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生活・しつけ
年長 2014年8月6日の記事
学校でのウンチは、男の子にとって大問題[8/6]
《学校のトイレでウンチ、できるかな? 2 》 家庭でオープンにウンチの話ができる環境を!
入学前の気になるトイレ対策について、前回は、トイレのマナーや失敗したときの対処法などについてうかがいました。一方で、学校のトイレでは絶対にウンチをしたくないという子も多いようです。いったい何が原因なのか、今回もアクトウェア研究所代表の村上八千世さんにお話をうかがいます。
●ウンチはくさくて汚いだけものじゃない
小学生に対するある調査結果では、半数以上の子が『どうしても我慢できないときだけウンチをする』または『絶対にしない』と回答しているそうです。
村上 「今に始まった問題ではないのですが、理由は、トイレの環境のほかにも、個室に入っているとすぐにわかってしまうため『お前、ウンチしただろ』とからかわれるからということが大きいようです。高学年の、特に男の子に多く見られますね。どうしてもしたくなったときは、わざわざ教室から離れたトイレに行くなど、涙ぐましいほどの努力をしているようです。排便を我慢すると頑固な便秘の原因にもなりますし、集中力の低下にもつながるので、笑い事ではありませんよね。
もっともからかいは、仲良しの始まりでもありますから、そこから仲良しになれれば問題はないんです。でも残念ながら、個室に入っていることがわかると、ドアをたたかれたり、『なんで学校でするんだよ』とか『くさいだろ』などとやじられたりと、どんどんエスカレートしていってしまうケースも少なくありません。
なぜそういうことをするのか、子どもに聞くと『学校でやるなんて信じられない』なんて言う子もいます。ウンチはくさい、汚い、意味がないものという偏見があるんですね。それは、大人が排泄物をタブー視したり、マイナス面ばかりを強調してしまうことにも大きな原因があるように思います。
たしかにウンチは汚いものではあるけれど、自分の体から出たものだし、それを見るだけで今の自分の健康状態もわかります、そして何よりも排泄せずに生命を維持することはできないわけで、とても意味があるもののはず。本当はその意味を理解してオープンに語れれば、『くさい』なんていじめの元になることもなくなるし、健康や自分の体に対する意識を高めるきっかけにもなると思うんです」
●ウンチへの理解を深めるには、低学年がカギ
からかいは女の子にもないわけではありませんが、男の子はかなり苦労してるんですね……。では、子どもが学校で我慢せずにウンチができるようになるためには、どうすればいいのでしょう?
村上 「子どもの、ウンチに対する理解を深めることが一番です。でも、学校でウンチをするのが『イヤだ』『恥ずかしい』という感覚や、からかいなどの問題は、一般的に高学年から見られるのですが、一度こうした感覚が身につくと、学校の指導でどんなにウンチに意味があるかを伝えても、なかなか変えられません。高学年になってからでは遅いんですね。
4、5歳くらいでは、ウンチをむしろ『面白い存在』として捉えていて、まだ恥ずかしさはほとんど出ていません。
そこで重要になってくるのが低学年です。1、2年生くらいだと『ウンチって大切なものなんだよ』って言うと『そうなんだ』と素直に受け止める子がほとんど。ですから低学年のうちに、家庭でもウンチに対してオープンに話ができる環境を作ることが、子どもたちのウンチに対する理解を深めるカギなのだと思います。
トイレトレーニングが終わると、子どもの排泄について興味がなくなる親がほとんどなのですが、幼児期から家族の中で、毎日の会話の中に自然にウンチの話が出るようにしてほしいですね。『今日は出たの?』『どんなの出た』とか、その程度で十分です。
私は、ウンチの状態別にネーミングがあると会話に便利なのではと思い。絵本も作りました。例えば軟らかい状態のウンチを『うんぴ』『うんにょ』、硬いときは『うんご』と言うようにすれば、子どもも『今日はうんぴだったよ!』と気軽に言えるし、親も『ちょっとお腹がゆるいのかな』と見当がつきますよね。
トイレで出した後、流す前に形やニオイ、色を見る習慣ができると『昨日野菜をたくさん食べたから、バナナウンチが出た』『お肉をたくさん食べたらニオイがきつくなる』など、食生活や体調がウンチの状態でわかるようになってきます。そうすれば、ウンチはくさくて汚くて意味がないものという偏見を持つこともなくなるのではないでしょうか。もちろん、紙で拭いたあとは必ず手を洗うとか、食事中に話題にしない、人前で連呼しないなど、マナーを守ることも大切です」
生理的な感覚の問題だけに難しいかもしれませんが、親自身も排泄に対する意識を変えていく努力が必要なんですね。
村上さん、ありがとうございました。
プロフィール
アクトウェア研究所代表
保育園、幼稚園などの子どもの環境に関するコンサルティングを行なう。とくに子どものトイレ・排泄環境改善に力を入れており、「うんち教室」や「学校トイレ出前講座」などで、ユニークなプログラムを通して、子どもたちに排泄の大切さを教える取り組みを行なっている。
著書にうんこの絵本シリーズ『うんぴょ・うんにょ・ウンチ・うんご』『がっこうでトイレにいけるかな?』(ほるぷ出版)などがある。
アクトウェア研究所HP http://actwarelab.com/