大和田佳世(おおわだ かよ)
絵本・児童書のライター。出版社勤務を経て、絵本紹介サイトなどで執筆。作家へのインタビューも行う。9歳、5歳、1歳を子育て中です。毎回、この時期ならではのおすすめの絵本を紹介していきます。
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生活・しつけ
小学1年生 2018年5月22日の記事
今回より絵本の連載をリニューアルし、読者のみなさまから投稿いただいた「子育てのお悩みや疑問」のヒントになる絵本をご紹介していきます。今回のテーマは「お友達を大切にできる絵本」。小学校に入学して約1カ月が経った子どもたち。新しいお友達がたくさんできたでしょうか? なかなか馴染めずに悩んでいる子もいると思います。「友達を助けること、優しくすることの大切さを絵本を通じて教えたい」「友達がなかなかできずに悩んでいます。友達の作り方を教えてくれる絵本が知りたい」などの声をいただきました。そこで、さまざまな切り口から、友達関係の作り方のヒントになる絵本を5冊、ご紹介します。
◆今回ご紹介する絵本
『ともだちのつくりかた』 (大日本図書)
『いっしょならもっといい』(偕成社)
『あんなになかよしだったのに…』(ひさかたチャイルド)
『みんなともだち』(教育画劇)
『やっぱりおおかみ』(福音館書店)
最初に紹介したい本は『ともだちのつくりかた』(たかいよしかず作)です。学校生活がはじまって約1カ月。クラスで話す子はいるけれど、「ともだちできた?」と聞くと自信がない顔をするお子さんもいるかもしれません。そんなとき、本書のチャートやワークシートを親子でやってみて、自分はどんな子なのか、どんな子と友達になりたいのかを、ゲーム感覚で楽しく考えてみてはいかがでしょうか。世の中にはいろんなタイプの子がいます。好きなことや苦手なこと、食べ物の好みや将来の夢だってさまざま。本書は「友達作りの第一歩は、自分を知ることだよ」と教えてくれます。そして「大丈夫、笑顔で話しかけてごらん!」「いろいろな子と友達になるって、楽しいよ」とエールを送ってくれます。
『いっしょならもっといい』(ルイス・スロボドキン作・絵)は、絵のタッチや色彩も、言葉のリズムも、やさしさでいっぱいの絵本です。男の子が「ぼくひとりであそべるよ」と語りかけます。「ひとりでこげるよ。ひとりではしれるよ」…。「でもね、ふたりならもっとたのしくなる。ほらね」と、次々遊ぶ場面を見せてくれます。シーソーしよう、手紙をかこう、でこぼこ道の荷車も誰かが手伝ってくれたらへっちゃらだよ。ブランコをおしてあげるよ、いっしょに走ろう、手をつなごう! 1人遊びが好きなお子さんや、引っ込み思案なお子さんに、そっと手渡したい絵本です。
「ケンカしちゃった…」とお子さんが落ち込んでいたら、読んであげたいのが『あんなになかよしだったのに…』(かさいまり作・絵)。こぐまの「だい」と「ちい」はとっても仲良し。でもある日「だい」がふざけて言った言葉が「ちい」の心を傷つけてしまいます。「もういっしょにあそばない!」と言われて、「ぼくなにかしたかなぁ」と悩む「だい」。仲直りの方法を一所懸命探しますが…? 何気ない一言が友達を傷つけてしまうことや、「ごめんね」と素直に言う大切さを教えてくれます。
『みんなともだち』(二宮由紀子作、海谷泰水絵)は、仲良しの子に新しい友達ができて、浮かない顔の子に読んであげたいユーモラスな絵本です。パジャマのうわぎが洗濯されてロープの上でひらひらしてると、やってきたのは…「こんにちは。ぼく、うさぎ」「こんにちは。ぼく、うなぎ」。うわぎも挨拶します。「こんにちは。ぼく、うわぎ」こうして名前が似た3人は仲良くなりますが、ある日「さなぎ」が友達に加わり、うわぎは面白くありません。焼きもちでぷりぷりしたり、ちょっと意地悪しちゃったりします…。お話の結末はさわやかで、「みんなともだちだよね」と共感できます。ユニークな登場人物と言葉遊びにもくすっと笑えますよ。
『やっぱりおおかみ』(佐々木マキ作・絵)は、ひとりぽっちの子どものおおかみが主人公。仲間を探して毎日うろついています。「どこかに誰かいないかな」「仲間がほしいな」…でも、うさぎの町、ぶたの町、どこへ行ってもみんな逃げていきます。おおかみの子は、「け」と一言。とうとう墓場まで来ても誰も見つけられなかったおおかみは、「おれに似た子はいないんだ」「やっぱりおれはおおかみだもんな。おおかみとして生きるしかないよ」と言います。黒い影のようなおおかみの子は、いつしか堂々として見えます。40年以上に渡り子どもたちに愛されてきたベストセラー絵本。開き直り、自分を信じてこそ、新しい出会いが始まる予感がします。
いかがでしたか? ワークシート付きのものから、友達同士のモヤモヤを描いたもの、開き直りの絵本までさまざまですが、共通するのは「絵本が勇気をくれる」こと。ちょっとした心の持ちようで、友達関係は豊かになっていきます。小学校入学は、社会生活の第一歩。焦らず、その子なりのペースで、新しい友達との関係を築いていけたらいいですね。
(大和田佳世)
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