おkayu
栄養教諭・給食の専門家がつくる同名の学校給食サイトを運営するメンバー。3名全員が学校栄養職員として東京都の公立小・中学校に勤務した経験を持つ。サイトは、給食作りについての情報や意見の交換、悩み相談やレシピ公開など、内容も多岐に渡り、学校給食関係者から高い支持を得ている。
「おkayu」
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学校・まなび
小学1年生 2016年1月15日の記事
こんにちは。学校給食の現役管理栄養士&経験者のグループ、「おkayu」がつづるママノート版「給食室だより」です。今回は食器を通して見た給食の歴史について取り上げます。
●おいしさをコーディネートする食器
給食の歴史は古く、明治22年にさかのぼります。山形県鶴岡市で、困窮した児童に「おにぎり・焼き魚・漬物」を出したのが始まりと言われています。その後、さまざまな地域で独自の「給食」が施されましたが、全国的に今の給食の前身となる学校給食が普及し始まったのは戦後のことで、その歴史はまだ70年余りです。とはいえ、献立内容はもちろん給食室(使用機器)や食器などの変遷には目を見張るものがあります。
食器については昭和50年代以降、米飯給食が始まるのにともない各自治体で改善が検討されるようになりました。それまでは、ほとんどの学校でアルマイトの食器が使われていました。それに代わる素材として一時代を築いたのは、「メラミン樹脂」です。色気のないアルマイトに比べ、カラフルな姿は愛らしくもありました。
しかし、メラミン樹脂が活躍していた時期はそう長くはありませんでした。学校給食の食器は種類と数が多いこともあり、食器洗浄機を使用して洗います。洗浄後は熱風食器乾燥機に収納し、文字通り約100℃の熱風により乾燥されます。その際に樹脂が融け出し有害物質が発生するとの研究結果が一部で問題視され、ガラス陶器(コレール)や磁器食器が開発されていきました。
スプーンは、以前は「先割れスプーン」を使用する学校がほとんどで、まさに学校給食の代名詞といえる存在でした。スプーンとフォークの両方の役割を兼ねられるということでしたが、子どもには使いづらく、前屈みになって食べるなど、マナー的にも姿勢の問題からも好ましくないなど、さまざまな批判の声が聞かれるようになりました。
そのため、食器より遅れたものの、しだいに普通のスプーンとフォークに変わっていき、「はし」も使われるようになってきました。米飯給食が始まった当初は、はしは家庭から持参してもらったり、割りばしを煮沸消毒(!)して出したりしました。割りばしについては、使い捨てに異を唱える保護者もいて、「もったいない」の声は大きくなっていたように記憶しています。
現在、食器の種類は大椀、小椀、深皿、平皿、どんぶり、小皿、はし、フォーク、カレースプーン、デザートスプーン、ナイフとレパートリーが増えました。これらの食器を献立に応じて選択して提供するためには、学校やセンター内に保管庫を設置する必要があります。施設によってはそのスペースがないため、食器の種類を増やせないという学校や、やむをえず専用の保管庫ではなく戸棚などに収納しているため、衛生上の理由から使用する前日に毎回洗浄している学校もあります。
次回は、給食施設を通した給食の歴史を振り返ります。
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