高橋弥生(たかはし やよい)
目白大学人間学部子ども学科教授・学科長。
基本的生活習慣や現代の子どもの生活技術が主な研究テーマ。著書に『生活の自立HAND BOOK』(共著/学研教育出版)、『絵でわかる子どものせいかつずかん』(共著/合同出版)などがある。
【小学1年生】と【年長】ママのお役立ち情報を配信!
生活・しつけ
年長 2018年4月12日の記事
年長さんになると、お泊り会やキャンプなど、親元を離れて一夜を過ごすイベントも出てきます。できればそのタイミングで、ひとりでお風呂に入れるようになってほしい、そう思っている親御さんも多いのではないでしょうか。
そこで今回は、子どもがひとりでお風呂に入れるようになるために、どんなステップを踏めばいいのかを、子どもの生活習慣の発達について研究を行っている目白大学の高橋弥生先生にうかがいました。
ひとりでお風呂に入れるようになる前に、まずは子どもがひとりで体を洗えるようになるだけでも、親はぐっとラクになります。そもそも何歳くらいから、自分で体を洗えるようになるのでしょうか?
「ある生活習慣に関する調査(関東・沖縄の幼稚園・保育園が対象)では、お風呂で『いつも自分で体を洗う』と答えた家庭が5歳半〜6歳半で約4割、『だいたい自分で洗う』と答えたのが2割になります。つまり年長さんだと、約6割の子は自分で体を洗っているということですね。6歳半を過ぎると、『いつも』が約5割、『だいたい』が2割で、7割の子が自分で体を洗っていることになります」(高橋先生)
ちなみに、頭は体よりも少し洗うのが難しいためか、5歳半〜6歳半で『いつも自分で』が3割弱、『だいたい自分で』が2割弱という結果に。小学校に入る前に、約半数の年長さんは自分で体や頭を洗えるようになっているのですね。
「もちろん、上手にできているかどうかはまた別の話です。でも年長さんであれば、まずは体や頭を自分で洗うように習慣をつけていき、それが上手になったら、徐々にお風呂にひとりで入ると、段階をふんでいくといいですね」(同)
手指の発達を考えると、年長さんが自分で体や頭を洗うことは十分に可能だといいます。
「手の発達で言えば、ボタンを自分でかけられるようになるのが、個人差もありますが2歳半くらい。お箸が使えるようになるのが3歳半くらいですから、そのころにはタオルやスポンジで体を洗うことは十分可能でしょう。ましてや年長さんなら、かなり細かい手さばきもできるはずです」(同)
ただし、“洗うことができる=きちんと自分で洗って出てくる”ではないのだそう。
「なぜなら、体を洗わなくても子どもは困ることはありません。これが着替えやトイレなら、着替えないと恥ずかしいとか、トイレに行かないとおむつがはずれないという、子どもにとっての分かりやすいデメリットがありますが、体洗いにはそれがないんです」(同)
だから、できれば小さいころから、なんでお風呂に入らなくちゃいけないか、お風呂に入ったら気持ちがいいとか、そういう感覚を身につけることが必要だそう。
「年長になれば、『不潔にしていると病気になるよ』とか『ばい菌がついているよ』などと伝えてもいいでしょう。とくに、泥や絵の具など目に見える汚れがついていたり、汗をたくさんかいたときなどに『洗うとスッキリするよ』ということを教えていくと分かりやすいと思います。」(同)
これらの積み重ねで、子どもは体や頭洗いを自分からするようになってくるのだそうです。
体や頭を自分で洗えるようになれば、ひとりでお風呂に入るのは、年長からでも可能とのこと。ただし、気をつけたいのがお風呂場での事故。
「子どもは水深10cmのところでも溺れる危険性があります。子どもがひとりでお風呂に入る場合も、そのことは頭においておきたいところ。年長さんのうちはもちろんですが、できれば小学校低学年のうちは、5分に1回はお風呂場をのぞいてチェックするといいでしょう」(同)
とはいえ、小学校低学年くらいまでは、お風呂は大切なコミュニケーションタイム。「ひとりお風呂ができるようになっても、基本的にはお父さんやお母さんと一緒のお風呂の時間も大切にしていきましょう」と高橋先生。子どもが自分から「ひとりで入る」と言い出すのも時間の問題。それまではのんびり“親子でお風呂”を楽しんでもいいかもしれません。
(取材・執筆:坂本洋子)
関連記事はこちら
★年長児のひとりお風呂練習法 ~体・頭の洗い方を教えるコツ~
毎週木曜にメルマガ発信中!
ご登録はこちらから↓
高橋弥生(たかはし やよい)
目白大学人間学部子ども学科教授・学科長。
基本的生活習慣や現代の子どもの生活技術が主な研究テーマ。著書に『生活の自立HAND BOOK』(共著/学研教育出版)、『絵でわかる子どものせいかつずかん』(共著/合同出版)などがある。
『ママノート』ツイッターやっています!フォローいただけたら幸いです。