今井孝成(いまい たかのり)
医学博士。昭和大学医学部小児科学講座 講師。日本小児科学会専門医。日本アレルギー学会指導医・代議員。日本小児アレルギー学会評議員。厚生労働省『食物アレルギー診療の手引き2014』研究委員会委員。
診療とともに、アナフィラキシー(アレルゲン曝露後に短時間で重篤な状態になるアレルギー反応)について、保護者や教育関係者に啓蒙活動動を行っている。
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生活・しつけ
年長 2016年10月4日の記事
前回は、入学にあたって、食物アレルギーの子が受ける必要がある検査について、昭和大学医学部小児科学講座講師の今井孝成先生にうかがいました。
今回は、血液検査の次に受ける「食物経口負荷試験」について、さらに詳しくお聞きします。
●1〜2時間内に、数回に分けて原因となる食物を食べる
「食物経口負荷試験」とは、どんなことをするのでしょうか?
今井 「食物経口負荷試験では、アレルギーの原因になると考えられる食物を食べ、その後の反応を観察します。外来で行う場合と、入院して行う場合があり、施設によって違ってきます。
具体的な検査の方法は、1〜2時間以内に食物を数回に分けて食べるというものです。食べる回数や量の振り分け方などは、例えば、1時間に2回わけて食べる施設もあれば、3回、4回、5回とわけるなど、多少違いがあります。
食べる回数が多ければ、子どものストレスは高くなりますが、万が一のリスクは低くなりますし、食べる回数が少なければその逆というように、それぞれメリット・デメリットがあります。
さらに、1回に食べる量も、2分割(2回に分けて食べる)の場合は、1/3と2/3とか1/4と3/4だったり、3分割の場合は1/3ずつや、1/8、3/8、4/8に分けるところなどもあります。
いずれにしても、通常は徐々に増量していきながら、1時間ないし2時間かけて食べていくのが基本です。
検査とはいえ、アレルギーの原因となる食物を口にする以上、アナフィラキシー(発症後、短時間で重篤な状態に陥るアレルギー反応)が起きる可能性もあるので、医師や看護師などの専門スタッフが見守る中で行わなければなりません。くれぐれも家庭では行わないでください」
●経口負荷試験は1回1品目。1日で完了
検査の日数や費用はどれくらいかかるのですか?
今井 「基本的には、1回の検査にかかる日数は食品1品目当たり1日です。検査食物が複数ある場合は、品目の数だけ日数がかかります。
複数の食物をまとめて検査した場合、結果が陰性なら全部陰性だといちどにわかるのですが、陽性の場合、どれで反応が出たのかがわからないため。1品ずつ行います。
費用は地域によっても違いますが、基本的には9歳未満の小児に対して保険診療としてできるのは年1回です。
ですから、1回以上負荷試験そのものは保険点数で1000点(1万円)、3割負担の場合は3,000円です。
そのほかに入院して検査をする場合は入院管理料等の諸費用が、外来だと再診料等がかかります。いずれにしてもこども医療や乳児医療助成がある場合、自己負担はありません」
●診察は“アレルギー科”よりも“アレルギー専門医”に
検査は近所の小児科やアレルギー科のクリニックなどでもできますか?
今井 「一般的には、クリニックで負荷試験をやっているところは少ないと言えます。
血液検査まではかかりつけの小児科で受けて、負荷試験については専門の施設を紹介してもらってもいいでしょう。試験を実施している施設は、食物アレルギー研究会のホームページ で検索できるので参考にしてください。
なお、医療機関がアレルギー科を標榜するのに特に条件は必要ないため、必ずしもその医療機関にアレルギー専門の先生がいるとは限りません。
アレルギーのかかりつけ医を探したい場合は、“アレルギー専門医”かどうかというのをひとつの手がかりにして、日本アレルギー学会のホームページで検索するといいでしょう。
ただし、専門医も小児科、内科、耳鼻科、皮膚科など各科に分かれています。小児食物アレルギーは、小児科のアレルギー専門医に診てもらいましょう」
今井先生、ありがとうございました。
楽しい学校生活を送れるように、面倒がらずにきちんと検査を受けたいですね。
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今井孝成(いまい たかのり)
医学博士。昭和大学医学部小児科学講座 講師。日本小児科学会専門医。日本アレルギー学会指導医・代議員。日本小児アレルギー学会評議員。厚生労働省『食物アレルギー診療の手引き2014』研究委員会委員。
診療とともに、アナフィラキシー(アレルゲン曝露後に短時間で重篤な状態になるアレルギー反応)について、保護者や教育関係者に啓蒙活動動を行っている。
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