宮野孝一(みやの たかかず)
平成10年、みやのこどもクリニックを開業、院長に就任。
医学博士、小児科学会認定専門医、日本アレルギー学会認定医。
地域の小児医療に務めながら、現在は昭和大学医学部兼任講師として後輩の指導にもあたる。
『赤ちゃんと子どもの医学事典』(ナツメ社)、『てるてる天使の育児百科 ハッピー・ベビーケア』(学研)など監修書籍多数。
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生活・しつけ
年長 2017年6月20日の記事
昼間は元気よく遊んで、夜はぐっすり眠る。そんな子どもの姿に、ホッとするママも多いと思います。子どもが健康であるためには、十分な睡眠が必要です。ところが、5~6歳になって、急に夜中に起きて泣き出すようになった、という話を耳にすることがあります。乳幼児の夜泣きと、5~6歳の夜泣きでは何が違うのでしょうか。
今回は、みやのこどもクリニックの宮野孝一先生に「幼児の夜泣き」についてお聞きします。
「夜泣き」というと赤ちゃんがするものという感じがしますが、幼児でもあるものなのでしょうか?
「1歳を過ぎても夜まとまって眠らず、起きて泣くことを『夜泣き』と呼んでいます。睡眠には個人差が大きく、夜泣きの原因は十分に解明されていませんが、だいだい2歳くらいまでには自然になくなります。
このような乳児の夜泣きに対して、幼児が睡眠中に起きだして泣き叫ぶ行動をとることを『夜驚(やきょう)』と呼びます。
夜中に突然泣き叫んだりするので、まわりで様子を見ている大人はびっくりしますが、本人は翌朝目を覚ますと、まったく覚えていないことが多いです」(宮野先生)
子どもが覚えていない、というのは、ママとしてはちょっと不安になりますね。
「夜驚は『部分的覚醒』と言って、半分眠って半分目を覚ましているような状態です。半分目を覚ましているといっても眠っているのに近い状態なので、ママが声をかけても聞こえないことが多いですし、ママの姿も見えていないようです。多くの場合は、数分間でおさまります」(同)
夜驚は、どんな子どもに多いのでしょうか? 起こる子どもと起こらない子どもで何か違いはありますか?
「夜驚は、子どもの1~6%程度に起こり、年齢では2~6歳が9割を占めています。誰にでも起こりうることで、決して病気ではありません。
夜驚が起こる子を見ていると、真面目な子や自分で自分を律しているような子が多いように感じます。普段何かを我慢していて、そのタガが外れて夜驚となってあらわれる、ということもあるようです」(同)
夜驚の原因はどんなことが考えられますか。
「生活の中での怖いこと(テレビ、いじめ)や緊張(入園、入学)、興奮(旅行、遊園地に行く)などが誘因となる場合があります。また、何か強いストレスを感じていたり、体調が悪かったり、心身ともに不安定なときに起こりやすいと考えられます」(同)
夜中に泣き叫ぶだけでなく、歩きまわる子もいるようですが、これも夜驚の一種なのでしょうか?
「学童期の子どもが睡眠中に起き上がって歩き回ることを『夢中遊行(むちゅうゆうこう)』と呼びます。
夢中遊行は、夜驚よりもう少し高い年齢で起こるのが特徴で、半分眠った状態で歩き回る、いわゆる寝ぼけと言われる状態です。学童期の子どもの約15%程度に見られます。本人は眠っている状態で動き回りますので、危なくないように見守る必要があります」(同)
原因はどんなことが考えられますか?
「夜驚の原因と同じで、恐怖体験や緊張、興奮などが誘因となる場合があります」(同)
夜驚も夢中遊行も、症状や原因は似ていて、子どもに記憶がないことが多いというのが特徴なんですね。特別な病気ではないと伺って、安心できました。
次回は、夜驚が起こったときの家庭でのケアについて、引き続き宮野先生にお聞きします。
(取材・執筆:水谷映美)
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宮野孝一(みやの たかかず)
平成10年、みやのこどもクリニックを開業、院長に就任。
医学博士、小児科学会認定専門医、日本アレルギー学会認定医。
地域の小児医療に務めながら、現在は昭和大学医学部兼任講師として後輩の指導にもあたる。
『赤ちゃんと子どもの医学事典』(ナツメ社)、『てるてる天使の育児百科 ハッピー・ベビーケア』(学研)など監修書籍多数。
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