学童クラブに登録している児童のほか、小学1年生から6年生までの全児童が利用することができる。その多くが小学校の校舎や敷地の中にあり、安心して放課後の時間を過ごせるスペースとして機能している。学習やスポーツ、文化活動などに取り組むことができる「放課後子ども教室」のほか、スキップ独自でさまざまなプログラムを用意している。
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学校・まなび
年長 2019年4月11日の記事
学童潜入! 豊島区・子どもスキップ駒込に行ってみた【後編】
保護者は学童にどう関わるの? 学童を巣立った後は…?
今どきの「学童クラブ(以下、学童)」にお邪魔して、実態を調査する本連載。第1回で取材した豊島区では、区内の小学校・全22校で「子どもスキップ」という施設を展開しており、その利用方法には、「学童」と「一般利用」の2種類があることをお伝えしました(前編参照)。
後編となる今回は、学童と保護者の関わり、そして子どもの自立への寄り添い方について、引き続き「子どもスキップ駒込」に取材しました。
●学童に保護者はどうかかわっている?
前編では、「子どもスキップ駒込」の特徴と、学童での子どもたちの過ごし方を教えていただきました。では、保護者はどのように学童に関わるのでしょうか? 子どもスキップ駒込所長の近藤眞奈美さんにお聞きしました。
「子どもスキップは子どものための場なので、保護者の方に参加していただく直接の機会は少ないです。年に1度の保護者会、年に2度の個人面談ぐらいですね。毎日の連絡帳がありますし、本人の様子は本人の口から聞いていただきたいな、と。不安があれば、お電話や個々にお目にかかってご相談いただくことにしています。
その分、子どもたちの生活の面で不安がないよう、小学校との連携は、お互いに心がけています。例えば、学童の時間内で日常生活に支障をきたすようなけがをしてしまった場合、また、子ども同士でトラブルがあった場合などは、必ず学校にも連絡をします。
日々の言動を見ていて心配になる子がいれば、その旨を担任の先生に伝えたり、逆に学校での様子をヒアリングしたりすることもあります」(近藤所長)
●学童を“家庭外での見守り役”として、うまく利用して
授業時間も放課後も、保護者にとっては同じ“家庭外で過ごす時間”。連携して見守ってくれるのは心強いです、とお話しすると、近藤所長から、保護者の方にあるご提案が。
「保護者の方にはぜひ、学童の職員を“家庭外での見守り役”として活用していただきたいですね。特に小1の1年間は、少しずつ子どもが自立していく時期。最初は毎日、お迎えに来てもらっていた子でも、そのうち『自分で帰るからもうお迎えはいい』と言い出すはずです。
保護者の方からすると、心配でまだお迎えが必要ではと思うかもしれません。でも、心配ばかりしていると、子どもの自立の芽が育たないまま摘まれてしまう。いつでも相談に乗りますから、一緒に子どもの自立を見守っていきましょう」(同)
保護者はいつまでも子ども扱いしてしまいがちですが、それが過干渉になることもあるのですね。小学校入学は、子どもとの距離を考え直すいいタイミングなのかもしれません。
●子どもスキップでは、学童クラブと一般利用の併用もできる
最後に、放課後の時間の自立についてもお聞きしました。前編で近藤所長がおっしゃったように、子どもが自立してくると学童に行くのを嫌がるようにもなると聞きます。
「年齢を重ねると、保護者に強制されることを嫌がるようになりますよね。多くの子は小3の修了を機に学童を退所しますが、それより早い時期であっても、学童に行きたがらなくなる子はいます。自立心の芽生える時期は、それぞれ違いますからね。そんなとき、子どもスキップ駒込では『一般利用』との併用を提案しています」(同)
豊島区の学童はすべて「子どもスキップ」内にあり、学童の子どもと「一般利用」の子どもは施設内で一緒に遊ぶことができます。
「一般利用は、住所、氏名、緊急時の保護者連絡先等を届出れば登録ができ、学童のように保護者の就労要件もなく、より手軽に利用できます。一般利用として子どもスキップ内で遊ぶ際は、学校が終わったら一度、帰宅してから来るか、学校から直接ランドセルのまま来るか、どちらかのパターンをその都度、選べます。帰宅時間は保護者と話し合って決め、その時間になったら自分で帰るというのが決まりなので、子どもの自由度は高いです。
一方、施設内にいるときは職員が見守りますが、学童のようにおやつを提供したり、帰宅時間を個別に声がけしたりはしません。また、早い時間からの利用や延長利用はできないので、保護者の方の状況に合わせて、学童と一般利用を使い分けることをおすすめしています」(同)
学童より自由度は高く、しかし職員さんの目の届く安全な環境で遊べるというわけですね。確かに、子どもの自主性を尊重しつつ、放課後の遊び場について約束できるのは、保護者にとって安心です。
「大人からは同じに見えても、親に言われて来るのが学童、自分の意思で決めて来るのが一般利用だと、子どもたちは考えるようです。いつもは学童で来る子が『今日は一般利用で来ました』と話す顔は、とっても誇らしげなんですよ。一般利用を併用し、保護者の方と職員とで相談しながら、今日は学童、今日は一般利用…と少しずつ学童からの自立を図ることも珍しくありません」(同)
子どもが自立しようとしているとき、親が「不安だから」という理由だけでその意思を跳ねのけてしまうのは、大切な自立の芽を摘んでしまいかねません。たとえ「やっぱり学童に行ってほしい」という結論になるとしても、まずはその意思を尊重して、いろいろな方法を模索してみるのが良いのかもしれませんね。信頼できる学童の職員さんは、そんなとき、良きアドバイザーとなってくれるはずです。
(取材・執筆:有馬ゆえ)