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生活・しつけ
年長 2015年9月3日の記事
鼻づまりはなぜ怖い?[9/3]
《子どもの鼻づまりにご注意! その3》 鼻づまりによる睡眠障害の弊害が大きい
前回は、子どもの「隠れ鼻づまり」を見つけるためのチェックポイントを「鼻のクリニック東京」院長の黄川田徹先生にうかがいました。今回は、鼻づまりが体の成長やおねしょ、学習能力など、さまざまな面に影響を及ぼす理由についてお聞きします.
●鼻づまりが様々な悪影響を及ぼす理由は?
鼻づまりがさまざまな症状や体、心の不調などに影響を及ぼすということですが、それはなぜですか?
黄川田 「以下に挙げているように、鼻づまりによって鼻で呼吸できないために、口呼吸になったり、眠っているときに呼吸が止まることなどが主な原因です。睡眠障害による弊害は特に大きく、脳に関係した様々な症状として現れます。
・口呼吸によって顎や胸郭の発達が悪くなる
口を開けた状態が続くと、歯が発育するための土台である顎が小さくなり、歯並びが悪くなります。また、のどが狭くなるため、少しでも空気が通りやすくなるよう、無意識のうちに首を突き出した姿勢をとるようになります。その結果、胸郭が小さくなり、呼吸するための筋肉の発達が遅れて運動が苦手になってしまいます。
・睡眠の質が悪くなり睡眠障害・睡眠時無呼吸症候群を引き起こす
夜間の睡眠障害は、熟睡できないために昼間の眠気を誘い、集中力・学習能力の低下などにつながります。また、情緒不安定でキレやすくなり、ときには注意欠陥・多動症候群と診断されることも。さらにホルモンの分泌が低下するため、身長が伸びない、夜尿症といった形で現れることがあります。
・酸素の取り込み不足で運動が苦手に
口呼吸だけでは、効率的に酸素を体に取り込む機能が十分に活用できず、酸素不足に。呼吸をするための筋肉も発達せず、運動が苦手になってしまいます。
・においがわからなくなり小食や偏食の原因に
鼻の粘膜の腫れがニオイの神経が分布しているところまで及ぶために、においが分からなくなります。そのため、何を食べても同じような味に思えて、味覚が発達せず、小食や偏食の原因にもなります」
運動嫌いや情緒不安定、歯並び、小食、おねしょ……、どれも親としては気になるものばかりです。鼻づまりって怖いんですね!
●治療の基本は薬と鼻の洗浄
前回のチェック項目を見て、「うちの子、鼻づまりかな?」と思ったら、耳鼻科のお医者さんに相談すればいいのですか?
黄川田 「実は鼻づまりについては、お医者さん用の教科書にも載っていないため、経験豊富な耳鼻科のお医者さんでも、子どもの鼻づまりを見つけられないことがあります。できるだけ子どもの鼻づまりに力を入れている耳鼻科を受診するようにしてください。
ちなみに治療についてですが、アレルギー性鼻炎の場合、私のクリニックでは、アレルギー原因物質の除去と抗アレルギー薬の服用が中心です。また、生理食塩水で鼻の中を洗う鼻洗浄も有効です。
それでもよくならないときは、手術を検討します。
これまでの手術の方法は、子どもにとって負担が大きかったため、子どものうちは手術は避けたほうがよいという考えが一般的でした。しかし現在では、新しい手術の方法が確立され、出血や後遺症もなく、子どもの体のへの負担も少なくなって、日帰りで行なえるようになっています。
鼻づまりの影響は、将来まで続くものです。もし、お子さんに鼻づまりが見つかったら、何よりも優先して鼻づまりの治療を行なってほしいと思います」
鼻づまりで苦しむのは子ども自身。親がしっかりとチェックして、少しでも楽にしてあげたいですね。
黄川田先生、ありがとうございました。
プロフィール
鼻のクリック東京院長・こどもの鼻ユニット診療部長。日本耳鼻咽喉科学会専門医。1991年に「サージセンター浜松」、2008年に「東京サージクリニック(現:鼻のクリニック東京)」を開設。子どもの鼻づまりに治療にも積極的に取り組んでいる。
著書に『鼻のせいかもしれません』(筑摩書房)、『こんなに怖い鼻づまり!———睡眠障害・いびきの原因は鼻にあり』(ちくま新書)などがある。
鼻のクリック東京HP