旅行ジャーナリスト。1児の母。「旅を通じて人・地域・社会が元気になる」をモットーに、2001年に活動開始。旅を通じて子どもの生きる力を育む「旅育」を提唱し、さまざまな媒体で家族旅行の魅力やコツについて発信している。著書『家族旅行で子どもの心と脳がぐんぐん育つ~旅育BOOK』(日本実業出版社)は全国の書店・ネット書店で販中。
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週末・その他
年長 2018年7月23日の記事
親子で海外旅行、安全に楽しく行ってくるための事前準備
年長ではじめての海外旅行【第3回】
旅行は、行く前の準備も大切。特に海外へ行く場合は、より万全にしておきたいものです。第1回では「事前準備から子どもと一緒にやることで、子どもの学びが深くなる」というお話もありましたが、実際には何をすればいいのでしょうか? 海外で何かが起きたときのためのリスクヘッジ法とは?
引き続き、『家族旅行で子どもの心と脳がぐんぐん育つ~旅育BOOK』(日本実業出版社)の著者である、旅行ジャーナリストの村田和子さんに取材。年長から小学校低学年の子どもと行く、親子海外旅行の準備についてうかがいました。
●まずはパスポート申請。受け取りには子どもも同行させて
海外旅行には、もちろん0歳からパスポートが必要。申請から受け取りまで通常一週間程度かかるので、旅行を決めたらまずは申請に行きましょう。
「子どものパスポートについては、必要書類と子どもの顔写真があれば申請は親だけでできます。ただ、受け取りは本人以外できないので、子どもも同行させる必要があります。
事前にパパ・ママのパスポートを見せながら、海外に行った時の身分証明書であること、出入国に必要なことを説明しておきましょう。そのうえで『あなたのパスポートを取りに行くんだよ!』と言えば、子どもも事情が分かって、長い待ち時間もワクワクして過ごせると思います」(村田さん)
なお、アメリカ(ハワイ含む)に行く際は、家族分のESTA(電子渡航認証システム)の申請が必要。パスポート取得後、親が速やかに申請をすませましょう。
●旅の行程を共有することで、学びを深めよう!
「次に、親子で旅の行程を共有しておきましょう。どこへ行く、何で行く、どれぐらいの時間がかかって、何をするぐらいでいいので、全体像をつかませてあげてください」(同)
移動にかかる時間を共有しておくと、旅行中に時間感覚を鍛えることもできるそう。
「例えば、電車に2時間乗るという話をしておけば、『まだ?』と聞かれたときに『30分経ったよ。あと1時間半あるから、その間どう過ごそうか?』という会話ができます。ほかにも、駅で電車の待ち時間があるなら、『15分あるからトイレに行けるね』と話してみたり。限られた時間で何ができるかを考える練習になります」(同)
事前の学びというと、親子で世界地図を広げて「ここに行くんだよ!」という話もできます。
「地球儀や地図、Google mapなどを使った行き先チェックは必ずしておきたいですね。自分の住んでいる国からどれだけ離れていて、どんな特徴があるのか、『おばあちゃんの家がここだから、おばあちゃんの家に行くよりもずっと遠くだね』『日本よりずっと小さい国なんだね』などと会話しながら一緒に確認してください。親も意外と発見があって面白いですよ」(同)
事前に学んだ地形を飛行機の上から再確認することができれば、子どもの記憶にも残りそうですね! ほかに文化などで学んでおくべきことはありますか?
「身近なもののほうが関心を持ちやすいので、食文化について話をしておくのがいいと思います。ガイドブックやネットの情報を見せながら、どんな食べ物があるかを確認して、何を食べようか相談する程度でOK。どんな味だと思うか、どんな材料を使っているのかなど疑問を投げかけると、子どもがより興味を持つこともあります」(同)
現地のことを知るために、「こんにちは」「ありがとう」などのあいさつは現地語で覚えておくといいとのこと。旅行前の数日、実生活で使ってみても楽しそうです。
●万が一に備えて、親がしておくべきリスクヘッジ
海外は言葉も文化も違う環境。何か起きたときのためのリスクヘッジには心を配ってほしいと、村田さんは話します。
「海外旅行保険は、必ず子どもの分も入ってください。クレジットカードの付帯保険で済ませる人が多いですが、子どもも対象になることはめったにないので、かけ忘れてしまいがちなんです。親より子どものほうが、熱を出したり物を壊したりする危険性は高いですからね」(同)
現地で災害などが起きたときのための準備は、どのように進めればいいでしょうか。
「事前に必ずチェックしておきたいウェブサイトが、外務省の『海外安全ホームページ』と『たびレジ』です。『海外安全ホームページ』には、治安情勢や感染症、犯罪事例などが紹介されているほか、緊急時の連絡先もまとめてあります。番号を控えておきましょう。
『たびレジ』は、現地での事件や事故、トラブルなどをメールで知らせてくれるサービス。渡航先の国や地域、期間とともにメールアドレスなどを登録しておくと良いでしょう」(同)
また、旅行代理店などでもらった旅程表の控えは、祖父母など、日本にいる家族に渡しておくのを忘れずに。スケジュールやホテルの連絡先なども伝えておきましょう、とのことです。
リスクヘッジの意味で、必ず持っていきたい持ち物はありますか?
「おなかの薬、風邪をひいたときの薬、持病の薬は、必ず飲みなれたものを持っていきましょう。小児科でお願いすれば、旅行に行く日数分、処方してくれるはず。持病があって心配な場合は、かかりつけ医に相談しましょう。海外用の診断書を書くなどの対応をしてくれます」(同)
さらに、これからの暑い季節は、熱中症対策も欠かせません。帽子、日焼け止め、飲み物、塩飴は荷物に入れておきたいそう。
●危険から身を守るため、言い聞かせたい「3つの約束」
「お子さんを危険から守るために、いくつか約束もしておいてください。海外で気を付けたいのは、迷子、水、トイレの3点。知らない国ではぐれたらおおごとですし、水道水は何も言わないと飲んでしまいがち。また、トイレも日本ほど行きやすい環境はありません」(同)
具体的には、以下のように説明するといいとのこと。
・「海外は日本と違うから、必ずパパ・ママと一緒に行動しようね。人混みでは必ず手をつなごう」
・「この国では水道水を飲めないから、必ずミネラルウォーターを飲もうね」
・「出かける前は、必ずホテルのトイレに行っておこうね」
子どもは、日本で当たり前のことが、海外では当たり前ではないことを知りません。ポイントを絞って伝え、しっかり覚えさせましょう。
トラブルに翻弄されては、せっかくの親子旅行も台無しに。海外旅行をかけがえのない思い出にするためにも、事前準備は入念にしておきたいものですね。
(取材・執筆:有馬ゆえ)
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