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学校・まなび
小学1年生 2017年1月5日の記事
★「気をつけ」「休め」の姿勢が保てない子が増えている![2017/1/5]
《いま、学校は〜現役教員舟山先生の小学校最新事情 7回》 寒い季節だからこそ、親子いっしょに体力作りを!
こんにちは、現役小学校教諭の舟山由美子です。
寒さが厳しい1月は、子どもも運動不足になりがちです。そのため多くの学校では、なわとびや持久走など、体力作りのための取組みが行われます。そこで今回は、子どもの体力について取り上げたいと思います。
●体力低下は学習意欲にも影響が
先日、スポーツ庁が平成28年度版「全国体力・運動能力、運動習慣等調査結果」(小学校は5年生限定)を発表しました。これは、「握力」「上体起こし」「長座体前屈」「反復横跳び」「20mシャトルラン」「50メートル走」「立ち幅とび」「ソフトボール投げ」の各実技調査の数値から体力合計点を導き出すというものです。
それによると、今年度の体力合計点は、女子は平成20年度以降では最高値、男子は最低だった昨年度より少し上がっています。特に、反復横跳び、20mシャトルラン、上体起こしの平均値は、男女ともに平成20年度以降では最高値をマークしています。その一方で、握力とソフトボール投げの数値は低い傾向があるようです。
同様の小学生の体力調査結果は、以前は文部科学省から発表されていました。それによると、小学生の体力は昭和60年ごろからずっと下がり続けていましたが、平成20年度前後を境に徐々に上向き始めているようです。
ただしこれは、子どもの体力が全体的に上がったというよりも、運動をする子としない子の差が大きくなったためではないかと分析する報告もあります。
長年、学校現場で子どもたちの様子を見ていると、どちらかといえば「体力が低下しているのでは?」と感じられることが多く目につきます。
例えば、月曜日の朝会のときに「気をつけ」「休め」の姿勢で整列をするのですが、その姿勢を保てず、ぐらぐらしていたり、すぐ足が動いたりする子が多く見られます。バランスの問題もあるのでしょうが、緊張感を保つことが難しいような印象があります。「前へならえ」のときも、腕をまっすぐにして指を伸ばすという姿勢が、模範を示してもなかなかできません。
すぐ「疲れた」「だるい」と言う子も目につくようになりました。とくに週明けの月曜日は顕著です。体育では、馬跳びのような運動が苦手な子が多くなっています。
体力以外にも、気になることがあります。教室で椅子に座っているときに、背中が丸まった、いわゆる「骨盤が寝ている状態」になっている子が見られるということ。「背筋を伸ばす」という動作を、家であまりやらないのかもしれません。伸ばす感覚もわからないようです。
さらに、私の経験からの印象ではありますが、靴などのひもがうまく結べない、給食のときにひじをついたり、足を組んだりしている……といった子の割合が、あきらかに以前よりも増えていると感じられます。運動能力というだけでなく、体力全般が低下しているのではないかと考えざるを得ません。
体力は、健康な生活を送る上で欠かせないだけでなく、意欲や気力の充実にも大きな影響を与えます。初めのほうで緊張感について触れましたが、集中力などのメンタルな部分と体力とは無関係ではないと思います。その意味では、体力の低下が学習力の低下にもつながると言っていいでしょう。
体力がない子は、体を動かすのがますますおっくうになって、さらに運動をしなくなってしまいます。こうした悪循環を断ち切るためにも、身近にいる大人が気をつけて、子どもが意識的に体を動かす習慣を作ることの重要性が高くなっているのではないかと思います。
●生活習慣の見直しも大切
そのためにも、年末年始は、どこかへ出かけるのもよいですが、家や近くの公園などで親子いっしょに体を動かす遊びをしてみてはいかがでしょう。例えば「手押し車」と言って、親が子どもの両足を持ち、子どもは手を使って歩くという遊びなどは、腕や手首の運動になります。最近は手首の弱い子も多く、体育の授業で倒立の練習をしていて、手首を骨折したというケースもあります。
ほかにも親子で向かい合って手をつなぎ、子どもが親の体を壁に見立てて登り、そのままくるっと回転するという遊びもあります。以前は家庭でよくやっていましたが、最近は経験していない子が多いようです。ネットなどを活用して、体力作りに役立ちそうないろいろな遊びを探して挑戦してほしいですね。
遊び以外にも、生活習慣を見直すことも大切です。最初に挙げたスポーツ庁の調査では、「睡眠時間8時間以上」とか、「朝食を毎日食べる」、ゲームを含めたテレビ視聴時間が短いという子のほうが、体力合計点が高いという結果が出ています。
給食のときに姿勢がいい子の多くは、本人に聞いてみると、家では正座で食べているそうです。ささいなことかもしれませんが、こうした日常の生活態度も、体力アップにつながってくるのではないかと思います。
基本的な生活習慣は、家庭でしか育てられません。この機会に、ぜひ生活全体を見直してみてください。
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