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生活・しつけ
年長 2014年3月18日の記事
遅生まれの子と比べずに、その子基準の目標を作ろう
《早生まれって、やっぱり不利? 2 》 友だちにからかわれても、親はどっしり構えていて
前回は、早生まれは親が気にしすぎることが一番の問題という指摘をいただきました。
ただ、遅生まれの子よりも身体的・精神的に未熟な面がある場合、どんなフォローをしていけばいいのか、引き続き渡辺弥生先生にうかがいます。
早生まれを気にしすぎないようにということでしたが、実際、やや体が小さいとか、少し幼い早生まれの子がハンデを感じないようにするには、親はどのようにすればよいのでしょうか。
渡辺 「これは早生まれのケースに限りませんが、まず、ほかの子とわが子を比べないということが大切です。遅生まれの子や、クラスで一番の子などと比較して、これができない、あれもできないと指摘するのではなく、目の前のわが子をよく見て、今どういう段階にいるのか、子どもの今現在の育ちを把握しながら対応していきましょう。できないことに目を向けるよりも、子どもの興味関心やできることに注目してあげるといいですね。
おけいこごとなども、小学生になったからとあせってすぐに始めなくても大丈夫。子どもの体力を見て、無理なくできるようになった時点でスタートすればいいでしょう。
それから、勉強ぎらいにしないためには、一番になるための目標でなく、がんばりしだいで成果が得られるという可能性を感じさせることが大切です。そのためには、人と比べて高すぎる目標を掲げるのではなく、ちょっとがんばれば到達できるくらいの目標を考えてあげましょう。こうすると、小さな成功体験をたくさん積み重ねることができます。
目標に到達したら、『がんばったからできたね』と、結果ではなく、がんばったプロセスを褒めるのもポイントです。結果だけをほめていると、結果が出ないとかえって自信を失ってしまいますからね」
友だちにからかわれたときなど、家庭ではどのように対応すればいいのでしょうか。
渡辺 「もし、子どもが悔しさや悲しさを訴えてきたら、その気持ちに理解を示しつつ、『こういうふうに言ってみたら』と、対応を具体的に教えましょう。子どもはどういうやりとりをすればいいのかがわからないために、何も言えず悔しい思いをしていることも多いものです。
ただし、子どもの気持ちに共感するといっても、親自身がカッカしたり、悲しく沈んでしまう必要はありません。親が感情的になると、子どもはどうしたらいいか、かえって不安になってしまいます。子どもの気持ちを理解しながらも、できるだけどっしりと、大らかな気持ちで構えていてほしいと思います。
また、すでに教育環境において先生方は、早生まれあることを含めた、そのほかの個人差についても配慮・対応されています。友だち関係など、どうしても気になる場合には、『うちの子は早生まれのせいか、体も少し小さくて、友だちにからかわれないか気になるのですが』などと、気軽に担任に相談しておくといいでしょう」
まずは親自身があまり不安にならないよう、子どもの得意なこと、興味をあることをしっかりみてあげることが大切ですね。
渡辺先生、ありがとうございました!
プロフィール
法政大学文学部心理学科教授
社会性や道徳性の発達、いじめなどの対人関係の問題予防を研究。
著書に『子どもの「10歳の壁」とは何か? 乗り越えるための発達心理学』(光文社)などがある。