覚めるわけですが、深い睡眠に入っている場合はその伝達が届かないことがあります。
また、何か精神的に強いストレスを抱えている場合も、おねしょの原因となることが考えられます。おねしょをしてしまったことで親に叱られたりすると、余計に本人が不安を抱えてしまい、おねしょの治りが遅くなることもあります」(同)
子どもがおねしょ(夜尿)をしたら、どのように対処したらいいでしょうか?
「精神的なことも大きく関わるので、おねしょをしたことを叱ったり、もう何歳なのに…と子どものプライドを傷つけたり、病院に行かなきゃと騒いで不安を煽るようなことはしてはいけません。
むしろ、子どもがおねしょをしたことを気にしているようであれば、『気にしなくていいよ』と安心させてあげましょう。たとえば、『パパは5年生までおねしょしてたんだよ』などと、たとえ事実でなくても子どもの不安を取り除いてあげられるような言葉をかけてあげてください。
失敗しても責めないこと、そしておねしょをしなかった日はたくさん誉めてあげることが大切です」(同)
頻繁におねしょをしている子どもの場合、お泊り保育や林間学校のときなどがとても不安だと思います。何か良い対策法はありますか?
「まずは、担任の先生に相談しておくことです。その上で、夜中に起こしてもらってトイレに行く、寝る時だけおむつを履くなど、対策を考えます。あくまでも本人の自尊心を傷つけないように、他の友達にはわからないように相談しておくことが重要です」(同)
おねしょ(夜尿)が続くと、病気では?と心配するママもいると思うのですが、病院を受診するタイミングがあれば教えてください。
「自然に治る場合が多いので気にしすぎる必要はありませんが、多くの場合は子どもよりも親の方がおねしょを気にしているように思います。
もう小学生なのに…と世間体を気にして、なんとかして治療しなくてはという方がいますが、まずは子どものことを再優先で考えてあげてください。おねしょは誰でもするもので、決して恥ずかしいことではないと声がけをし、安心感を与えてあげることがとても大切です。
もしも子ども自身が気にしだして不安になったり、自信を無くしたりしているようであれば、病院を訪ねて適切な治療をしたほうがいいと思います。
まずは、かかりつけ医に相談してみてください。また、夜尿症の専門医が検索できるサイト(夜尿症ナビ、おねしょ卒業プロジェクトなど)もあるので、そちらも参考にしてみてくださいね」(同)
ほとんどの場合は自然に治るとのことですが、どうしても不安であれば、一度小児科に相談し、アドバイスをもらうことで安心できるかもしれませんね。
次回は、夜尿症と診断された場合の治療法や家庭でのケアについて、引き続き宮野先生にお聞きします。
(取材・執筆:水谷映美)
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宮野孝一(みやの たかかず)
平成10年、みやのこどもクリニックを開業、院長に就任。
医学博士、小児科学会認定専門医、日本アレルギー学会認定医。
地域の小児医療に務めながら、現在は昭和大学医学部兼任講師として後輩の指導にもあたる。
『赤ちゃんと子どもの医学事典』(ナツメ社)、『てるてる天使の育児百科 ハッピー・ベビーケア』(学研)など監修書籍多数。
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