おkayu
栄養教諭・給食の専門家がつくる同名の学校給食サイトを運営するメンバー。3名全員が学校栄養職員として東京都の公立小・中学校に勤務した経験を持つ。サイトは、給食作りについての情報や意見の交換、悩み相談やレシピ公開など、内容も多岐に渡り、学校給食関係者から高い支持を得ている。
「おkayu」
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学校・まなび
小学1年生 2016年1月22日の記事
こんにちは。学校給食の現役管理栄養士&経験者のグループ、「おkayu」がつづるママノート版「給食室だより」です。前回は食器を通して見た給食の歴史について取り上げました。今回は給食施設の変遷についてご紹介します。
●給食施設も様変わり〜「最新施設に潜入」レポ
献立や食器だけでなく、私たちの職場でもある給食施設も時代を経て、大きく変化してきました。ここで安全安心を第一に考える学校給食の最新施設を紹介しましょう。
●広く、作業がしやすくなった下処理室
食材の仕分けや洗浄などの下処理を行なうスペースです。あまり広さに余裕のない施設も多く、食材が混乱しないよう作業するのに気を使います(写真①)。最新型の施設(写真②)では、スペースが広々としていて、荷物の受け入れや仕分けがしやすくなっていますね。
〈写真①〉従来型の下処理室
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〈写真②〉最新型の下処理室
●やけどしにくい回転釜
給食調理といえば、この大きなお釜を思い浮かべる方もいるのでは。以前は煮る、焼く、蒸す、揚げると、なんでもこの回転釜(写真③)がこなしていました。調理師さんが回転釜に触ってやけどをすることも多く「やけどのあとは調理師の勲章」などと言われています。最新型(写真④)は表面を触っても熱くないので、この「勲章」を与えられる機会も減っていくのでしょう。
そして今では写真⑤のように、ゆで野菜をサラダやお浸しなどを作るとき衛生的に急速冷却ができる冷却器(右)や、焼きもの・蒸しもの・炒めものなどでムラなく加熱できるスチームコンベクション(左)なども取り入れられています。なんでも回転釜でこなしていた時代を経て、今では、これらの機器の導入で幅広いレバートリーの料理が可能になりました。
また、最近の給食施設は空調設備が整っています。以前は夏の時期の調理室は暑さでまさに釜ゆで状態でしたが、快適に調理ができるようになりました。
〈写真③〉昭和50年代後半ごろの回転釜。調理中の釜に触って、腕などにやけどをすることはしょっちゅうだった。
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〈写真④〉最新型の回転釜。大釜がさらに大きな容器に格納されているので、やけどの心配も少なくなっている。
〈写真⑤〉冷却器(右)とスチームコンベクション(左)
●衛生的な作業靴の乾燥機
作業後には靴や調理服を洗浄し、乾燥機で乾かします。給食室の調理師さんといえば白い長靴がつきものでしたが、衛生面の観点から調理場の床に水をまいたり、流したりすることができなくなったため、現在では白長靴は無用の長物になってきました。はいていると蒸れたり、疲れやすいと言われた長靴に変わって、スニーカー仕様の作業靴になり、下処理室用(ピンク)と調理室用(白)とに分けて使用しています。これは作業着も同様です。
〈写真⑥〉 昭和のころ調理師さんといえば、この白長靴がトレードマーク。
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〈写真⑦〉 靴は長靴からスニーカー型へ。下処理室用(ピンク)と調理室用(白)に分けて使用する。長靴に比べて通気性やはき心地もアップ。
もちろん、すべての施設がここまで最新鋭なわけではなく、以前からある施設がまだまだ現役というところも少なくありません。私たち給食の現場で働く者にとっては、こんな施設で給食を作れるなんて、夢のようですごく羨ましい!というのが正直な感想です。
とはいえ家庭においても、かつては寒い北側に配置されていた台所が、現在では朝日をあびて調理できるスペースになったように、学校の給食室もやっと進化を始めました。衛生的で働きやすくなりつつある給食室は、「次代を担う児童・生徒の心と体を育てる給食」をめざしてきた調理師さんや栄養士にとって、夢と希望あふれるやりがいのある職場になっていくことでしょう。
次回は、「給食の食べ残し」について取り上げます。
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