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年長 2018年10月30日の記事

「生活科」ってどんな科目なの? 学習の目的は?

 

 

 

小学校入学まで半年を切った年長さん。最近の小学校にはどんな科目があるのか、気になってしまいますよね。とくに、1年生から始まる「生活科」とはどんな科目なのか、知らないママやパパは多いことでしょう。そこで今回は、小学1・2年生で学ぶ「生活科」について、岡山県鏡野町立上齋原小学校教頭の影山知美先生に教えてもらいました。

 

 

●実体験から身の回りの人々や自然について知る「生活科」

 

1年生の時間割にある「生活科」。「あれ? そんな科目、自分が子どもの頃にはなかったような…」と疑問に感じる人もいるかもしれません。それもそのはず、生活科は1992年から施行された比較的新しい教科なのです。

 

「平成元年の学習指導要領の改訂で、小学校1・2年生の教科から『理科』と『社会』がなくなり、『生活科』が新設されました。そのため、単純に『理科』と『社会』を統合しただけの内容だと思われがちですが、2教科の内容を踏まえつつ、より『具体的な活動』を重視した新しい教科と捉えた方がいいでしょう。自然観察や地域探検といった活動や体験を通じて、身近な生活に関する見方・考え方を育てるのが目的です。

 

生活科では試行錯誤をする時間が十分に取れるよう、授業時数や構成が考えられています。友達と一緒に活動したり、自分の考えと折り合いをつけたりする中で、『失敗を繰り返しながら答えを見つけだす方法』が総合的に学べます」(影山先生)

 

椅子に座って勉強するだけではなく、「具体的な活動や体験」を重視した科目なのですね。「観察」や「探検」…なんだかとっても楽しそうです。

 

 

●「生活科」の具体的な授業内容は?

 

「生活科」で行う授業内容には、新学習指導要領で定められた9つの項目があります。それぞれについて、活動の例をご紹介しましょう。

 

① 学校と生活…学校生活の中で、施設や先生、支えている人々のことを調べる

② 家庭と生活…家庭の中で、自分にできることや家族について調べる

③ 地域と生活…地域で生活したり、働いている人々について調べる

④ 公共物や公共施設の利用…公共物や公共施設を利用して、その働きやルールを知る

⑤ 季節の変化と生活…季節の草花を観察したり、季節の地域行事について調べたり参加する

⑥ 自然や物を使った遊び…植物を使って遊び道具を作ったり、自然を観察して図鑑で調べる

⑦ 動植物の飼育・栽培…うさぎやめだかなどの動物を飼ったり、朝顔やトマトなどの植物を育てる

⑧ 生活や出来事の伝え合い…自分たちの生活や地域の出来事を身近な人々と伝えあう

⑨ 自分の成長…自分の成長を感じ、自分を支えてくれる人たちの思いに触れる

 

「①②③は、学校、家庭及び地域の『生活』に関する内容で、④⑤⑥は、身近な人々や社会、及び自然と関わる活動に関する内容です。いずれも実際に活動することが中心ですが、それだけでなく、観点をしっかり持って調べたり観察をしたりします。その内容をまとめたり、伝えたりするのが⑧になります。①②③④⑤は社会科、⑤⑥⑦は理科の内容にもつながっているのがわかりますね。これらはすべて国語や算数とも関わりがあります。とくに国語の授業では、生活科と関連させて行う単元も多いです。

 

そして、道徳ともつながりが深いのが生活科です。⑨では、自分が成長したことやできるようになったこと、役割が増えたことなどを実感し、周りの人々への感謝やこれからも意欲的に生活しようという気持ちを持たせます」(同)

 

身近な人々や自然との関わり方を学ぶ「生活科」は、「理科」と「社会」だけでなく、全ての科目につながっているのですね。

 

 

●幼児期からの学びを、さらに中学年以降へつなげる「生活科」

 

学校の先生が「生活科」を教える際に、重視しているポイントがあれば教えてください。

 

「生活科はとても奥深い教科だなと私は思っています。子どもたちに自由に活動させながらも、何に気づかせ、何を理解させ、何を考えさせていくのか、教師の心構えも大事になる教科です。地域の人や自然、物を対象としていますから、子どもたちに何の教材をどのような視点で学習させるのか、それぞれの先生方が考えて授業を組み立てています。

 

また、生活科は、保育園・幼稚園から小学校、そして中学年以降へとつながる大事な教科です。幼児期の教育要領で示される『10の学び(1. 健康な心と体 2. 自立心 3. 協同性 4. 道徳性・規範意識の芽生え 5. 社会生活との関わり 6. 思考力の芽生え 7. 自然との関わり・生命尊重 8. 数量・図形、文字等への関心・感覚 9. 言葉による伝え合い 10. 豊かな感性と表現)』を意識して、それを引き継ぐような指導を行っています。そしてこの学びが、理科や社会科、道徳など、今後どこにつながっていくのかを明確に意識して進めています」(同)

 

様々な体験から、思考力や判断力、表現力を育てる生活科は、「遊びを通して学ぶ幼児期」から「中学年以上の理科や社会」にまでつながっています。自分を支えてくれる人々や地域、そして身の回りの自然を改めて知ることができる大切な科目なのですね。

 

(取材・執筆:宇都宮薫)

 

 

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