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年長 2017年11月8日の記事

ランドセルの素材「クラリーノ」って一体どんなもの?

 

ランドセルを選ぶ際に目にするのが「クラリーノ」という素材。ランドセルを通して、初めて知ったという人も多いのではないでしょうか。そこで、改めてどんな素材なのか、使用する際の注意点などを、「クラリーノ」を製造する株式会社クラレの原寛斉さんに伺いました。

 

ナイロンとポリウレタンで構成されていて強度があり、しなやかに

 

天然皮革のような見た目と風合いを持ち、一般的な合成皮革(以下「合皮」)とは異なる性質を持つという「クラリーノ」。一体、どのような素材を言うのでしょうか?

 

「『クラリーノ』は、株式会社クラレが製造する人工皮革の登録商標です。人工皮革というのは、化学の力で天然皮革の構造と独特の性能を再現したもの。

 

合皮のひとつと間違われることも多いのですが、一般的な合皮とは根本的に構造が異なります。一般的な合皮は、織物の表面にポリウレタンをコートして、見た目を天然皮革のようにしたもの。人工皮革である『クラリーノ』は、繊維が綿のように複雑にからまりあった不織布にポリウレタンを含浸させたものをベースにして、その表面にポリウレタンをコートしています。表面の見た目に加え、しなやかな動きも天然皮革に近づけようとしたものです。織物をベースにして作られている一般的な合皮よりも引裂きなどに対して強度があり、不織布をベースとしているので動きが滑らかでしなやか。より天然皮革に近い素材になります」(原さん)

 

その歴史は長く、1964年に「クラリーノ」が誕生し、なんと1967年から50年以上もランドセルの素材として使われているそう! 

 

「『クラリーノ』は、最初は紳士靴の素材に採用されました。天然皮革が使われている全ての製品に、人工皮革を提供していきたい、という思いがあり、ランドセルにも着眼することに。今では多くのランドセルに採用され、ランドセルの定番素材として親しまれるようになりました」(原さん)

 

「クラリーノ」素材のランドセルは全体の約70%!『軽くて丈夫』が最大の特長

 

「クラリーノ」がランドセルの素材として、ここまで長く使われる理由とは何でしょうか?

 

「『クラリーノ』は不織布からできているので、動きが柔軟です。『かぶせ』と呼ばれるランドセルのふたの部分のカーブは、織物ベースの合皮では再現が難しい。動きが滑らかでしなやかな『クラリーノ』ならではのメリットだと思っています。

 

また、ポリウレタンとナイロンからできていますので、水にも強くて、軽さもあります。『軽くて丈夫』という特長が、お子様が毎日背負うランドセルに、マッチしています。ランドセルの仕様にもよりますが、『クラリーノ』素材のランドセルの重さは、1kg前後になると思います。当然のことながら、軽さを追求すると丈夫さが不足するという側面がありますので、そのバランスは常に重視して開発を続けています」(原さん)

 

現在、「クラリーノ」素材のランドセルは、全体の約70%! 年々改良が行われ、どんどん進化もしているそうです。

 

「『クラリーノ』の中でも、ランドセル専用の素材を開発していますので、ランドセルメーカーさんから要望があれば、常に改善策を検討しています。

また、ランドセルとして6年間耐久できるようにするための、専用の検査も行なっています。劣化試験、屈曲試験など、社内で厳しく定めた基準がありますので、その耐久性には自信を持っています」(原さん)

 

水に濡れてもさっと乾拭きをすればOK

 

水に強いという「クラリーノ」のランドセル。雨に濡れた場合のお手入れ方法は?

 

「基本的に、水に濡れたり、汚れたりした場合も、軽く乾拭きをすればOK。ただお子様によって使い方はさまざまだと思いますので、泥汚れや油汚れが気になるようでしたら、コップ1杯のお水に数滴の中性洗剤を溶かしたもので汚れを拭き取り、硬く絞った布で水拭きして乾拭きしてください。」(原さん)

 

その一方で、雨カバーや市町村から配られる交通安全カバーなどの使用には、注意が必要だそうです。

 

「カバーを長時間つけっぱなしにしていると、ランドセルに貼り付いて外す時に表面がはげたり、傷がついたりすることがあります。そのため、毎日は難しいかもしれませんが、できるだけ帰宅したら外すようにして頂きたいと思います。

『クラリーノ』の表面は耐水性のポリウレタンなので、水が染み込むことはありません。もちろん、例えばプールに落としたというような特殊なケースは別ですが、普通の雨に濡れるぐらいであればまったく問題なく、きれいに使って頂けます」(原さん)

 

聞けば聞くほど、ランドセルの素材にぴったりの「クラリーノ」。ランドセル選びの際に、素材の特徴も参考にすると、より選択肢が広がるかもしれませんね。

 

(取材・執筆:野々山幸)


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