札幌市立屯田小学校 校長。
北海道教育大学札幌分校卒業。札幌市立小学校教諭、北海道教育大学附属札幌小学校教諭を経て、現職。文部科学省「次世代学校支援モデル構築事業」事業推進委員(2017~)の他、北海道社会科教育連盟委員長等を務める。
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学校・まなび
小学1年生 2018年7月13日の記事
初めての夏休みは、子どもが黙々と進められる課題の他に、自由研究が宿題として出されます。親としてもどのように対策をすればいいか迷ってしまうのではないでしょうか? 自由研究とはどんなものか、親のサポートがどこまで必要かについて紹介した前編に続き、今回は自由研究のテーマを決めるヒントや具体的な方法を紹介します。前回同様、札幌市立屯田小学校 校長の新保元康先生に教えていただきました。
頭を悩ませがちな自由研究のテーマは、どのように決めればいいのでしょうか? 例えば、ゲームやアニメが好きだからといって、それをテーマにしてもいいのでしょうか。
「テーマは、本当に自由です。ですから、自分の好きなアニメや漫画を研究するのもよいでしょう。大事なのは『どんな問題意識を持って研究しているか』ということ。自分が大好きなアニメでも、問題意識は子どもによってさまざまなはずです」
問題意識とは、子どもが感じる「疑問」と考えるとわかりやすそうです。例えば「好きなアニメ」といっても、さまざまな内容が考えられます。
・自分の好きなアニメはみんなが好きなアニメと同じなのか?
・年代や性別によって人気のあるアニメが違うのか?
・アニメのキャラクターを使った商品がどれだけあるか?
・そのアニメの作者はどんな人? 他の作品は?
「身近な『なぜ?どうして?』を親子で発見していくとよいでしょう。対象は、今食べているスイカでもいいんです。考え出すときりがないくらいに『?』が浮かんでくるものです。身近で小さな『?』の方が面白いでしょう。お金をかける必要も、遠くに行く必要もありません。『?』はどこにでもあるものなのです」
身近な「?」を見つけるよう、声がけをしていくとよさそうですね。「スイカについて、いくつ『?』を出せるかな?」など親子で競争すると、子どももやる気を出してくれるかもしれません。
「自分の興味関心をもとにテーマを決めて、じっくり深掘りするのが自由研究の面白さ」と新保先生は言います。具体的な手順として、次のように進めるとよいそう。
1.疑問を持つ
2.予想する
3.調査・実験・インタビュー・制作など
4.まとめ・考察
5.表現
まず「疑問を持つ」ところからスタートするんですね。さらに「予想する」とは高度ですが、ここが大切なのでしょう。このように進めることによって、研究の内容がより深まりそうですね。
「ただし、必ずしも全部をする必要はありません。1年生なら、『3.調査・実験・インタビュー・制作など』からスタートしてもいい。活動している間に疑問が出てくることもよくあります」
子どものテーマがなかなか決まらないとき、親がどのように介入していくのがよいのでしょうか?
「なかなか疑問や研究方法が浮かばなければ、一緒に『不思議だね』『おもしろいね』『どうしてかな』『こうやってみようか』『これがいいのでは』と、どんどん話し合ってみてください。話し合い、一緒に動くことで子どもは少しずつコツをつかんでいきます」
上手に手助けしてあげられれば、親子で一緒に楽しく進めていけそうな気がしてきます。ただし、親がサポートする中で、注意すべきこともあるのだそうです。
「叱ったり、急かしたりするのは一番よくありません。疑問を持ち、テーマを思いつくのは、実は難しいことなのです。また、よいテーマを思いついたとしても、調べられる見通しを持つのは、さらに難しい。また、身の丈以上を目指すと、自由研究が嫌いになってしまうこともあります。何度も言うように、まずは親子で楽しめることが一番です。あくまでも主役は子ども。親は、共に楽しませてもらう人と考えましょう。
もうひとつ、親がやってはいけないのは『表現』の部分。親が絵を描いたり、文章を書くのはやめましょう。途中は伴走しても、ゴールを切るのは子供だけにしてください」
学校へ持参するのですから、何らかの成果物が必要。最終的にはどんなものにすればいいのでしょうか。
「何らかの紙にまとめるのが基本です。2学期が始まってすぐに自由研究作品展があるので、そこに展示されることを意識して作るといいでしょう。模造紙もよいですが、画用紙や大きめのノートにまとめると、より保存しやすい。毎年同じ形式にすると、成長とともに進化した様子を後から見返せるほか、徐々にコツを覚えられます。繰り返すことで、自力でまとめられるようにもなりますよ」
まとめる際、大いに役立つのが「写真」だそう。
「子どもが自由研究に取り組んでいる様子を、たくさん写真に撮っておきましょう。『スイカを買いに行ったときの様子・服装・お店』『その日の天気・気温』『売っていたスイカの種類』……。あらゆる取り組みの様子を記録しておくと、後でまとめたり発表したりするときにとても楽しいのです。この写真記録を使えば、音楽の自由研究なども、その記録を写真で提出すれば可能になりますね」
まとめるときの参考にしたり、提出物に貼り付けたりと、写真の使い方は多様なのでしょう。
子どもが楽しめて力を伸ばせる自由研究にするためには、親の力量も大いに関係がありそうです。子どもの問題意識を引き出し、親子で楽しんで挑みたいですね。
(取材・文:栃尾江美)
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札幌市立屯田小学校 校長。
北海道教育大学札幌分校卒業。札幌市立小学校教諭、北海道教育大学附属札幌小学校教諭を経て、現職。文部科学省「次世代学校支援モデル構築事業」事業推進委員(2017~)の他、北海道社会科教育連盟委員長等を務める。
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