現在放送大学客員准教授/関西大学・昭和女子大学非常勤講師、博士(情報学)。静岡県の公立小学校教諭、関西大学初等部教諭/中等部兼務を経て現職。図書館教育、情報教育に取り組み、著書を多数執筆。教育用情報システムの開発・研究にも複数参加している。現在大学では「司書教諭資格取得科目」を担当。
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学校・まなび
小学1年生 2018年7月4日の記事
夏休みの宿題といえば「読書感想文」が大きなテーマです。この春小学校に入学したばかりの子どもや親にとっては、初めての読書感想文にどう取り組んだらいいのか悩んでしまうところ。そこで今回は、元小学校の教員であり、大学の客員准教授として活躍されている塩谷京子先生に「読書感想文に楽しく取り組むためのコツ」について教えていただきました。
読書感想文で読む本を課題図書の中から選ぶ場合もありますが、今回は好きな本を自由に選べるケースについてアドバイスをしていただきます。まずは読む本を選ぶこと、ここが大きなハードルだと思うのですが、どのようにして本選びを進めたらいいでしょうか?
「読書が好きな子、あまり得意ではない子、さまざまだと思いますが、小1の子どもたちにとって、本を読んでさらに感想文を書くというのはとっても難しいことですよね。ここは、おうちの方がうまくサポートしてあげることが重要です。
まずは、お子さんに『学校の国語の授業で、あいうえおを習った以外にどんなことをやった?』と質問をしてみてください。このとき、国語の教科書を手元に置いておくとわかりやすいです。
すると、『はなのみち』『くちばし』(光村図書)、『とんこととん』『どうやってみをまもるのかな』(東京書籍)、『くまさんとありさんのごあいさつ』『すずめのくらし』(教育出版)、『いいものみつけた』『いきもののあし』(学校図書)など、1学期の国語の時間に習ったいくつかのタイトルが出てくると思います。
次に、『その中で、どのお話が好き?』と聞いてみましょう。この質問で、子どもの好きなジャンルの見当がつくのです。光村図書の教科書を例にすると、『はなのみち』は『物語』ですから、登場人物が出てくるお話が今でも心に残っているということになります。『くちばし』は『説明的な文章』ですから、事実を伝えた文章の方が好みかもしれないと予想がつきます」(塩谷先生)
音読の宿題で教科書の内容を知ってはいましたが、子どもがどの話が好きかまでは考えたことがありませんでした!
「どの学校の教科書でも、1学期の間に『物語』と『説明的な文章』の両方を習っているはずです。『はなのみち』が好きな子であれば、読書感想文も『物語』の本を選べばいいですし、『くちばし』が好きな子は、事実が書かれた『説明的な文章』を選ぶと書きやすいですよ」(同)
最近はネットなどでもさまざまな情報が得られますが、やはり実物を手に取って本を選ぶのが一番だと塩谷先生。おすすめは図書館に行くことなのだそう。
「子どもの好みがわかったら、一緒に公共図書館に行って本を選びましょう。『くちばし』が好きな子どもであれば、『くちばしみたいな本で面白そうなものを探そうか』と声をかけます。5冊ほど選ばせたら、その本を仲間分けしていきます。
もしも選んだ中に図鑑があったら『これは写真だけで、文字があまり書いてないね。くちばしとは少し違うね』というように、適した本を親子で探していきましょう。登場人物のセリフがある『物語』なのか、第三者が事実を説明している『説明的な文章』かを、親も一緒になって考えながら仕分けしていくといいですね」(同)
探している本がどこにあるかわからない場合は、どうしたらいいでしょうか?
「公共図書館には必ずレファレンスというコーナーがあります。そこでスタッフの人に教科書を見せながら、『読書感想文を書きたいのですが、『くちばし』のように生き物や植物のことが書いてある本はありますか?』などと相談すると、いろいろと教えてくれますよ。ぜひ利用してみてください」(同)
選定していく中で、もしかするとはじめに答えたジャンルではないものを選ぶかもしれません。
「それはそれでいいのです。大切なのは、じっくりと内容を見て、親子で楽しみながら本を探すこと。こうして選んだ数冊を借りて帰りましょう。
この段階では、まだ1冊に絞れなくても構いません。もちろん、お気に入りの1冊に出会えた場合はその本でOKですが、すぐにはコレと決められない子も多いと思います。気になる本を何冊か持ち帰って、おうちでゆっくりと中身を読んでから、最終的に1冊を決めれば大丈夫ですよ」(同)
何冊か読書感想文用の本を選んだら、次はお母さんが声に出して読んであげることが一番だと塩谷先生。「1日1冊ずつ子どもの前で読んであげましょう」とのことですが、いきなり子どもに読ませるのはよくないのでしょうか?
「小学校低学年の子どもの長所は、なんといっても耳がいいことです。目から入ってくる情報よりも耳から入ってくる情報の方が圧倒的に多いのです。ましてや、文字自体は読むことができても、文章として意味を考えながら読むことはまだまだ難しい年齢。学校でも、必ず先生が読んだ後に続いて子どもたちが音読しているはずです。一緒に挿絵や写真を見ながら、まずはお母さんが読み聞かせてあげましょう。もちろん、『自分で読みたい』と子どもが手に取って読み始めたら、その気持ちを優先します。
3冊借りてきたら3日かけて、ゆっくり読んであげましょう。一気に読むと余韻が残らず、お話が混同してしまうこともあるからです。すべて読み終わったら『どれが一番おもしろかった?』と子どもに尋ねます。選んだ1冊を、読書感想文として書けばいいのです」(同)
ちなみに、どれくらいのボリュームの本が小1に適しているのか気になりますが、子どもが中身を見ながら選んだ本であれば、多少長くても読めるのだそうです。何か困ったら、公共図書館のレファレンスで相談してみるといいですね。次回は、感想文を仕上げるための具体的な手順と親ができるサポートについて教えてもらいます。
(取材・執筆:水谷映美)
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現在放送大学客員准教授/関西大学・昭和女子大学非常勤講師、博士(情報学)。静岡県の公立小学校教諭、関西大学初等部教諭/中等部兼務を経て現職。図書館教育、情報教育に取り組み、著書を多数執筆。教育用情報システムの開発・研究にも複数参加している。現在大学では「司書教諭資格取得科目」を担当。
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