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生活・しつけ
年長 2013年5月18日の記事
☆偏食解消のヒントは “バイキング” にあった
《さくらしんまち保育園の偏食解消のヒント2》 子どもが自ら、食べる量と食べたいものを選択することで、食べる意欲がUP!
長年食育に取り組まれ、その偏食解消のメソッドが書籍化もされたさくらしんまち保育園の園長・伊藤里美先生に偏食解消のヒントをうかがっています。
前回は、食べられないものがあってもどうってことない、というお話をお聞きしました。
それでも、子どもたちが食べられなかったものをどんどん克服していくのには、さくらしんまち保育園独自の取り組みにヒミツがあるようです。家庭でも、まねできるその技をお聞きしました。
さくらしんまち保育園では、給食はバイキング形式です。
●食べられる量は子どもが自分で決めます
さくらしんまち保育園では、食に意欲をもたせる工夫をされているそうですね。
伊藤 「当園の幼児クラスは“バイキング”形式で食事をしています。
バイキング形式なので、
『コーンは入れないで』
『お肉はたくさん』
と、子どものリクエストを聞いて、栄養士さんがその場でリクエストの通りに盛りつけます」
それは、すごいですね。幼児でも、自分が食べる量を決められるものなのでしょうか。
伊藤 「大人だって、どのくらい食べられるかなんて、何gではなく、何となくでしか決められないですよね。
大人が、どのくらい食べられるかを判断できるのは経験値があるからです。
子どもたちも、よそってみて
『ああ、ちょっと多すぎたかな』
『もう少し食べられたな』
ということはもちろんあります。
そうした、『多かった』『少なかった』を繰り返して自分の食べられる量が分かるようになります。これも経験です。
食べられる量って、個人個人で違います。それに、同じ人でもおなかのすき具合や体調によって、食べられる量は一定ではありません。
よく、“ムラ食い”で悩む親御さんもいらっしゃいますが、子どもはムラ食いするものなのです。
少ない量でも、元気いっぱいならそれがその子の適量ですし、必要ならどこかでたくさん食べるでしょう。
子どもに食べたい量を決めさせると、
良い点は、
・自分で決めた量はだいたいおいしく食べてくれること
・量の増減から体調を知ることができること
・食べ物の量と内容について会話ができること
が挙げられます。
バイキングで好きな量を盛り付けてもらって、
この食事室まで運んできて食べます。
保育参観に来られたある親御さんが当園の食事の様子を見て、
『保育園ではいつも完食だと聞くのに、家で食べない謎が解けました。家では、均等にこれだけ食べなさいと出していました』
とおっしゃいました。
好きなものでも『これだけの量食べなさい』と押し付けられるとあまりおいしく食べられないものです。
自分で食べたいと思う量を食べると、よりおいしく感じるのです」
●食べる食べないの選択権も子どもにあります
量だけでなく、食べたいものも子どもに決めさせるということですが、嫌いなものはよけい食べないようになりませんか?
伊藤 「食べたくないものを食べさせてもおいしく食べられませんし、それでは“食べる力”にはなりません。
食べたくなるような工夫はしますし、『一口食べてみる』という声かけは必ずしますが、最終的に食べる食べないは子どもが決めます。
自分で『じゃあ、食べてみようかな』と思わせることが大切なのです。
コーンが嫌いな子どもがいました。コーンサラダにどっさりコーンが入っています。
『先生、コーンとって』というのでコーンを取り除いてやります。
だけど、取りきれないコーンが一粒残りました。
というか、一粒だけわざと残しました。
『ごめん、先生全部取りきれなかった』
子どもも、
『じゃあ、仕方ないな』で一粒食べました。
これは、保育者と子どもとの信頼関係ができていたから可能なことです。
そして、次の日は、コーンが大好きな子どもの隣に座らせてみる。
隣でおいしそうに食べてみるのを見て
『じゃあ、今日も食べてみようかな』
と思えばしめたものです。
そうした援助を、園ではします。家庭では、なかなか難しいかもしれませんが、決して押し付けず、子どもの『じゃあ、食べてみようか』を待つ気持ちでいるとよいかと思います」
伊藤先生、ありがとうございました。ホテルのバイキングのように料理を用意することはできませんが、食べる量を子どもに決めさせることなら家庭でもできそうですね。
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