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生活・しつけ
小学1年生 2014年3月29日の記事
泣く子は、自分が泣いている理由がわかっていない!?
《よく泣く子、小学校でやっていける? 2 》 自分の気持ちを言葉で言えるよう、親が代弁を
前回は、よく泣く子について、その原因などを発達心理の渡辺弥生先生にお話をうかがいました。
今回は、子どもが泣かなくなるために、どう接していけばよいか、具体的な対応について、引き続き渡辺先生にお聞きします。
●泣くことでしか自分の気持ちを表現できない子も多い
よく泣く子に対して、「泣かないためにはどうしたらいいか」をどう教えればいいのですか?
渡辺 「すぐに泣くということは、自分の感情がコントロールできないことが一つの要因です。ですから、自分の感情を制御するスキルを身につければ、やたらと泣くことはなくなります。
まずは泣いている子に対して、自分がどういう気持ちなのか、なぜそういう気持ちになっているのか、自分で理解できるようにすることが大切です。
当たり前のようですが、小学1年生や2年生では、意外に自分の気持ちがわかっていなかったり、言語化することができないものです。
原因があっても、その因果関係が理解できないので、『なんで泣いているの?』と聞いても『悲しいから』としか答えられず、泣くことでしか気持ちを表現できないことも多いのです。
ですから、泣いている子どもに対しては、その原因を聞くよりも、親が前後関係を聞いたり、周囲の状況を推測しながら、『お兄ちゃんに本を取られて、悲しくて泣いちゃったの?』と、その都度、子どもの気持ちを代弁するようにしましょう。
親にとってはちょっと面倒かもしれませんが、こうすることで、子どもは『そうだ、自分はお兄ちゃんに本を取られて、悲しいから泣いているんだ』と、自分が泣いている因果関係が理解できるようになります。
この経験を積み重ね、自分の気持ちが説明できるようになると、子どもは、泣くよりも言葉で話をした方が、みんなに理解してもらえるというということがわかり、すぐに泣くことも少なくなるでしょう。
また、泣いているときにその場で『本当はどうしたかったの? そうか、じゃあ今度は、自分から○○してもいい?と聞いてごらん』というように、泣くこと以外で問題を解決する方法があることを具体的に教えるのも効果的です」
●絵本や映像を使って、泣いている自分の姿を理解させる
そのほかにしておいたほうがいいことはありますか?
渡辺 「絵本やビデオを使って、子どもが泣いているシーンを見ながら『こんなふうに泣いちゃうと、友だちはなんで泣いているのかわからなくて困っちゃうよね』などと言って、泣くことが周囲にどう受け止められるかを理解させる方法もあります。
これはモデリングというのですが、小学1年生くらいになると、他者からどう見られるかを気にするようになるので、『ここで泣くのは、やめたほうがいいかな』などと考えられるようになります。
また、日ごろ町の中やテレビなどを見ながら、いろいろな人が泣いたり笑ったりしているシーンを見て、『この子が泣いているのは、きっと○○だからだよ』などと、なぜ泣いているのか当てっこしてみるのもいいですね。人の気持ちに気づくことも、感情の発達を促す大切な要素です。
このように、親がしっかり向き合って言葉を引き出していけば、だんだんと泣くことが減ってくるはずです。以前なら泣いていた状況でも、少しずつ泣かなくなってきたと思ったら、『泣かないで、ちゃんとできたね、えらいね』と、きちんと子どもをほめてください。
親は問題があるときだけは必死にかかわるのですが、そうでないと無関心になってしまいがちなんですね。子どもにとっては、自分の変化を親がきちんと見てくれることがうれしいし、励みにもなるのですから」
やはり、子どもときちんとかかわることが大切なんですね。
渡辺先生、ありがとうございました。
プロフィール
法政大学文学部心理学科教授
社会性や道徳性の発達、いじめなどの対人関係の問題予防を研究。
著書に『子どもの「10歳の壁」とは何か? 乗り越えるための発達心理学』(光文社)などがある。