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学校・まなび
小学1年生 2015年2月19日の記事
★給食って、全部食べなければいけないの?
全部食べられるか。苦手なものが出たらどうするのか。特に給食初体験のお子さん、心配ですよね・・・。
「うちの息子は好き嫌いが多い上に小食なんです。私が子どもの頃は、給食は無理してでも全部食べなければいけなくて、つらかった記憶があるので心配です」
このお母さんの心配、よくわかります。
編集部のスタッフにも、
「給食を食べ終わるまで外に遊びに出させてもらえなかった」
なんて経験の持ち主がいました。
今の学校給食はどうなっているのでしょうか?
教育評論家の親野智可等先生にお話しをうかがってきました。
親野 「給食でつまずく子って、本当にびっくりするぐらい多いんです。
本来は楽しいはずの給食で苦痛を味わわせるなんて、私は絶対によくないことだと思います。
食事の量は、大人でも個人差がありますよね。
体調にもよりますし、学校で食べることに緊張感を持っている子もいます。
このような生理的なことは絶対強制してはいけないことなのですが、
『これくらいは食べさせなければ』
と考え、強い指導をする先生はいますね。
『あと一口だけ食べなさい』
なんていっても、その一口が本人にはものすごく大変なときだってあるでしょう」
そうですよね。
大人なら「今日はこれくらいにしておこう」と自分で食事量が決められるのに、子どもだから決められないというのはおかしな話ですよね。
親野 「現在は、ほとんどの学校が
『配膳するときに、食べられるだけの量をもらって残さないようにする』
という指導をしています。
でも、食べられると思って盛ってみたけど、いざ食べ始めたらムリだったということはよくあることです。
大人でもバイキング料理などでそういう経験をしたことがあるでしょう。
食が細いお子さんをお持ちのお母さんは
『うちの子は食が細いので量を減らしぎみでお願いします』
と先生にあらかじめ伝えておくといいでしょう。
それでもその先生がちょっと『なるべく食べさせる』傾向の先生だった場合は、
『無理に食べさせられると悩んでしまうので』とか、
『幼稚園のとき、無理に食べさせられて登園しぶりになってしまったので』
とか言ってみます。
そうすれば、それほど深刻な問題だと伝わります。
それに「登校しぶり」されては困るので先生も考えるでしょう。
実際、給食が原因で登校渋りになる子は意外なほど多いので、そんなことにならないようにしてあげてほしいと思います」
本来楽しいはずの食事の時間が苦痛な時間になってしまってはかわいそうですね。
ましてや、それがもとで学校に行きたくなくなるなんてことには、絶対ならないでほしいです。
量についてうかがいしましたが、「好き嫌い、偏食」についてはどうですか?
親野 「『量については寛大でも、偏食はなくさなければ』
と考える先生もいますよね。
でも、大人と子どもの感覚は違っていて、子どもにとっての『生理的に無理』というのがあるそうです。
例えば、ナスが嫌いな子って多いんです。
専門家の話で、最近分かったというのですが、子どもはナスの、あのグニャッとした食感を、『腐っている』と本能的にとらえるのだそうです。
だから食べない、と。
子どものうちに偏食を直そうと、あまり思い過ぎないほうが良いですね。
私は、子どもの頃、マーマレードが大嫌いで、出されるたびに苦痛で……、鼻をつまんで食べていました。
でも、大きくなって食べてみると
『こんなにうまいものだったんだ』なんてね(笑)。
そんなものですから。
もちろん、食べられるように工夫をすることは大事です。
そのために調理の工夫などをしてあげてほしいと思います。
でも、直そうと思いすぎるのは良くない。
工夫はするけれど、それでだめなら目をつぶりましょう。
無理に食べさせれば、一生嫌いになってしまうかもしれません。
苦痛になっちゃって、食事が怖い、給食が怖い、なんて弊害が出てしまっては取り返しがつきません。
それに偏食を直す指導で登校しぶりになってしまうこともよくあることです。
これに関しても、小学校の先生に先に言っておくことです。
先生も対応を考えてくれるでしょう」
親野先生ありがとうございます!
「登校しぶり」なんて、ちょっと脅しっぽい感じですがそれくらい「うちの子にとって深刻な問題なんだ」と伝えることが大事だということです。
給食の指導についてポイントは三つ。
(1) 小食の子は、量を加減してもらえるようにあらかじめ先生に伝えておく
(2) 偏食がある場合は、食べられる工夫をしつつも、無理に押し付けすぎない
(3) どうしても食べられないものは、「家でも努力をしているので、学校で無理に食べさせないでほしい」ことを先生に伝える
今の学校給食は、メニューも豊かでとってもおいしそうです。
それぞれの学校で、がんばって工夫している様子がうかがえます。
子どもたちに、「給食の時間を楽しんで味わってもらいたい」という願いは、親も先生も同じですから、協力していきたいものですよね。
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