加藤篤(かとう あつし)
NPO法人日本トイレ研究所 代表理事
災害時のトイレ・衛生調査の実施、小学校のトイレ空間改善、小学校の先生を対象にした研修会、トイレやうんちの大切さを伝える出前授業を展開。災害時にも安心して行けるトイレ環境づくりに向けた人材育成に取り組んでいる。おもな著書に『四快のすすめ』(共著・新曜社)、『元気のしるし朝うんち』(共著・少年写真新聞社)、『水の知』(共著・化学同人)、『うんちさま』(共著・金の星社)など。
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生活・しつけ
年長 2018年5月23日の記事
親子とも大きな関心事のひとつ、小学校生活でのトイレ。男の子の場合は家庭ではなかなか見かけない「小便器」をうまく使えるか……という心配事もひとつ増えます。そこで今回は、小学生のトイレ事情にくわしいNPO法人日本トイレ研究所の加藤篤さんにお話を伺いました。
そもそも、最近の小学校では小便器が使われているのでしょうか?
「個室で座ってする子と小便器を使う子のどちらが多いかは分かりませんが、小学校では小便器が使われています」(加藤さん)
パパママ世代の小学生時代と同じで、男子トイレには小便器と個室のどちらもあるようです。個室で座っておしっこをすることもできるようですが、立ってもできるようにしておくことで、なにかメリットはあるのでしょうか?
「その子の好きなスタイルでするのが一番よいと思います。ただ、小学校や公共のトイレのほとんどに小便器があるので、立っておしっこできた方が何かと便利です。個室は数が少なくて混雑したり、うんちの人を待つには時間がかかったりします。小便器が使えればすぐに用を足すことができます。また、立っても座ってもできた方がそのときの状況に合わせて対応できるので安心です」(同)
ただ、ママが小便器を使って教えられる場面というのは限られると思います。学校などでも教えてくれるのでしょうか?
「身の回りを清潔にすることや、排泄を自分でできるようにすることは、幼稚園や保育園でもサポートしてくれると思います。家庭ではパパやお兄ちゃんに教えてもらえると心強いのはもちろん、例えば外出時に、男の子同士で連れ立ってトイレに行くことを通して身につけるのもよいでしょう。立ってする方法だけであれば、家の洋式トイレでママが教えたり、練習を見守ったりすることもできますね」(同)
家のトイレで立ってすることはいい練習にはなるものの、ママとしては、「汚れるから家では座ってしてほしい……」という本音もつい出そうになります。何か対策はあるのでしょうか?
「排泄はとてもデリケートで、子どもの自尊心にも関係すると思います。そういった意味では、多少の汚れはグッと我慢して、もし汚れてしまったら一緒に掃除をするのがよいと思います。
2015年のライオン株式会社の発表(『知らなきゃ良かった トイレの秘密シリーズ 第4弾 』)によると、立ってする場合、便器の中のどの位置を狙うかによって、汚れ方に大きな差が出ることが明らかになっています。奥・中央・サイド・手前の4つにわけた場合、『奥狙い』が最も多くて 1 回で 7550滴もの『尿ハネ』が飛び散り、それ以外では 1 回あたり約 300 滴が飛び散ることがわかりました。練習のときからなるべくはねない場所を狙うことを一緒に考えることもいいですね」(同)
子どもと一緒にトイレ掃除をすることで、『トイレをキレイに使うこと』を意識してもらえそうです。ぜひ、早いうちから取り組んでおきたいですね。
最後に、「排泄はその子にとって安心できる方法でしたほうがよいと思います。安心できないと排泄することが嫌になったり、我慢につながったりします」と加藤さん。立ってすることには多くのメリットがあり、最終的には立っても座ってもできるようになるのが理想ではありますが、おしっこすることが苦痛になっては元も子もありません。子どもの気持ちや性格、ペースにも配慮しながら、一緒にゆっくりゴールをめざしましょう。
(取材・執筆:高柳涼子)
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NPO法人日本トイレ研究所 代表理事
災害時のトイレ・衛生調査の実施、小学校のトイレ空間改善、小学校の先生を対象にした研修会、トイレやうんちの大切さを伝える出前授業を展開。災害時にも安心して行けるトイレ環境づくりに向けた人材育成に取り組んでいる。おもな著書に『四快のすすめ』(共著・新曜社)、『元気のしるし朝うんち』(共著・少年写真新聞社)、『水の知』(共著・化学同人)、『うんちさま』(共著・金の星社)など。
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