現在放送大学客員准教授/関西大学・昭和女子大学非常勤講師、博士(情報学)。静岡県の公立小学校教諭、関西大学初等部教諭/中等部兼務を経て現職。図書館教育、情報教育に取り組み、著書を多数執筆。教育用情報システムの開発・研究にも複数参加している。現在大学では「司書教諭資格取得科目」を担当。
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生活・しつけ
小学1年生 2018年12月11日の記事
冬休みを前に、子どもに読書をさせたいと思っているママたちに向けて、前回は子どもが本に興味を持つような本選びのコツや、環境づくりについてお伝えしました。今回は、子どもが本に興味を持ち始めたときのサインと、読書の幅を広げられる本の薦め方について、引き続き、元小学校の教員であり、大学の客員准教授として活躍されている塩谷京子先生に教えていただきました。
先生のアドバイスを元に、筆者も子どもたちの興味関心や体験に結びつけて本を薦めたり、話題にしたりしているうちに、子ども自身からも本に関する話をすることが増えてきたように思います。本屋さんに行ったとき「この本、この間図書館で借りたよ」とか「先生が朝読書の時間に持ってた本だ」と教えてくれるようになりました。下の娘も「テレビで見たあの映画と同じ本!」と興味深そうに本を手にとっています。
「とてもいい傾向ですね。たとえば、映画と原作の絵本では、まったく内容が同じわけではありません。実は感動するポイントまで違ったりするので、ぜひ興味を持った本は読んであげてください。本って楽しい! 面白い! と子どもが感じられるようになったら、次は自分で読みたい本を探していくステップです。
ステップアップのタイミングをはかるには、子どもから発せられる2つの言葉がめやすになります。ひとつめが『この本読んで!』です」(塩谷先生)
小1で字が読めるようになっても、読み聞かせの必要はあるのでしょうか。何度も同じ本を持ってきたりするので、「またこの本?」と思ってしまうこともあるのですが…。
「心に訴えかけてくる内容だと感じると、子どもは何度も読んでほしがります。ときには、こんなに長いお話を? とうんざりしてしまうこともあると思いますが、できれば何回でも繰り返し読んであげてください。『自分で読めるでしょう?』などと言わないであげてくださいね。満足すれば、自分で読んだほうが早いことに気付いて、『もういいよ、ありがとう』と自分で読むようになりますから。『この本、読んで』は子どもが本を面白いと思った合図でもあるので、見逃さないようにしましょう」(同)
子どもが本好きになってきたサインだと捉えると、喜んで何度でも読んであげたくなりますね。
そしてもうひとつ、子どもが本に興味を持ち出したサインが、「何か面白い本ない?」という台詞なのだと塩谷先生。
「この言葉が聞けたら、子どもの中で読書が根付いてきた証拠です。はじめは自分の興味がある本しか探しませんし、そもそも興味がないジャンルの本は目に入りません。それで良いのです。そこから、ママが子どもの生活に本を取り込んで、話題に上げていくよう意識していくと、映画やドラマを見たら自然に原作の本を読んでみたいな、とか、どこかに旅行に行ったらその土地の昔話を知りたいな、などと思うようになるでしょう。そのサインが、『何か面白い本ない?』なのです。そうなったら、今度は読書の幅を広げるチャンスです」(同)
なるほど! となると、この段階での本の薦め方はとても重要ですね。
「ここで注意したいのが、『何か面白い本ない?』の主語はママではなく、子ども自身だということ。つまり『僕(私)が面白いと思う本』が知りたいわけで、ママが面白いと思うオススメの本を聞いているのではないのです」(同)
あ! つい、筆者自身がオススメの本を伝えようとしてしまいました(笑)。では、どんな本を薦めたらいいでしょうか。
「早速本屋さんに探しに行きたくなるところですが、その前に『最近読んだ本の中で一番面白い本を教えて』と子どもに尋ねてみてください。そうすることで、子どもが今興味を持っているジャンルや傾向が掴めますよね。それに近いと思う本を、書店や図書館に行って3冊くらい選び、『多分、このあたりが面白いと思うけど、どうかな?』と薦めて、子どもに1冊選ばせてみてください。きっと、子どもは本を選ぶ過程も楽しむはずです。
そして子どもが本を選んだら、どうしてその本にしたかも聞いてみるといいですね。『表紙が気に入った』『知りたいことが載っていた』など、その答えから、さらに子どもがいま興味を持っていることが分かりますし、発見があるでしょう」(同)
いま子どもが読んでいる本に近いもの、といっても、結局同じジャンルの本しか思いつかないと困ってしまうママも多いと思います。そんなときは、図書館のレファレンスサービスを活用すると良いのだと塩谷先生。
「『この本の延長線上にある本を教えてください』と尋ねると、いくつか本のタイトルを教えてもらえるので本選びの参考になります。また、ママ自身が選ぶときのポイントは、ある一点は共通しているけれど、違う分野の本です。
たとえば、サッカーが好きな子であれば、サッカーの物語からはじまってサッカー選手の伝記、ルールブック、さらにはサッカー王国ブラジルの本などにも広げていけますよね。『サッカー』を軸に、さまざまな分野の本を紹介することで、次第に幅広い読書ができるようになります。一見関係がないようなものでも、互いの共通点を見つけてつなげていくことは、子どもたちがこれからの社会を生きていく上でとても重要になってきますよ。ぜひ、ママたちも連想ゲームを楽しむように、普段からさまざまなことをつなげて考えることを意識してほしいと思います」(同)
「この本、読んで」と「何か面白い本ない?」この2つのワードが聞けたら、子どもが読書に興味を持ち始めたサイン。それまでは、焦らずじっくり子どもと本が関わる機会を増やしていけばいいのですね。そして、そのときがきたら、より幅広いジャンルの本が薦められるように、ママたちも普段から本に対する情報を意識して集めておくといいかもしれません。この冬休みは、親子で図書館に行って本選びを楽しんでみてはいかがですか?
(取材・執筆:水谷映美)
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現在放送大学客員准教授/関西大学・昭和女子大学非常勤講師、博士(情報学)。静岡県の公立小学校教諭、関西大学初等部教諭/中等部兼務を経て現職。図書館教育、情報教育に取り組み、著書を多数執筆。教育用情報システムの開発・研究にも複数参加している。現在大学では「司書教諭資格取得科目」を担当。
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