「市民が日々遭遇する可能性の高い危機の実態把握と、その最適な問題解決策」を確かなものとするための調査・研究、それに基づく様々な提案を行う研究所です。安全なまちづくり人づくりのための環境設計・教育プログラムの開発・地域ボランティアやPTA、警察への研修等を行っています。
【小学1年生】と【年長】ママのお役立ち情報を配信!
生活・しつけ
小学1年生 2018年11月14日の記事
通学路を歩いている最中に大きな地震がきたらどうするか、親子で話し合ったことはありますか? 道路上は想像以上に危険がいっぱいで、守ってくれる大人が近くにいるとも限りません。登下校中に大きな地震にあった場合、子どもがとるべき行動とは? 今回は、全国で体験型安全教室などを行うステップ総合研究所・主任研究員の堤紘子さんに、通学路で大きな地震が起きた際の対処法について聞きました。
通学途中に大きな地震があった場合、子ども自身が最初にとるべき行動を教えてください。
「地震から身を守るためには、揺れ始めから8秒以内に安全な場所に移動し、身体を守る体勢をとるのが大事です。阪神淡路大震災で亡くなった子どものうち、4分の3が揺れ始めからの12秒以内に命を落としているということが調査でわかっています。大きな地震じゃないと思って様子を伺っているうちに揺れが大きくなり、逃げることができなくなってしまうのです。揺れを感じたら、震度の大小に関わらず、すぐに安全な行動がとれるようにしたいところです」(堤さん)
地震の際は様子見せず、瞬時に行動する必要があるのですね。ちなみに身体を守る体勢というのはどんなものでしょうか?
「一般的に、地震の際は頭を守るようにと言われていますが、頭はとても硬い頭蓋骨に守られています。実はそれよりも守ってほしいのは首のうしろなんです。首には呼吸を司る延髄がありますが、硬い骨で守られていません。ここをしっかりガードするには、身体を小さく丸めて両手で首の後ろを守る“亀のポーズ”がおすすめです。またランドセルの蓋をガバッと開けて、首から頭までを覆って守る方法もあります」(同)
©Institute of Safer Town Environmental Program
揺れ始めから8秒以内に安全な場所に移動して身体を守る体勢をとるという一連の流れは、日頃から練習していないとなかなか難しいかもしれません。どんな教え方をすれば伝わりやすいでしょうか?
「私たちはよく『地震だパン』と手を叩く合図で、地震が起きたことを想定して8秒以内に安全を確保するために実際に動いてみるという練習を行っています。これは家や公園でも遊び感覚でできる練習なので、ぜひ親子で試してみてください」(同)
実際に体を動かして練習してみると、地震の際の行動が具体的にイメージしやすくなります。大地震はいつどこで起こるかわからないからこそ、様々な場所や状況で『地震だパン』を試しておきたいですね。
子どもがひとりで外にいる時でも身を守れるように、地震の際に気をつけるべき場所やものをリストアップしてもらいました。
【通学路チェックリスト】
・狭い路地、道路(ものが落ちたり倒れて通り道をふさぐ)
・窓ガラスやショーウィンドウ(割れる、破片が落ちる)
・家の瓦(滑り落ちる)
・上の方に設置された室外機(重さを持って落ちる)
・電柱(倒れる、電線が切れて垂れ下がる、変圧器が落ちる)
・標識や看板(倒れる、落ちる)
・塀(道路にかぶさるように倒れる、崩れる。とくに異なる素材が組み合わさった塀は継ぎ目から倒れやすい)
・自動販売機(倒れる、傾く)
・郵便ポスト(倒れる)
・車(走っている車がふらつく、停まっている車が滑るように動く)
・自転車やバイク(倒れる)
「地震の際は塀から離れるのが鉄則ですが、揺れている最中は安心感を得るために大きなものに身を寄せたくなる心理が働きます。そのため、本来なら離れなくてはならない塀に吸い寄せられるように近づいてしまう傾向があるのです。地震の時は塀から離れるということは、とくに意識的に教えておきましょう」(同)
また、上記のリスト以外にも、アスファルトの道(波打ち揺れる、地割れ、液状化)、海(津波)、山(地すべり)といった危険も想定されるとのこと。事前に頭に入れておきましょう。
登下校中は周りに指示を出してくれる大人がいるとは限らないので、いざという時にどういう行動をとるのか判断するのは子ども自身。地震が発生した時に安全な場所に移動して身体を守る体勢をとれるように、チェックリストに沿って通学路の危険箇所を確認し、実際にどう動いたらいいのか練習しておきたいですね。
地震が収まった後、学校へ行くか自宅へ引き返すか迷ってしまうこともあると思います。どうしたらいいのでしょうか?
「地震の後は火事が発生したり、ものが散乱して道が通れなくなったりと、いろいろなことが考えられます。学校と自宅の距離や道の状況はケースバイケースなので、どちらに進むべきか一概には言えません。ただ、学校と自宅以外にも安全に避難できそうな場所が通学路近くにあれば、そこで待機するという選択肢もとることができます。大きな公園だと、人がたくさん集まってくることも考えられるので、『公園の時計の前』といったように、ピンポイントで落ち合う場所を決めておくといいでしょう。
電車などで長距離通学をしている場合はなおさら、電車が途中駅で止まった場合の待機場所を確認しておきたいところです。長距離通学だとケータイを持っている子も多いですが、地震の際は通じなくなるかもしれません。そんな時は公衆電話を使えるように、一度は実際にかけてみましょう。あわせて普段からテレフォンカードと10円玉を持たせて、両親の電話番号を言えるように練習しておきましょう」(同)
安全に待機できるスポットを普段から把握しておけば、いざという時に慌てずに行動できそうです。大きな地震はどれだけ事前に“具体的に”シミュレーションできるかが大切だといいます。普段から親子で通学路の安全についてよく話し合っておきたいですね。
(取材・執筆:宇都宮薫)
「市民が日々遭遇する可能性の高い危機の実態把握と、その最適な問題解決策」を確かなものとするための調査・研究、それに基づく様々な提案を行う研究所です。安全なまちづくり人づくりのための環境設計・教育プログラムの開発・地域ボランティアやPTA、警察への研修等を行っています。
『ママノート』ツイッターやっています!フォローいただけたら幸いです。