東京衛生病院 小児科医。6歳、4歳、2歳の3人の子どものママ。
日本小児科学会専門医。「子どもの心」相談医。専門は小児科一般、小児循環器。
筑波大学を卒業後、国立国際医療研究センター、大阪市立総合医療センターを経て、東京女子医科大学大学院で博士号を取得。第一子を出産後、東京衛生病院小児科へ。日々の外来診療に加え、医学的に根拠のある子どもの健康の情報をブログ、セミナーなどを通して発信。育児、仕事などで忙しいママが安心し、子育てが幸せに感じられるようにサポートしている。
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生活・しつけ
年長 2018年11月9日の記事
年明けの1~3月は、インフルエンザの流行がピークを迎える時期。家族で予防するためには、流行時期の前に予防接種を受けておきたいですね。子どもの場合、いつ、何回受けておくといいの? 親も打ったほうがいい? 小児科医で3人のお子さんのママでもある、東京衛生病院・小児科の保田典子先生にお話しをうかがいました。
保田先生が外来診療されていて、小学生のインフルエンザが増えるのはいつ頃からでしょうか?
「お正月明け、冬休みが終わって小学校での集団生活が始まる1~3月に、インフルエンザにかかるお子さんが増えます。なので、予防のためには、10月中旬~12月までにインフルエンザワクチンの接種を済ませておくことが大切です。ワクチン接種から体内に抗体が作られるまでには時間差があるため、ちょうど流行時期にインフルエンザウイルスに対する抗体価が上がって免疫がつくよう、逆算して接種するんです。
子どもの場合、13歳未満(6か月以上~12歳まで)は、2~4週間の間隔をあけて、2回接種することが推奨されています(13歳以上は原則1回)。
また、親や祖父母、上のきょうだいがインフルエンザにかかることで、下の小学生や乳幼児に感染させてしまうケースも。症状が重篤化しやすい乳幼児がいるご家庭の場合は特に、子どもだけではなく、家族で予防接種を受けるよう心がけましょう」(保田先生)
ワクチンを打ってもインフルエンザにかかることがあると聞きます。それでも毎年受けたほうがいいのでしょうか?
「インフルエンザワクチンを接種しておけば、かかっても症状が軽くて済むことが多いです。実際に診療していても、予防接種を受けていない子といる子で、症状の重さが明らかに違います。
予防接種を受けずにインフルエンザにかかってしまった子は、高熱が出て顔が赤くなってむくみ、動くのもつらそうで、ぐったりとしているケースが多いです。一方、ワクチンの接種を済ませている子は、インフルエンザになっても普通の風邪のように軽い症状で済み、回復も早い傾向があります」(同)
保田先生は、インフルエンザの予防接種の大切さについて、さらに次のように話します。
「『インフルエンザにかかっても、最終的には治るから』『去年も予防接種をしてないけど、かからなかったし』と、軽く考えていないでしょうか。インフルエンザの症状自体は風邪に似ていますが、脳症や肺炎などの重篤な合併症を引き起こす可能性がある病気。
小学生で重篤化するのはまれですが、下に乳幼児のお子さんがいるご家庭では、特に注意が必要です。今まで健康上、何の問題もなく過ごしてきた子が、インフルエンザの重い合併症で命を落としたり、助かっても寝たきりになったりするケースもあります。流行時期の前にワクチンを打っておくことは、感染予防だけでなく、このような重症化を防ぐ意味もあるのです」(同)
13歳未満は、インフルエンザの予防接種を2回受けたほうがいいとのことですが、どんなスケジュールで受けるといいのでしょうか?
「インフルエンザワクチンを打って効果が出てくるのが3~4週間後から、また、獲得した免疫は4~5か月持続するといわれています。そのため、インフルエンザが流行する1~3月に免疫を上げるには、次のスケジュールで予防接種を受けておくといいですね。
1回目:10月中旬~11月中旬
2回目:11月~12月
10月中旬に、わが家の子どもたちも1回目の予防接種を済ませたところです」(同)
予防接種を受けるのを忘れていて12月になってしまった場合は、どうすればいいのでしょうか?
「それからでも遅くはないので、12月に1回、年明けすぐに1回というスケジュールで受ければいいと思います。インフルエンザの予防のためには、まったく受けないよりは、年末までに1回でもワクチンの接種を受けておくといいでしょう。
インフルエンザワクチンの効果が持続するのは4~5か月間とお伝えしましたが、それを過ぎて免疫がゼロになるわけではありません。去年、お子さんが予防接種を2回受けているのなら、1回でも免疫が上がりやすくなります。
ただし、お伝えしたように、ワクチンが効き出すのが打ってから3~4週間後なので、年末年始に受けた場合は、きちんと抗体が上がるのが2月近くになってからです」(同)
インフルエンザワクチンには、卵の成分が含まれていると聞きます。子どもに卵アレルギーがある場合、予防接種を受けてもいいのでしょうか?
「日本のインフルエンザワクチンに含まれる卵の成分はごく微量なので、軽い卵アレルギーなら予防接種を受けても問題ないケースが多いですが、まずはかかりつけ医に相談をしてください。
当院では、卵アレルギーが心配なお子さんは、午前中に予防接種を受けていただき、その後、自宅で数時間様子をみてもらい、何かあっても対応できるようにしています。クリニックによっては、卵アレルギーがある場合は予防接種を受けつけていないことがありますので、予約をするときに確認してみてください」(同)
「子どもだけではなく、周りの大人も予防接種を受けることで、家庭・学校など集団での感染を防げます」と保田先生。10月中旬~12月までに家族で予防接種を受けるようにしたいですね。
(取材・執筆:掛川ゆり)
東京衛生病院 小児科医。6歳、4歳、2歳の3人の子どものママ。
日本小児科学会専門医。「子どもの心」相談医。専門は小児科一般、小児循環器。
筑波大学を卒業後、国立国際医療研究センター、大阪市立総合医療センターを経て、東京女子医科大学大学院で博士号を取得。第一子を出産後、東京衛生病院小児科へ。日々の外来診療に加え、医学的に根拠のある子どもの健康の情報をブログ、セミナーなどを通して発信。育児、仕事などで忙しいママが安心し、子育てが幸せに感じられるようにサポートしている。
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