今井孝成
医学博士。昭和大学医学部小児科学講座 講師。
日本小児科学会専門医。日本アレルギー学会指導医・代議員。日本小児アレルギー学会評議員。
厚生労働科学研究『食物アレルギーの栄養指導の手引き2008』の作成委員長を務める。
食物アレルギーを持つ子どもの親に向けた講演なども行う。
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生活・しつけ
年長 2013年11月8日の記事
☆食物アレルギーは、どんな症状が現れるの?
《食物アレルギーの基本 1 》 かゆみ、じんましんなどの皮膚症状だけではなく、消化器、呼吸器など全身に症状が現れる場合も
こんにちは。『ママノート』編集部です。
みなさんは “食物アレルギー” について、どのように思っていますか?
「食べられないものがあるなんて、かわいそう」
もしかして、そんなふうに思っていないでしょうか。
食物アレルギーを持つ子どもは増加傾向にあり、決して特別なことではありません。
だからこそ、大人が正しい知識を身につけ、食物アレルギーの子どもを支える必要があります。
きちんと理解しないまま、周囲の大人から「かわいそうね」というマイナスの言葉を言われたら、食物アレルギーの子も、そのママも辛い思いをするかもしれませんね。
食物アレルギーのお子さんを持つママも、そうでないママにも食物アレルギーについて正しい情報を知ってもらうため、昭和大学医学部小児科学講座 講師・今井孝成先生にお話を伺いました。
●食物アレルギーは免疫機能を介して起こる
今井 「私たちの体には、体内に侵入した異物を排除しようとする免疫機能が備わっています。
食物アレルギーでは、特定の食物を食べると、主にたんぱく質を異物(アレルゲン)として体が認識し、排除しようとします。それによって、さまざまな症状が現れるのです。
免疫機能を介さない食中毒、細菌やウイルスなどによる急性胃腸炎、食物不耐症(例:牛乳を飲むとおなかがゴロゴロして下痢をする)などは、食物アレルギーではありません。決して自己判断しないようにしてくださいね」
●全身に症状が現れることもある
今井 「食物アレルギーの症状(下記参照)の現れ方は人によって異なりますが、最も多いのが、皮膚・粘膜症状です。
また、消化器・呼吸器に現れたり、全身に出現したりすることもあります。
とくに注意しなければいけないのが、複数の臓器に症状が現れる『アナフィラキシー』という状態です。呼吸器症状が出現すると『アナフィラキシーショック』へと進行するリスクが高まり、命を脅かす可能性もあります」
【食物アレルギーのおもな症状】
《皮膚粘膜症状》
■皮膚症状:かゆみ、じんましん、むくみ、赤み、湿しん
■眼症状:白目の充血、ゼリー状の水ぶくれ、かゆみ、涙、まぶたのむくみ
■口腔咽喉頭症状:口の中・くちびる・舌の違和感・腫れ、喉のつまり・かゆみ・イガイガ感、息苦しい、しわがれ声
《消化器症状》
腹痛、気持ちが悪くなる、嘔吐、下痢、血便
《呼吸器症状》
■上気道症状:くしゃみ、鼻水、鼻づまり
■下気道症状:息がしにくい、せき、呼吸時に『ゼーゼー』『ヒューヒュー』と音がする
《全身性症状》
■アナフィラキシー:皮膚・呼吸器・消化器などのいくつかの症状が重なる
■アナフィラキシーショック:脈が速い、ぐったり・意識がない、血圧低下
●何がアレルゲン(アレルギーの原因食物)になりやすいの?
今井 「アレルゲンになりやすい原因食物は以下の通りです。特定の食物に含まれる “たんぱく質” が主な原因だということがわかっています。
食物のたんぱく質は、加工や調理(加熱・加圧・酸処理など)によって、構造が変わる(変性)ことがあります。ですので、例えば生や半熟状態の卵にアレルギー反応が出るけれど、しっかり加熱したゆで卵にはアレルギー反応が出ないという人もいます」
【アレルギーの原因になるおもな食品】
卵、乳、小麦、甲殻類(えび、かに)、そば、落花生(ピーナッツ)、果物類(キウイやバナナ、りんごなど)、大豆、魚類、木の実類(アーモンド、クルミ、カシューナッツなど)、など
次回は、食物アレルギーの診察を受けるときのポイントについてお話を伺います。
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