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生活・しつけ
年長 2014年3月17日の記事
生まれ月の差は、気にしなくて大丈夫!
《早生まれって、やっぱり不利? 1 》 親が気にしすぎることが一番のマイナスに
大丈夫だろうなと思っていても、ちょっと気になる「早生まれ」。
園時代ほどではなくても。遅生まれの子と差がついたり、ほかの子についていけないことがあったらどうしようと不安に思うことも。
そんなお母さんたちの心配について、発達心理研究の専門家である渡辺弥生先生にお聞きしました。
早生まれと遅生まれの子では、小学生以降も発育に差があると聞きます。何歳くらいまでその差は残るんですか?
渡辺 「発達に関係する日本での研究を調べてみると、日本では50年近く前に発表されたものを最後に、早生まれについて正面から取り上げたものはほとんどありません。
『早生まれは不利』とか『早生まれの子は、小さいうちは苦労する』などと言われますが、それが事実であれば、もっと学問的に研究されてもいいはずです。
これはどういうことかというと、結局のところ、早生まれであるということは、子どもの成長において大きく不利になることが少ないことを意味しているといえるでしょう。たいてい、小学校の中・高学年までには生まれ月の差はなくなると考えられています。
もちろん6、7歳の段階では、遅生まれの子に比べると、1年近く後に生まれているわけですから、発育、特に体の発達などに多少の差があるのは事実です。
ただ、例えば体格なら遺伝的要素が大きく影響しますし、学力などの知的発達や社会性の発達にしても、個人差や家庭のしつけ、教育環境など、ほかの要因の影響のほうが大きいと考えられています。ですから、早生まれだけを特別視して発育が悪いとか、学力が劣るとは言えないのです」
それを聞くと安心ですね。ただ、子どもの頃に早生まれでハンデを感じたという人もいるようですが。
渡辺 「もし、子どもが早生まれで不利を感じることがあるとしたら、問題なのは早生まれということよりもむしろ、親をはじめ、周囲の大人が「早生まれ」ということにとらわれすぎてしまったり、早生まれであるために体が小さいとか、少し幼いといったことを友だちがからかうなどの対人関係にあるかもしれません。
だれかと比べず、その子のその時期だけを見ていれば、ごく普通に成長していても、親が遅生まれの子と比べて、「遅れている」というネガティブな印象でわが子を見てしまうと、子どもも『自分ができないのは、早生まれだからだ』と、コンプレックスを抱いてしまうでしょう。むしろ、自信がもてるように、その子の成長やがんばりをきちんと捉えて認めてあげることが大切です。
また、早生まれということに限らず、仲間から執拗にからかわれたりするようであれば、学校の先生に気軽に相談して、早めに対応して上げるといいでしょう。
いずれにしても、親は早生まれを気にしすぎず、わが子がのびのびと成長できるよう、子どもの得意なところをみてあげるとよいと思います」
渡辺先生、ありがとうございました。
次回は、早生まれの子に対するフォローの具体的な方法についてうかがいます。
プロフィール
法政大学文学部心理学科教授
社会性や道徳性の発達、いじめなどの対人関係の問題予防を研究。
著書に『子どもの「10歳の壁」とは何か? 乗り越えるための発達心理学』(光文社)などがある。