学童クラブに登録している児童のほか、小学1年生から6年生までの全児童が利用することができる。その多くが小学校の校舎や敷地の中にあり、安心して放課後の時間を過ごせるスペースとして機能している。学習やスポーツ、文化活動などに取り組むことができる「放課後子ども教室」のほか、スキップ独自でさまざまなプログラムを用意している。
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学校・まなび
年長 2019年4月10日の記事
学童潜入! 豊島区・子どもスキップ駒込に行ってみた【前編】
単なる学童じゃない! 豊島区独自の放課後施設「子どもスキップ」って?
自治体ごと、施設ごとに異なる特徴を持っている「学童クラブ(以下、学童)」。年々ニーズが増える一方で、どんな場所なのかは今ひとつ見えづらい部分も…。そこで、本連載では、都内を中心にさまざまな自治体の学童を取材し、学童の実態を調査!
第1回で訪れたのは、豊島区にある「子どもスキップ駒込」。豊島区における学童入所の要件から、学童での子どもたちの過ごし方、地域との連携についてまでをお聞きしました。
●豊島区の学童クラブは「子どもスキップ」内で展開
豊島区といえば、子育て環境の改善による子どもの増加や、待機児童ゼロを掲げていることでも知られています。小学生の放課後活動についても力を入れており、区内の全小学校で、校内または隣接施設に「子どもスキップ」という施設を展開し、全児童が安心して交流できる遊び場を提供。公立の学童はすべて子どもスキップ内で運営しています。
区内に全22施設ある子どもスキップ。利用方法は、「学童クラブ」と「一般利用」の2種類があります。前者の「学童」は保護者就労等の条件下で利用申請を行うもので、利用する児童の見守りを子どもスキップ職員が行います。一方の「一般利用」は、区内在住もしくは当該区立小学校在学の児童全員が対象で、利用届出書を提出すれば誰でも利用できます。
豊島区の学童の利用要件を見てみましょう。
■豊島区の学童利用要件(2019年3月現在)
○対象となる児童=保護者の就労などの理由で、放課後の時間帯の保育に欠ける区内在住、または当該区立小学校在学中の児童。※小1~小6(ただし小4以降は要件が異なる)
○利用時間帯
・授業のある日:放課後から18時まで(土曜日は17時まで)
・学校休業日:9時から18時まで(土曜日は17時まで)
※延長利用
・9時前利用:8時15分から9時(学校休業日・土曜日)
・延長利用:18時から19時(平日のみ)※1~3年生まで
○休業日=日曜日・祝日・年末年始(12月29日から1月3日)
○費用
・基本利用:月額4000円
・9時前利用(8時15分から):年額1000円
・延長利用(19時まで):月額1000円
※17時以降も利用する場合、おやつの提供が必要であれば間食費を月々1000円、別途で支払い
○活動場所=校内または学校隣接の「子どもスキップ」の部屋、小学校の校庭、体育館、図書室など
○お迎え=延長利用(19時まで)の場合は必須
○おやつ=希望者のみ提供
豊島区では、学童を含む子どもスキップの利用者は小1~小3の児童が7割で、高学年になると利用機会は徐々に減っていくそう。また、一般利用の利用届出は各学校ともに98%以上の児童が行っており、利用したことのない児童は区内でも数人だといいます。
高い利用率を誇る子どもスキップには、どんな特徴があるのでしょうか。
●子どもスキップ駒込ってどんなところ?
豊島区の学童の一例として取材をさせていただいたのは、豊島区東部にある「子どもスキップ駒込」。2019年度で、開設して12年目を迎えます。2018年度は学童に91人、一般利用に489人の登録があり、一日平均112人の利用があったそう。所長の近藤眞奈美さん、どの学年の利用が多いのでしょうか?
「学童利用は、区内の統計と同じく、小1~小3の児童が多いですね。学年が上がるにつれ、塾や習い事の回数が増えたり、一人で留守番をできるようになったり、また自分の世界ができはじめて、毎日みんなと同じ場所に行くという行動パターンになじまなくなったりするのでしょう。
ただ、一般利用として校庭に遊びに来る子は高学年も多く、異学年で交流をして遊んでいる姿も見られます」(近藤所長)
子どもたちはどこで過ごすのでしょうか?
「子どもスキップ駒込は、駒込小学校の建物内にあります。一部屋は学童の子どもたちだけが使う部屋で、個々のランドセルロッカーがあったり、“学習の時間”を過ごしたりする場所。もう一部屋は子どもスキップの利用者全員が使う部屋で、本やおもちゃなどがあります。晴れている日は校庭、雨天時は体育館でも遊べます。
学童か否かにかかわらず、校庭や体育館で遊ぶ子どもがいる際は、子どもスキップの職員が立ち会います。主に安全のためですが、もめ事があったときに介入したり、異学年で遊ぶ際にコミュニケーションの手助けをしたりもしますよ」(同)
豊島区の学童では、2018年の秋から、「ただいま」と「さようなら」の打刻をすると保護者にメールが送られる入退室管理システムを導入しているとのこと。帰宅時間は30分ごとに職員が声がけをして、校門まで見送ります。
●「子どもスキップ駒込」の学童での過ごし方は?
基本的なタイムスケジュールは、一般的な学童とほぼ変わらないよう(「学童の1日のスケジュール。平日の放課後は? 夏休み中は?」記事参照)。平日は下校後、ランドセルをロッカーに入れたら、10分ほどの学習時間(宿題・読書)の後、自由遊び。17時になると希望者におやつが提供され、それぞれ決まった時間に帰宅するそうです。
「子どもスキップでは、基本的に学童の子どもと一般利用の子どもが一緒に遊べるようになっています。自由遊びでは、本を読んだり、おもちゃで遊んだり、校庭や体育館で体を動かしたりと、個々に好きなことをして過ごしています。
一方で、月に何回か、鬼ごっこやリレーなどの集団遊び、工作など、職員主催で全員参加の遊びを企画しています。いつもは遊ばない友だちと遊んだり、異学年交流をしたり、自分からは『遊ぼう』と言えない子を巻き込んだりするのが狙いです」(同)
また、月に10回程度「放課後子ども教室」としてさまざまなプログラムを開催。地域の方に講師になっていただき、茶道教室や盆踊り教室、ダンス教室、太鼓教室、バドミントン教室、とび箱教室、将棋教室、作法教室などを実施しています。児童は自分の参加したいものを選んで参加します。
「毎月、何かしらの季節行事やイベントも開催されています。2018年度は冬休みイベントとして、たくさんの子どもからリクエストのあったお化け屋敷づくりを行いました。盛り上がるのは、年に一度の合同ドッジボール大会。近隣の複数の子どもスキップが参加する大会で、トロフィーを勝ち取るために1か月ほど練習を重ねます。
地域のイベントに参加することもあります。毎年、秋に行われる『区民ひろばまつり』には職員とともにスタッフとして参加した子もいますし、出し物のステージにはダンス教室の子たちがエントリーしました」(同)
地域の先生を招く放課後子ども教室もまた、地域とのつながりを産み出します。例えば、太鼓教室の子たちがお祭りに参加したり、盆踊り教室の子たちが盆踊りに参加したりと、そのまま地域のイベントにつながるというのです。小学校を起点にして地域とつながれるのは、保護者としてもうれしいことですよね。後編では保護者の関わり方や学童からの巣立ちについて、引き続き伺います。
(取材・執筆:有馬ゆえ)