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学校・まなび
年長 2018年11月2日の記事
小学校の「音楽」の授業、何をするの? 学習の目的は?
幼稚園や保育園で毎日たくさんの歌を歌っている子どもたち。小学生になると、「音楽」が科目として始まりますが、音楽の授業ではどんなことを学ぶのでしょうか。今回は、小学1・2年生の「音楽」について、岡山県鏡野町立上齋原小学校教頭の影山知美先生に教えてもらいました。
●技能の上達だけではなく、「音楽を楽しむ力」を育てる
小学校で習う「音楽」の授業には、どんな目的があるのでしょうか?
「『音楽』というと、歌を歌ったり、楽器を演奏するイメージが強いと思いますが、低学年の場合はとくに、音楽をじっくり味わって楽しんだり、豊かな感性を育むことも課題となっています」(影山先生)
歌や演奏の技能を上達させるだけが目的ではないという「音楽」の授業。新学習指導要領には次のように書かれています。
【教科の目標】
表現及び鑑賞の活動を通して、音楽的な見方・考え方を働かせ、生活や社会の中の音や音楽と豊かに関わる資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1) 曲想と音楽の構造などとの関わりについて理解するとともに、表したい音楽表現をするために必要な技能を身に付けるようにする。
(2)音楽表現を工夫することや、音楽を味わって聴くことができるようにする。
(3)音楽活動の楽しさを体験することを通して、音楽を愛好する心情と音楽に対する感性を育むとともに、音楽に親しむ態度を養い、豊かな情操を培う。
「新学習指導要領を読み解くと、音楽のよさや楽しさを感じるとともに、『思いや意図を持って表現したり・味わって聴いたりする力』を養うことや、『音楽と生活との関わりに関心を持って、生涯にわたり音楽文化に親しむ態度』などをねらっていることがわかります」(同)
小学校の「音楽」では、技能の上達だけでなく、音楽の楽しみ方を身につけることも大きな目的になっているのですね。
●はじめての楽器や楽譜も徐々に親しんで
実際に1年生の「音楽」では、どんな授業を行っているのでしょうか?
「低学年のうちは、まずは歌を好きになってもらうことを意識した内容になっています。手をつないで輪になったり、歌のイメージに合わせて自由に体を動かして遊びながら歌います。これは幼稚園や保育園でも行われていると思いますが、小学校ではさらに、どのように歌うとより自分のイメージした歌い方になるかを考えるようになります。正しい音程やリズム感覚を身に付けるために、曲を聴いて真似して歌ってみたり、伴奏をよく聴いて歌ったりするように指導を工夫しています。
また、小学校では、鍵盤ハーモニカなどの楽器を使った授業も行います。楽器も歌と同様に、まずは楽しさを知ってもらうことからはじめます。楽器を習った経験がない子でも大丈夫。いきなり演奏するわけではなく、ドレミの音を出すことからはじめて、ひらがなで大きく音階がふってある簡単な楽譜を読んだり、リズムに合わせて手をたたいたりと、段階を踏んで学習していきます。ある程度慣れ親しんできたら、先生の演奏をよく聴いて、音色、リズム、速度、強弱などに気をつけて演奏します」(同)
楽器の演奏がはじめての子どもに合わせて基本的な内容から教えてくれるので、心配することはなさそうですね。ちなみに、低学年のうちは音楽教師ではなく担任の先生が授業を行うことも多いそうです。
●歌や演奏で音楽を楽しむ気持ちを育もう!
先生方が「音楽」を教える際に重視しているポイントなどがあれば教えてください。
「やはり一番大切なのは『音楽って楽しい!』と思う気持ちです。歌や曲を聴いて、『こんな風に弾くにはどうしたらいいかな? どんな風に歌ったり演奏したりしたら伝わるかな?』と考えながら表現できるようにしていきたいですね。
そして音楽は、自分の出す音だけでなく、友達の歌声や演奏を聴くことも大切です。耳をすませて、音を聴いて、みんなの心を合わせた合唱や合奏の心地よさを味わって欲しいですね。その中で、自分の役割を果たすことの大切さも知って欲しいと思っています」(同)
確かにクラスみんなの気持ちをひとつにする合唱や合奏は、音楽の授業の醍醐味かもしれませんね。
科目としての音楽が始まると、「習い事をしている子と差がつくのではないか」「五線譜を読めないけれど、授業についていけるか…」など、つい心配してしまいがちですが、まずは子どもの頃からたくさんの曲や楽器に触れて、音楽を楽しむ心を育んでいきたいですね。
(取材・執筆:宇都宮薫)