【『よい子』は要注意】親にとって都合のよい、自己実現力に欠ける子とは

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【『よい子』は要注意】親にとって都合のよい、自己実現力に欠ける子とは

「何度言ったら分かるの?」「いい加減にしなさい!」と、何度も同じ注意を日々繰り返して疲れる毎日。なぜ、わが子は親の言うことを素直に聞いてくれないのだろうと、悩んでいる方は多いと思います。
しかし、親の都合のよいように子どもを育ててしまうと、自己実現力が育たない「自分がない」状態になってしまうそうです。
教育評論家の親野智可等先生にお話を伺いました。

目次

今年はよい子になる?

ある日、講演が終わってローカル電車で家路につきました。
電車がひなびた駅に停車したので、里山の風景を楽しんでいました。

すると、突然、駅の横の一戸建ての家からお母さんとおぼしき人の叱る声が聞こえてきました。

「おもちゃ片づけなきゃダメでしょ。何度言ったらわかるの! 上靴もまだ洗ってないでしょ。今からじゃ乾かないよ!」

とまあ、こんな感じでした。
子どもも何か言ったみたいでしたが聞き取れませんでした。

そして、またお母さんが「あんた、今年はよい子になるって言ったでしょ!ウソだったの?」と叱りました。

【医師監修】こんな症状が見られたら要注意! 子どものストレスサインの記事はこちら

よい子とはどういう子なのか?

「あ~、よい子か……」と私は思いました。
親は、みんなわが子によい子であって欲しいと願っているのですね。

親だけでなく、先生もそうですし、大人たちはみんな子どもたちによい子になって欲しいのです。
「よい子のみなさん」という言葉もあるくらいです。

では、よい子とはどういう子でしょうか?
それは、親の言うことを聞く子、聞き分けのよい子、親の願う通りに行動する子、ということ
です。
親に何度も同じことを言わせない子、親が一度言えばその通りに行動する子、手のかからない子、親にとって都合のよい子、ということです。

でも、もう一度よく考えて見てください。
本当にそういう子になって欲しいと思いますか?

家でよい子は外で反動が出る

そういうよい子は、実は、親の期待に応えるために、親の顔色を見ながら自分の本当の気持ちを抑えていることが多いのです。

その反動は必ずどこかで出ます。

家の外で反動が出る子もいます。
実際、家ではよい子なのに、幼稚園、保育園、学校でやりたい放題だったり友達に意地悪だったりという子がいるのです。

家ではだら~っとリラックスしている、聞き分けがない、親がやって欲しいことはやらない、自分がやりたいことばかりやっている、という子の方が健全かもしれないのです。

後になってから反動が出る子もいる

反動が後になってから出る子もいます
私もそういう子を知っています。

ある女の子は、小さいときから4年生までずっとよい子でした。
親の願うことは、習い事も勉強も含めて全て完璧にこなし、学校でも先生の期待に応えるプチ先生のような学級委員、まるで絵に描いたような優等生でした。

ところが5年生になって、急に全てにおいてやる気がなくなり、自室に引きこもるようになってしまいました。

性格や能力にも反動が出る

その反動は子どもの性格や能力にも出ます。

よい子の多くは「自分がない」状態であり、自分がやりたいことを自分で見つけて自分でどんどんやっていくという自己実現力に欠けます。
当然、創造力、独創性、ユニークさなどに欠けます。
自分がやりたいことがないのでリーダーシップもありません。

大人になり社会人なっても同じ状態を引きずるとどうなるでしょうか?
言われたことはやるけど、指示のないところでは何をしていいかわからない人、になってしまいます。

組織の歯車になることはできてもそれ以上にはなれません。
斬新なアイデアでビジネスの新しい地平を切り開く、などということは不可能です。

よい子の人生とは?

親は、子どもによい子であることを求めがちです。

子どもの内面やその子の将来のことなどこれっぽっちも考えないまま、ただ親の目先の都合を優先しているのでしょうか?
それとも、「親の言うことをよく聞くよい子は立派な大人になれる。言うことを聞かない子はろくな大人にならない」という無意識の思い込みでもあるのでしょうか?

ところが、実際はその反対であり、自分の人生を楽しく大きく展開できる人、世の中で活躍できる人、仕事で大成する大物などは、その多くが、子どもの頃に親の言うことなどろくに聞かなかった人たちなのです。
親や先生の気持ちなど意に介さず、自分のやりたいことばかりやっていた人たちなのです。

みなさんは、いったい、子どもにどういう人生を歩んで欲しいのでしょうか?
よい子の人生ですか?

この記事の監修・執筆者

教育評論家 親野 智可等

長年の教師経験をもとに、子育て、親子関係、しつけ、勉強法、家庭教育について具体的に提案。著書多数。人気マンガ「ドラゴン桜」の指南役としても著名。Twitter、Instagram、YouTube、Blog、メルマガなどで発信中。オンライン講演をはじめとして、全国各地の小・中・高等学校、幼稚園・保育園のPTA、市町村の教育講演会、先生や保育士の研修会でも大人気となっている。

音声配信サービスVoicyの配信番組「コソダテ・ラジオ」の2022年12月の金曜マンスリーゲストとして出演。「家庭での学習習慣」について熱いトークを配信しています。

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