伊藤里美(いとう さとみ)
社会福祉法人 菊清会、さくらしんまち保育園・分園ぴっころ保育園園長。
さくらしんまち保育園は、子どもの食べる能力を伸ばして、好き嫌いをなくす園として有名。その長年培ってきたノウハウ(調理法や味付け、演出)を公開したレシピ本『さくらしんまち保育園の給食レシピ』(メディアファクトリー)が、食で悩む親の間で話題となりました。
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生活・しつけ
年長 2013年5月16日の記事
☆我が子の “偏食” “ムラ食い” に悩むお母さんへ
《さくらしんまち保育園の偏食解消のヒント1》 好き嫌いなく食べることより、楽しく食べることが大切です。
偏食・ばっかり食い・ムラ食い・遊び食べ……子どもの食に関する問題はさまざまあり、頭を悩ますママも多くいます。
遊び食べ、ムラ食いは、成長とともに改善されることが多いのですが、「偏食」は、本人の好みによるものなので改善は一筋縄ではいきません。
そこで、食育に長年取り組まれ多くの子どもの偏食を解消してこられた、さくらしんまち保育園の園長・伊藤里美先生に「偏食解消のヒミツ」についてお聞きしました。
●ピーマンを食べないからってどうってことないと、ドンと構えて
さくらしんまち保育園の子どもたちは、目立った偏食がないと聞きました。
ずばり、偏食はどうすれば直るものなのでしょうか?
伊藤 「偏食について相談にこられる方にお話しするのが
『ピーマンが食べられるようになる方法はないですし、当園でやっていません』
ということです。
ピーマンやにんじんを全然食べられないということが、その子の人格に大きな影響を及ぼすとは思えません。
“好き嫌いなくなんでも食べられる”という姿を理想として子育てをする必要はないのではないでしょうか?
だからといって、大いに好き嫌いして結構ということではありません。
偏食というのは、『偏り、こだわり』ということです。
こだわりは、ときに生きる力になりますが、偏りやこだわりがあると生きづらくなるのも事実です。成長する前に、可能であれば直しておきたいと考えます。
“直しておきたい”と言いましたが、大人が無理やり食べさせるのでは意味がありません。
小さい幼児のうちは、大人の言うことをきいて、しぶしぶでも嫌いなものを口に入れるかもしれません。
けれども、そうすることで『食べることは楽しい』という思いをなくしてしまっては元も子もないのです。
今はピーマンが食べられなかったとしても、『食べることは楽しい』という思いを幼児期のうちに身につけてさえいれば、将来、大好きな彼女が作った料理のピーマンを『じゃあ、食べてみようかな』と、口に入れるかもしれません。
その可能性を、幼児期のうちに摘み取ってしまうのはその子の人生において、とても惜しいことです。
『食べることは楽しい』は、そのまま生きる力につながります。
食事の時間を楽しいものにすることのほうが、偏食を直すことよりも、ずっと大切なことなのです」
さくらしんまち保育園の食事室の看板。
●偏食を直すよりも、食の世界を広げてあげることが大切
目からうろこが落ちる思いです。好き嫌いって、親として直さなければいけないものなのだと思いこんでいました。
伊藤 「ピーマンを食べられるようになる、7時から7時半の間で食べる、などと、食事を“課題化”してしまうと『○○させなきゃ』となってしまうのかもしれません。
けれども、嫌いなピーマンが食べられたということがその子の食の世界を広げ『食べることは楽しい』という思いにつながることもあります。
ですから、親御さんは、
・偏食を無理に矯正しようとは思わない
・けれども、いろいろな食べ物に興味を持たせる
ということで、ぜひ長い目で見て大らかな気持ちで取り組んでいきましょう」
伊藤先生、ありがとうございました。偏食の矯正をしているわけではなく、それでも偏食がなくなるというさくらしんまち保育園。そのヒミツは、「食べることは楽しい」という思いを大切にし、子どもの意欲を引き出す工夫をされているからのようです。
次回は、さくらしんまち保育園の取り組みから、「食べることが好きになる」ヒントを教えていただきます。
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