現在放送大学客員准教授/関西大学・昭和女子大学非常勤講師、博士(情報学)。静岡県の公立小学校教諭、関西大学初等部教諭/中等部兼務を経て現職。図書館教育、情報教育に取り組み、著書を多数執筆。教育用情報システムの開発・研究にも複数参加している。現在大学では「司書教諭資格取得科目」を担当。
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小学1年生 2018年7月9日の記事
もうすぐ初めての夏休みがやってきます。子どもたちが心待ちにしている一方で、長い休みをどう過ごして良いのかわからない、宿題を計画的にできるか不安というママもいるのではないでしょうか。
今回は「夏休み前に準備しておきたいこと」について、元小学校の教員であり、大学の客員准教授として活躍されている塩谷京子先生に教えていただきました。
長いようであっという間に終わってしまう夏休み。ともすると家でダラダラ過ごしてしまいがちですが、事前にしておくべきことはありますか?
「夏休みは、体も心も大きく成長する大切な時期です。また、子どもたちは小学校に入学してからの3カ月半で、規則正しい生活リズムや小学生としての生活の仕方が身についてきました。それらのリズムを崩すことなく有意義な時間を過ごすために、事前に親子でしておきたいことが3つあります」(塩谷先生)
①夏休みの過ごし方を親子でイメージする
まずは、夏休みをどのように過ごしていこうか親子でイメージすることが大切と塩谷先生。
「初めての夏休みを迎える子どもたちは、ワクワクと同時に、やるべき宿題が出されていることで少し不安があるかもしれません。そこで、夏休みの過ごし方をイメージする時間を親子で作ること、これがステキな夏休みのスタートを切る第一歩になります」(同)
そもそも夏休みとは「1学期の間に学校でしてきたことを、家でやる期間と考えるとわかりやすいですよ」と塩谷先生。
「たとえば、子どもに『いつも学校に行ってどんなことをしてる?』と尋ねてみてください。勉強、給食、掃除、昼休みに友達と遊ぶ……いろいろ教えてくれると思います。それらを『家でやる期間が夏休みなんだよ』と言い換えましょう。
なかには『遠足に行ったよ』と教えてくれる子もいるかもしれませんね。『同じように、家族でもお出かけする日を作ろうか!』というように、親子でコミュニケーションをとりながら夏休みをどう過ごすかを考えていくといいと思います」(同)
学校でしていることを家に置き換えることで、夏休みの過ごし方が具体化されますね。
「学童に行っている子や習い事をしている子も多いと思うので、それらは夏休みであっても変わらず、いつも通りと捉えます。あくまでも、学校で過ごしていた時間が家で過ごす時間に置き換わると考えると、夏休みの過ごし方をイメージしやすいでしょう。
だいたいの項目が出てきたら、夏休みのタイムスケジュールをざっくりと立てます。『細かく立てすぎないこと』と『予定なので変更はあって当たり前』、この2つを意識しながら、カレンダーやスケジュール表などに書き出してみるといいですね。目に見える形にすることで、夏休みの具体的な過ごし方を子どもが想像できますよ」(同)
②夏休みを過ごす「自分の場所」を作ろう
「家での過ごし方がイメージできたら、次は夏休みを過ごす場所を作ります。学校の教室に自分専用の机やロッカーがあるように、家の中にも子ども専用のスペースやコーナーを作ってあげることが大切です。
『学校では教科書やノートはどこに置いてる?』とひとつひとつ子どもに教えてもらいながら、『そういう場所をお家でも作ろうね』と場所を作っていきましょう」(同)
いつも宿題をしている机ではダメでしょうか?
「もちろんそれでも構いませんが、たとえばデスクマットに挟んでいるシートを変えたり、机周りを整理したりして、普段と雰囲気が違う夏休み仕様にしてあげるといいと思います。これで視覚的にも『夏休み』だと意識できます。ここで夏休みを楽しく過ごしたいな、と思えるような場所を子どもと相談しながら作りましょう。
また、周りに余分な物があると宿題に集中できません。使わないおもちゃなどはもちろんですが、夏休み前に学校から持ち帰ってきたものも、見えない場所に片付けてしまうのがおすすめです」(同)
学校で使っているものまで片付けるのはなぜですか?
「あくまでも『夏休み用』と気持ちを切り替えることが目的です。夏休みは、普段よりもずっと長い時間を家で過ごします。家での過ごし方を学ぶ大切な時期でもあるのです。
たとえば、『夏休みに使わないランドセルは、学校が始まるまで大切にしまっておこうね』、『学校で毎日使っていた道具箱もしまっておこうか』、『夏休みに使う文具は引き出しに入れておく?』というように、話し合いながら机周りを夏休みモードに変えていきます。そうすることで、子どもは『夏休み』をしっかり意識して過ごすようになります」(同)
③夏休みの宿題をひとつひとつ分類しよう
「夏休みのイメージができ、過ごす場所が作れたら、次はいよいよ宿題です。まずは、『どんな宿題が出た?』と子どもに宿題の内容を教えてもらい、ひとつひとつカードや紙に書き出していきます。
書いたカードは、いつも目につく場所に貼ったり、机のシートに挟んでおいたりしておきます。こうしておけば、親子共にどんな宿題があったかを忘れませんよね。
すべてカードに書けたら、次は色をつけたり、印をつけたりして『1人でやった方が楽しい宿題』と『お家の人と一緒にやった方が楽しい(一緒にやりたい)宿題』にわけてみましょう」(同)
宿題を分類するのですか?
「親子で話し合いながら分類することで、宿題をどう進めていくかを子どもがイメージしやすくなるのです。1人でやると言ったものはもちろん1人で、一緒にやりたいと挙げたものは、最初からそばで一緒にやってあげましょう。この分類をすることで、この先何でもかんでも親に依存することなく、自分自身で宿題や課題に取り組んでいく姿勢が育めます。
また、宿題の分類ができると、最初に立てたスケジュールを調整していくことができます。ママと一緒にやりたい宿題は、夕飯後など親の手が空く時間に。1人でやりたい宿題は午前中に1人でやる、というように、より具体的に夏休みの過ごし方がイメージできますし、生活のリズムを崩すことなく過ごすことができますよ」(同)
大切なのは、子どもの自主性を尊重しながら、親子で話し合って考えていくということ。今回ご紹介した3つを夏休みのスタート時点でやっておけば、8月後半になって「まだ宿題をやってないの? 小学生なんだから自分でやりなさい!」なんて叱らなくてもよさそうですね。
初めての夏休みをより楽しむために、そしてこれから何回もある夏休みをより豊かな時間にするために、小1の夏休みの準備時間を大切にしましょう!
(取材・執筆:水谷映美)
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