1958年生まれ。本名 杉山 桂一。
公立小学校で23年間教師を務め、退職後は、全国各地のPTAや市町村の教育講演、本の執筆に精力的に取り組んでいる。
メールマガジン「親力で決まる子供の将来」は新聞、雑誌、テレビ、ラジオなど各メディアで絶賛され、教育系メルマガとしては最大規模を誇る。
著書多数。
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学校・まなび
小学1年生 2016年12月21日の記事
「家で、簡単な足し算や引き算を教えています。
いくら教えても、全然分からないようなのです。
最初からつまずいていると、
この先もっと難しくなっていくとついていけないのでは?」
《小1の家庭学習のポイント5》では、
「苦手は放っておいて、得意を伸ばそう」というお話でした。
この場合、算数の苦手も放っておくべきでしょうか。
親野智可等先生にうかがいました。
親野 「子どもができないとき、
何も手助けしてあげないというのはよくありません。
子どもは見放された気分になってしまいます。
小学校で『8+5』を教えるとき、
『5を2と3に分けるね。じゃあ、8に2を足すと?』
と聞くと、子どもは『10』と答えます。
『じゃあ、10に残りの3を足すよ。いくつかな?』
『13』と答えられるんです。
それでわかったと思って、
『じゃあ7+6を同じように、自分でやってごらん』
というと、できなくなる。
マンツーマンで問答しながらならできるけれど、
自分では流れがつながらないんですね。
ここでやってはいけないのは、怒ることです。
本人は一生懸命やっているんです。
努力が足りないわけではありません。
算数・数学には「器」というものがあります。
私は、中学高校と、いくら教えられても
数学が丸っきり分かりませんでした。
大学は私立を受けましたから数学を全然やりませんでした。
教員採用試験で必要になり、自分で参考書を買ってきて
中1から勉強し直しました。
すると、けっこうよくわかったのです。
『なんで今までこんなことが分からなかったんだろう』
と不思議でした。
そのときに思いました。
中学高校のころは、
私の中で数学的な内容を入れる器がザル状態だったんです。
ところが、その後の自然成長によって、
何も数学の勉強をしていないのにも関わらず、
いつの間にか数学を入れる器ができていったのです。
数学の器ができたところへ数学を入れたから入ったんです。
算数・数学だけでなく人間のいろいろな能力には伸びる時期があります。
今、いくら教えても算数が分からないというのは、
まだ器ができていないザル状態なのです。
でも、だからといって、放っておけばいいということではないのです。
算数が分からなければ、家で教えてあげてください。
放っておいて何の手助けもないのでは
子どもは親の愛情を疑います。
でも、そのときの教え方が大事です。
叱りながらでなく優しく丁寧に教えてあげてください。
教えても次の日にもう忘れていたら、
また一から優しく丁寧に教えてあげてください。
『昨日教えたじゃない!』などと絶対言わないで、
何度でも優しく丁寧に教えてあげてください。
成果を望まないで、教えるという親子の触れ合い自体を楽しんでください。
それでもできるようにならないことも多いと思います。
そういうときは目をつむってあげましょう。
子どもだってできたいのです。
でも、どうしようもない部分もあるのです。
そういう所は許してあげてください。
何もそれがすべてではありませんから」
親野先生のお話をうかがって、気が楽になりました。
得意だけではなく、苦手もその子の個性です。
得意だけではなく、苦手ともうまく付き合う方法を考えていきましょう。
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