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学校・まなび
年長 2013年5月25日の記事
☆図鑑は、社会で役立つ力と生きる力を育てる
《図鑑で頭がよくなる2》図鑑は、どんなことにも前向きに取り組む自信や、将来社会で求められる発想力や独創性まで育みます。
前回は、虫好きな子に昆虫図鑑を用意すると、いいことがいっぱいあるというお話を教育評論家の親野智可等先生にうかがいました。
虫好きの子に限らず、図鑑は多くの子どもを伸ばす万能アイテムであるようです。
引き続き、親野先生にお聞きします。
●図鑑に親しむことで勉強が好きな子に育つわけとは?
図鑑に親しむと、知識を豊かにする目的以外にどんなよいことがありますか?
親野 「私は、“本物体験”でいろいろな物事への興味・関心を育てることをお勧めしています。
でも何でもかんでも本物体験というわけにはいきませんよね。
そこで、本物体験を補うものとして図鑑がいいと思います。
たとえば、宇宙や天文などに興味を持つにはJAXA(宇宙航空研究開発機構)などに実際に宇宙船などを見学に行くのが一番いいのですが、図鑑でもそれに近い効果が得られます。
例えば、ある子が図鑑で月のクレーターのことを読んだとします。
すると、テレビのニュースで月のクレーターの話題になったとき、『それ知ってる』となり、その話題が意識に引っかかるようになります。
事前にクレーターのことを読んでいたからこそ、後で流れてきた情報がそこに引っかかったのです。
これを、私は“知識の杭”と呼んでいます。
こうして、図鑑によって知識の杭が打たれると新聞・テレビなどで関連した単語が出てきたときピピッとアンテナが反応するようになります。すると、さらに自分で進んで図鑑などで調べたり、ニュースに耳を傾けたりするようになります。
このようにして情報や知識がたまっていきます。
そうなったところで、授業でそれを勉強すると、大いに興味を持って張り切って取り組むことができます。
他の子が知らないことを知っているということは、大変な自信にもなります。
日ごろから図鑑に親しんでいると、知的な面で自信が持てるようになります。
他の子が知らないことを知っていると
『すごーい!』
『よく知ってるね』
と、まわりの友達や先生たちから言われるようになります。
『昆虫と言えば、○○くんだね』
と言われることで、
『ぼく(私)って、すごいかも』
と大きな自信になります。
ひとつ自信が持てる分野があると、他のことにもがんばれるようになります。
何に対しても、やってみようと前向きに取り組めるようになります。
こうした自信は、勉強や生活の中のあらゆる場面で、主体的に自分の人生を切り開いていく生きる力に通じます」
●これからの社会で求められるのは、“富士山型知識”の持ち主
図鑑に親しむことで、勉強ができるようになるだけでなく生きる力を育むことにも通じるのですね。
子どもの興味が赴くままだと、知識が偏ってしまわないかという心配もあるのですが。
親野 「偏っているというより”個性的な知識大系”と考えればいいと思います。
昆虫に飽きて、今度は仮面ライダー、その次はスポーツカーと興味が次々に移ったとします。
それぞれについて、とことん調べてあげていき、その子だけの“知識体系”ができあがります。
このようにして身につく知識は、学校で教えられるものと違い、特定の分野に偏ります。
偏りとは言い換えると、個性であり、他の人が持っていないオリジナルの知識体系を形成したことになるのです。
そして、学校の勉強とは無関係で一見無駄に思える偏った知識が、今の世の中では必要とされているのです。
学校の勉強をがんばって身につける学力は、“高層ビル型学力”といえます。
無駄はなく、無駄なことを問われない受験のようなときには、力を発揮します。
それに比べて、図鑑などで興味の赴くまま身につけた偏った知識は“富士山型学力”といえます。一見無駄と思えるような幅広い知識であり、すそ野が広大な富士山のように、知識や教養のすそ野が広がり、新しい発想や独創性が求められるときに力を発揮します。
この2つの学力は共に大事ですが、これからの日本の社会で特に必要とされているのは、後者のような富士山型学力だと思います。
どんな仕事においても、独創性や、斬新な企画・発想力が求められるからです。
自分オリジナルの知識体系を持つことで、将来の仕事や趣味において輝くことができ、豊かな人生へとつながっていきます。
また、図鑑は親子関係をよくしてくれるものでもあります。
子どもは、自分の本当に好きなことをほめられるととてもうれしいものです。
虫が好きで、昆虫の名前をたくさん知っていることを親に『すごい!』とほめられる。
すると、親を信頼するようになります。
子どもにとっても、親にとっても図鑑って本当にすばらしいものなんですよ」
親野先生ありがとうございました。こんなにいいことだらけの図鑑、さっそく我が家でも図鑑に親しませたくなりました。
次回は、図鑑の上手な選び方、与え方について親野先生にお聞きしたいと思います。
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