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年長 2014年2月14日の記事

「鼓膜の切開」って大丈夫なの?

《子どもの中耳炎 3 》 中耳炎の治療では、症状に合った治療が受けられるように医師と相談を!

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子どもの中耳炎の治療といえば、抗生物質などの薬による治療が一般的ですが、一方で「鼓膜を切った」という話もよく聞きます。
 
「鼓膜の切開」と聞くとちょっと怖い気もしますが、「意外に簡単に済んだし、早く治った」と話しているママもいます。
薬による治療と切開とでは、どういう違いがあるのでしょうか。
 
子どもの中耳炎の第3回目の今回は、中耳炎の治療法について、小児科医・宮野孝一先生に教えていただきます。
 
 
●小児科と耳鼻科では、治療法が異なることも
 
まず子どもが中耳炎にかかってしまったとき、病院ではどのような診断が行われ、治療法が決まるのでしょうか?
 
宮野 「子どもの中耳炎の治療では、『小児急性中耳炎診療ガイドライン』というものがあり、基本的にはそれにのっとって診断や治療が行われます。
 
ですから医師は問診や視診によって、耳の痛みの程度、熱の高さ、機嫌の良し悪し、耳だれ(膿)が出ていないかなどをチェックします。
さらに、鼓膜が赤くなっていたり腫れたりしていないか、専用の機械を使って鼓膜の状態も調べます。
 
診察の結果、痛みや熱、鼓膜の変化が少ない『軽症』の場合は、とくに治療をせずに3日ほどの経過観察になります。
 
経過観察で治癒しないときや、初診で『中等症』にあてはまるときは、抗生物質を処方し、その薬で治らなければさらに抗菌力の高い抗生物質を使う、というように、症状に応じて薬を使い分けます。
 
そして高熱や強い痛みを伴う『重症』のケースや、鼓膜の赤み・腫れが特にひどい場合は、鼓膜を切開して中にたまった膿を出し、合わせて薬を処方します。
 
一般に小児科では、上記のような流れで薬を中心に治療し、どうしてもやむを得ない場合にだけ、鼓膜の切開を行います。
それに対して耳鼻科では、比較的早い段階でも切開を行うケースが少なくないようです」
 
 
●メリット・デメリットを理解して治療を
 
耳鼻科で「鼓膜の切開」が多く行われるのは、なぜですか?
 
宮野 「いちばんの理由は、痛みが早くとれるということです。
急性中耳炎では、鼓膜の中にバイ菌を含む黄色い膿がたまり、バイ菌の出口がないときに、もっとも痛みが強くなります。
そのため鼓膜が破れて耳だれが出たり、切開して膿を外に出してしまうと、痛みがずっとラクになります。
 
また鼓膜を切って膿を出せば、そこに繁殖している細菌の種類を調べられるので、その細菌に確実に効く薬を選ぶこともできます」
 
 
今のお話を聞くと、鼓膜を切って治したほうがいいような気もしますが、そもそも鼓膜は傷つけても大丈夫なものですか?
 
宮野 「もちろん鼓膜の切開にはメリットがある一方、デメリットもあります。
 
鼓膜は1~2度であれば、切開しても自然に治癒します。
ただし何度も切開を繰り返してしまうと、鼓膜が薄く、弱くなってしまい、『鼓膜穿孔』(こまくせんこう)といって鼓膜に穴があいてしまうことがあります。
また鼓膜の動きが悪くなり、耳の聞こえに影響する可能性もあります。
 
そういう意味では、中耳炎がそれほど重症でない場合に『早く治るから』という理由で安易に切開をするのは、おすすめできません。
それよりも、症状に応じた適切な治療が受けることが大切なので、医師とよく相談をしてみてください」
 
中耳炎の治療の流れや、薬による治療と切開の治療の違いがわかりました。
お医者さんと話をする際も、こうした基礎知識があるとスムーズですね。
 
宮野先生、どうもありがとうございました。

 

 


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