加藤篤(かとう あつし)
NPO法人日本トイレ研究所 代表理事
災害時のトイレ・衛生調査の実施、小学校のトイレ空間改善、小学校の先生を対象にした研修会、トイレやうんちの大切さを伝える出前授業を展開。災害時にも安心して行けるトイレ環境づくりに向けた人材育成に取り組んでいる。おもな著書に『四快のすすめ』(共著・新曜社)、『元気のしるし朝うんち』(共著・少年写真新聞社)、『水の知』(共著・化学同人)、『うんちさま』(共著・金の星社)など。
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生活・しつけ
小学1年生 2018年5月17日の記事
小学校入学前後の子どもを持つママの大きな関心事のひとつ、学校でのトイレ。家庭では少なくなった和式トイレをうまく使えるか、行きたくなったときに先生に言えるか…など心配は尽きませんが、とくに「うんち」となると大問題ではないでしょうか。そこで今回は、最近の小学校のうんち事情について、子どもの便秘ゼロに向けた取り組みを進めているNPO法人日本トイレ研究所の加藤篤さんにお話をうかがいました。
子ども時代を思い出すと、和式の便器が並ぶ印象が強い小学校のトイレですが、現在はどのような状況なのでしょうか?
「現在、公立小中学校におけるトイレの全便器数は約140万個。そのうち洋便器数は約61万個(43.3%)、和便器数は約79万個(56.7%)(2017年11月文部科学省発表)です。また、公立小中学校のトイレのうち、設置されてから25年以上経っていて改修を必要としているのが約7割(2014年5月1日現在)。老朽化が課題となっています」(加藤さん)
いまだに和式が半数以上。25年というと、パパママ世代のままという小学校も多そうですね。「学校でうんちをするのは恥ずかしい」という風潮はいまもあるのでしょうか?
「昨年、日本トイレ研究所が全国47都道府県の小学生4777名を対象に行った調査では、『学校でうんちをするか』という問いに対し、『ほとんどしない』『まったくしない』と答えたのが51.3%、2人に1人の割合でした。また、学校でうんちを我慢した経験については『よくある』『ときどきある』と答えた児童は合計で56.4%でした。
うんちを我慢してしまう理由として最も多く挙げられたのが『友達に知られたくないから』で 57.0%にものぼり、半数以上の小学生が人目を気にしていることがわかりました。また、その傾向は学年が上がるほど強くなるという結果が出ています」(同)
トイレ事情もうんち事情も、昔とそう変わらないようですが、便意を我慢することは便秘につながることも。そうならないために、家庭でどう教えたらよいのでしょうか?
「うんちをすることの大切さについて、日頃から話題にしましょう。いいうんちが出たらほめてあげるといいですね。また、苦手意識を持つ子も多い和式トイレですが、しゃがむ姿勢をとることで、うんちが出やすくなる場合もあります。世界には『しゃがみ式』というスタイルの国がたくさんあることなども話して、いろいろなトイレが使える方が安心できることを伝え、慣れていけるようにしましょう」(同)
学校や家庭が洋式トイレの場合でも、遠足や校外学習、家族での外出などで和式トイレしかない場面は必ず出てくるもの。ふだんから見かけたら練習しておくようにすると安心ですね。
そもそも学校生活では、休み時間も短く、ましてや授業中などは、ゆっくりトイレの時間を取れません。そのため、朝晩に家でうんちをしたほうが、本人もリラックスできますね。また、家でうんちが出ていれば、学校でがまんする必要もありません。排便の習慣をつけるのに大切なこととは?
「いちばん大切なのは、スッキリ出ているかどうかです。朝するのは理想というより望ましいという感じなので、ほかの時間でも決まった時間に出ている場合は、無理に朝に変更する必要はありません。ですが、バラバラのリズムを整えるなら、朝を目指すとよいでしょう。朝ごはんをよく噛んでしっかり食べると、腸がうごいてうんちも出やすくなりますよ。
排泄は自律神経が担っていますので、自律神経の働きを整えることが大切です。そのためには、生活のリズムを整えるようにしましょう。具体的には、いつも同じくらいの時間に食事や起床、就寝をする習慣をつけることが必要です。また、呼吸や咀嚼、歩行など、リズミカルな運動も自律神経を整えるには効果的といわれています。毎朝、出ても出なくても、トイレに座ることを習慣にするのはよいですね」(同)
規則正しい生活はうんちに関してもメリットが大きいのですね。ほかにも何か、工夫できることはあるのでしょうか。
「うんちをしたくなるのは『交感』と『副交感』の2種類ある自律神経のうち、副交感神経の働きが強いとき。副交感神経はリラックスモードのときに優位になるので、急がせたり、慌てさせたりしては逆効果です。ゆったりとした時間になるように心がけましょう。トイレに好きなものを飾るなどして安心できる空間をつくるのも効果的です」(同)
学校でうんちをしたくなるのは、ある意味リラックスした学校生活ができている証拠なのかもしれません。子ども一人ひとりのリズムなども大切にしつつ、家でも学校でもスッキリうんちが出るように工夫してみましょう。
(取材・執筆:高柳涼子)
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加藤篤(かとう あつし)
NPO法人日本トイレ研究所 代表理事
災害時のトイレ・衛生調査の実施、小学校のトイレ空間改善、小学校の先生を対象にした研修会、トイレやうんちの大切さを伝える出前授業を展開。災害時にも安心して行けるトイレ環境づくりに向けた人材育成に取り組んでいる。おもな著書に『四快のすすめ』(共著・新曜社)、『元気のしるし朝うんち』(共著・少年写真新聞社)、『水の知』(共著・化学同人)、『うんちさま』(共著・金の星社)など。
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