原 光彦
東京都立広尾病院小児科部長。医学博士。
日本大学付属板橋病院勤務、都立広尾病院小児科医長を経て、2007年より現職。
日本肥満学会評議委員、日本臨床スポーツ医学会評議員などの他、2003年より日本大学医学部小児科非常勤講師を務める。専門は小児の生活習慣病、メタボリックシンドローム、循環器、運動生理。
著書:『「太らない」子に育てるために親ができること』(大泉書店)、『こどものメタボが危ない!』(主婦と生活社)
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生活・しつけ
小学1年生 2017年1月19日の記事
前回、メタボを防ぐためには、食事・運動・生活リズムなど生活習慣の見直しが大切だとお伝えしました。では、生活習慣の中で特にメタボにつながりやすいのはどんなことなのでしょうか?東京都立広尾病院小児科部長の原光彦先生にお話を伺いました。
●食事の偏りよりも運動不足が深刻
原 「私たちの研究グループは、小児期メタボリックシンドローム予防健診を受診した小学4年生272名を対象にアンケートを行い、どのような生活習慣がメタボリックシンドローム(以下:メタボ)の危険因子と関係が深いかを調べました。
その結果わかったのは、食生活よりも運動習慣のほうがメタボとの関係が強いということ。
運動が好きな子どもは、運動が好きではない子と比べて、メタボの危険因子の集積数が低かったのです。また、メタボ診断の必須項目である腹部肥満と関係が深い生活習慣には、
・テレビ、DVD、携帯型ゲーム機に費やしている時間が1日に2時間以上
・週2回以上スポーツを行なっていないこと
が挙げられました。
その他、朝食抜き、睡眠不足が肥満につながることも科学的にわかっています」
●楽しい外遊びやスポーツで肥満を防ぐ
原 「現代の子どもは、外遊びなどで体を動かす時間が減り、運動不足になっています。子どもにとって適度な運動は、たくさんのメリットがあります。
例えば、心肺機能の発達、体力アップ、生活習慣病の予防にも有効です。また、体を動かせばリフレッシュしてストレスも解消でき、さらには認知機能や集中力を高めて学力向上にもつながります。
幼児期は水泳や体操教室に通わせていたのに、小学校に上がるとやめさせてしまう親御さんが多いようです。これは、もったいないこと。ぜひ続けて欲しいものです。
とはいえ、習い事をさせるのはコストがかかるし、安心して遊ばせられる環境が少ないと思われるかもしれません。そんなときは、手軽に利用できる自治体の運動教室やスポーツセンターを利用してはいかがでしょうか?
休日も家でゴロゴロしているのではなく、親子一緒に公園へ行き、体を動かす遊びを楽しめるといいですね」
●肉のおかずに偏ると太りやすくなる
原 「当院では、肥満のお子さんや親御さんに、『さわやかダイエット』の標語をお伝えしています。太りにくい食事が語呂合わせになっているので、ぜひ覚えてください。
・さ…魚
・わ…和食
・や…野菜
・か…海藻
・ダ(イエット)…だし、大豆製品
主菜には、魚介類よりも安価で調理に手間がかからない肉類を選ぶことが多いのではないでしょうか?
魚介類に含まれる多価不飽和脂肪酸は、肉類の飽和脂肪酸と比べて肥満になりにくいことがわかっています。さらに青魚に豊富なDHAやEPAは、体内で合成できない必須脂肪酸です。
人間の脳の大部分は脂肪酸でできているので、必須脂肪酸が少なくなると神経の発達にも悪影響があります。ぜひ魚を摂取する機会を増やしてください。
また、高脂肪・高カロリーな洋食よりも和食を選び、野菜や海藻から食物繊維を補うこと、大豆製品を摂取することもメタボ予防になります。そして、カツオなどのだしのうま味は、脳の満腹中枢を刺激するため、満足感を高められます。
その他、気をつけたいことは単純糖類のとり過ぎです。
お子さんは、甘いジュース類を水やお茶のような感覚で頻繁に飲んでいないでしょうか? ブドウ糖果糖液糖や高果糖液糖などは、清涼飲料水などの甘味料として使われています。これらは脂肪肝を引き起こしやすいため、過剰摂取を控えたいものです。
主食は、血糖値が上がりにくいグリセミック指数(GI)が低い食品を選ぶと良いでしょう。(GIとは炭水化物が消化されて糖になる早さを相対的に表す指数で、様々な食品のGI値はネットの検索エンジンで容易に見つけられます)
具体的には、白米より玄米、うどんよりそば、白いパンより全粒粉のパンやパスタをおすすめします。
このように、無理な食事制限をするのではなく、食品の選び方を工夫するだけでもメタボを防ぐことができます。献立を決めるときに意識してみてください」
教えていただいたことを実践すれば、親子で健康になれそうですね。原先生、ありがとうございました。
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原 光彦
東京都立広尾病院小児科部長。医学博士。
日本大学付属板橋病院勤務、都立広尾病院小児科医長を経て、2007年より現職。
日本肥満学会評議委員、日本臨床スポーツ医学会評議員などの他、2003年より日本大学医学部小児科非常勤講師を務める。専門は小児の生活習慣病、メタボリックシンドローム、循環器、運動生理。
著書:『「太らない」子に育てるために親ができること』(大泉書店)、『こどものメタボが危ない!』(主婦と生活社)
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