今井孝成(いまい たかのり)
医学博士。昭和大学医学部小児科学講座 講師。日本小児科学会専門医。日本アレルギー学会指導医・代議員。日本小児アレルギー学会評議員。厚生労働省『食物アレルギー診療の手引き2014』研究委員会委員。
診療とともに、アナフィラキシー(アレルゲン曝露後に短時間で重篤な状態になるアレルギー反応)について、保護者や教育関係者に啓蒙活動動を行っている。
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生活・しつけ
年長 2016年10月3日の記事
全国の小学校で来春入学の新1年生を対象にした就学時健康診断が始まる時期。
子どもに食物アレルギーがあり、給食での対応が必要な場合、アレルギーについて学校側に相談することができる場でもあります。
正しい対応を学校に依頼するためには、保護者の自己判断などではなく、きちんと検査を受けたいもの。
そこで、食物アレルギーの診断にはどんな検査が必要で、どこで受けられるのかなどについて、昭和大学医学部小児科学講座講師の今井孝成先生にうかがいました。
●成長するうちに食べられるようになる食品もある
就学にあたって、学校で給食のアレルギー対応などをしてもらうためには、必ず検査を受ける必要があるのでしょうか?
今井 「小学校の給食などで食物アレルギーの対応をしてもらうためには、医師(可能であれば専門の医師)に診断してもらい、その結果を正確に学校側に伝えることが必要です。
具体的には、学校から『学校生活管理指導表(アレルギー疾患用)』を受け取って医師に記入してもらい、学校側に提出することになります。そのためには、どの食物を食べるとアレルギー反応がどれくらい出るのかを、知っておく必要があります。
定期的に診療や検査を受けているのであれば問題ありませんが、乳児期に診断されたときに一度検査しただけで、その後は診療も検査も受けないまま、同じものをずっと家庭で除去していたり、親御さんの自己判断で、実はアレルゲン(アレルギーの原因となるもの)ではない食べ物まで除去しているケースも少なからず見受けられます。
心当たりのある方は、就学時健診をひとつの機会ととらえて、必ず検査を受けましょう。
というのも、人によって違いはありますが、例えば鶏卵、牛乳、小麦、大豆のアレルギーは3歳で約5割、6歳で約7〜8割の確率で治ると言われています。
食べられるものもあるのに、過剰な食物除去を行うことは、栄養の偏りを招いて体の成長に影響を及ぼすばかりでなく、子どもの食べる意欲も育ちませんし、食べ物に対して不安や恐怖を与えてしまうことにもなります」
●血液検査で陽性の食物でも、食べられることがある
検査ではどのように調べるのですか?
今井 「まず血液検査で、現在除去しているアレルギー反応があるかどうかを調べます。
ただし、あくまでも血液検査は最初の段階です。血液検査で結果が出たとしても、それで診断がつくわけではありません。
たとえ血液検査で強い陽性反応が出たとしても、その食品を食べられる可能性もあるからです。逆に、血液検査であまり高い数値が出なかった食品でも、食べると症状が出ることもあります。
そこで、さらに正確な診断を下すために、続いて食物経口負荷試験を行います。
検査の内容については、次回ご説明しますが、負荷試験の結果、実は今まで除去していたものが食べられることがわかったというケースも少なくはありません」
今まで除去していたものが大丈夫とわかったら、親御さんは戸惑うのではないでしょうか。
今井 「それ以上に、子どものほうが戸惑います。
それまでは、食べたら命が危ないというくらいに言われていた食べ物ですから、急に今日から食べてもいいということになっても、すぐに喜んで食べたいという気持ちにはなりませんよね。
ですから、もし食べられることがわかったとしても、決して無理強いはせず、子どもが自分から食べられるようになるまで見守っていってほしいと思います」
子どもに不要な恐怖心を与えないためにも、定期的に検査を受けて、今の子どものアレルギーの状況を正しく知ることが大切なのですね。
今井先生、ありがとうございました。
次回は、食物経口負荷試験のやり方や費用などについて伺います。
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今井孝成(いまい たかのり)
医学博士。昭和大学医学部小児科学講座 講師。日本小児科学会専門医。日本アレルギー学会指導医・代議員。日本小児アレルギー学会評議員。厚生労働省『食物アレルギー診療の手引き2014』研究委員会委員。
診療とともに、アナフィラキシー(アレルゲン曝露後に短時間で重篤な状態になるアレルギー反応)について、保護者や教育関係者に啓蒙活動動を行っている。
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