高橋弥生(たかはし やよい)
目白大学人間学部子ども学科教授・学科長。
基本的生活習慣や現代の子どもの生活技術が主な研究テーマ。著書に『生活の自立HAND BOOK』(共著/学研教育出版)、『絵でわかる子どものせいかつずかん』(共著/合同出版)などがある。
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生活・しつけ
年長 2018年4月16日の記事
年長さんになると、お泊り会やキャンプなどのイベントも出てきます。できればそれまでに、ひとりでお風呂に入れるようになってほしいものですが、実際には、体や頭の洗い方などをどのように教えていけばいいのでしょう。子どもの生活習慣の発達について研究を行っている目白大学の高橋弥生先生にうかがいました。
体を洗うことに慣れていない子は、まずはタオルやスポンジを使わず、手でこすって汚れを落とすところからスタートすると良いそう。慣れてきたら、タオルやスポンジを使わせてみましょう。
「体を洗う道具について、スポンジはある程度の大きさがあっても大丈夫ですが、タオルは子どもが扱いやすいものを。大きさは通常のフェイスタオルくらいでいいと思いますが、なるべく薄手のものを選ぶと良いでしょう。また、タオルを使う場合は、洗うときに適当な大きさに折り畳んで使うことなど、扱い方もきちんと教えましょう。
石けんはボディソープタイプだと『○回押して石けんを出そうね』などと量を教えやすく、むやみに使うことを防げるのでオススメです」(同)
「まずは、子どもが自分で見える範囲の、手の届くところから洗います。耳の裏からはじまって、首回り、腕、ワキ、胸……最後は足の指の間と、上から手順を決めておくと、細かい部分まで子どもも覚えやすいでしょう。
慣れてきたら、背中や、脚の後ろ側などの見えない部分も、自分で洗うように教えます。背中をタオルで洗う場合は、両端を持って背中にまわして使うと比較的に洗いやすいのですが、タオルの傾け方を変えてこすらないと、まんべんなく洗えないことも教えてあげてください。最初はちょっと難しいかもしれませんが、年長さんならすぐにできるようになると思いますよ」(同)
洗い終わったら石けんをお湯で洗い流し、泡が体に残っていないかをよくチェックしてから湯船に。
お風呂上がりには、出てすぐに体を拭くことを教えます。拭き方は、体を洗う手順と同じようにすると覚えやすいでしょう。また、体を拭くタオルも、あまり大きすぎたり、厚すぎたりしないものが子どもにとって使いやすいそうです。
水が顔に当たっても平気な子は、体を洗ったときの流れで顔を洗うことを教えましょう。注意が必要なのは、水が苦手な子。顔を洗うことを嫌がるので、最初から無理をせず進めます。
「まずは口のところまでお湯の中に沈めて、息をブクブクと吐く練習をするといいでしょう。徐々に慣れきたら鼻までつけて、鼻から息を出すようにと声をかけましょう」(同)
これを繰り返すことで、水が顔にかかる感触にもなじむことができるのだとか。
「ブクブクができたら、次に手でお湯をすくってほっぺたにつける→ぱしゃぱしゃっと軽く顔にお湯をかける→ゴシゴシと顔の一部を洗ってみる→目をつぶって顔全体をゴシゴシするという順序でやっていくとよいでしょう」(同)
朝の洗顔の習慣にもつながるので、苦手な子も段階を踏んでマスターしておきたいですね。
もっとも難易度が高いのが洗髪。はじめは親が泡立ててあげて、ここをこうやってこするんだよと親が教えながら、洗う作業を子どもにさせるようにします。
ただし、「水が顔にかかるのが嫌な子は、無理に自分で洗わなくてもいいのでは」と高橋先生。
「そこで無理をしてしまって、目に水が入るなどの嫌な体験をするとトラウマになるので、まずは洗顔で水に慣れていき、顔に水がかかるのに抵抗が無くなってからにしたほうがいいと思います」(同)
また、髪の長い子は洗いも拭き取りも手間がかかるので、小学校低学年くらいまでは親が手伝ってあげたほうがいいとのこと。
「低学年くらいまでは、必ずしも髪を毎日洗う必要はないと思うので、ひとりでお風呂に入る日は髪を洗わない日にしておいてもいいですね」(同)
「せっかくひとりお風呂の練習をするのであれば、洗い方や拭き方だけでなく、ひとりで入るときの約束事を決めておいてはどうでしょう」と高橋先生。
・お風呂に入る前に、着替え(下着やパジャマ)を用意する
・最初に湯船に入るときは、シャワーや掛け湯で体の汚れを落としてから入る
・体を洗っている間は、シャワーを止めておく
・上がるときは、床や洗い桶の泡を流し、使ったものは元の場所に戻す
・使ったタオルはしっかり絞り、決められた場所に掛ける
これらの約束事は、どれも大人になったときに通用するお風呂マナーばかり。すぐに全部をマスターするのは難しいかもしれませんが、年長さんなら、教えればできるようになるといいます。洗い方だけでなく、お風呂のマナーもこの機会にしっかり教えられるといいかもしれませんね。
(取材・執筆:坂本洋子)
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高橋弥生(たかはし やよい)
目白大学人間学部子ども学科教授・学科長。
基本的生活習慣や現代の子どもの生活技術が主な研究テーマ。著書に『生活の自立HAND BOOK』(共著/学研教育出版)、『絵でわかる子どものせいかつずかん』(共著/合同出版)などがある。
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