1958年生まれ。本名 杉山 桂一。
公立小学校で23年間教師を務め、退職後は、全国各地のPTAや市町村の教育講演、本の執筆に精力的に取り組んでいる。
メールマガジン「親力で決まる子供の将来」は新聞、雑誌、テレビ、ラジオなど各メディアで絶賛され、教育系メルマガとしては最大規模を誇る。
著書多数。
ブログ「親力講座」も続々と更新中!
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生活・しつけ
小学1年生 2017年1月16日の記事
●叱りつけながら、「ありがとう」という素敵な言葉を教えることはできない
ママ 「『ありがとう』は? なんで『ありがとう』が言えないの!」
子ども 「……」
ママ 「『ありがとう』が言えないなら、これ返しなさい」
子ども「イヤイヤ…」
ママ 「じゃあ、ちゃんと『ありがとう』って言いなさい」
子ども「あ・り・が・と」
ママ 「もっと大きい声で心を込めてちゃんと言いなさい!」
ママと年少くらいの男の子のやりとりです。
お友達から、あるいはお友達のママから何かをもらったのだと思います。
このママは、「ありがとう」が気持ちよく言える子にしたいのだと思います。
でも、このように叱りつけながら、「ありがとう」のような素敵な言葉を教えることができるのでしょうか?
●見本によってモデリング効果を
もちろん、「どうぞ」「ありがとう」「ごめん」「いいよ」などの言葉は、よい人間関係をつくる上でとても大切な言葉です。
「おはよう」「こんにちは」「さようなら」などの言葉もそうです。
親はみんな、こういう言葉を子どもが言えるようにしたいと思っています。
では、そのためにはどうしたらいいのでしょうか?
まずは、親が自らこういう言葉を日頃から使っていることが必要です。
しかも、心から喜んで気持ちよく、です。
よい見本があれば、モデリング効果が働いて、子どもが真似するようになります。
●ほめるたり価値づけたり
そして、子どもが使えたら「言えたね」「いい言葉が使えたね」とほめてあげることも大切です。
また、「『ありがとう』って言ってくれると、こっちもうれしくなるよ」「こういうときは『ごめん』て言おうね」「気持ちよく謝ってくれてうれしいわ」など、その言葉の価値を教えてあげることも大切です。
つまり、価値づけであり啓発です。
そして、こういう話をするときは、子どもと目の高さを合わせて、穏やかな言葉で言って聞かせることが大事です。
●穏やかに言って聞かせる
もちろん、なかなか言えるようにならない子もいます。
でも、そこで感情的に叱りつける必要はありません。
その度に同じことを繰り返し言ってあげて、後はできるようになるまで待つことが大事です。
「何度言ったらできるの!」などと言わず、同じことを何度でも繰り返し穏やかに言ってあげてください。
何ごとにおいても言えることですが、時期が来ればそれなりにできるようになります。
果物が熟すのと同じで、子どもの内側で機が熟す時というものがあるのです。
それを待ってあげてください。
何ごとにおいても、子どもの内側で熟していないものは、決して本物にはなりません。
●合理的な工夫も大事
こういったことは、あいさつだけでなく、朝起き、身支度、片づけなど、万事に言えることです。
大切なことを繰り返し言ってあげると同時に、合理的な工夫も大事です。
片づけができないなら、ワンタッチ収納、ラベリング、片づけタイムなどの工夫です。
食後の歯磨きを忘れるなら、お箸と一緒にはじめから歯ブラシも出しておくようにします。
「『ありがとう』『ごめんね』はうれしい言葉」という手作りポスターを貼るのもいいでしょう。
●叱りながらやると逆効果
叱りつけながらやっていると、その本当の価値はわからないまま、「ママに叱られるからやる」という他律的なものになります。
すると、当然、ママがいないときはやらないということになります。
しかも、叱られた物事は「すっぱいブドウ効果」によって価値が下がり、本当の価値がわかるまでに却って余分な時間がかかることになります。
こちらをご覧ください。
●あきらめて手伝う。やってあげる
ですから、言って聞かせたり工夫したりしても、それでもできない物事はあきらめてください。
具体的に言えば、手伝って一緒にやってあげるということです。
それも大変なら、ママが全部やってあげてもいいです。
「やってあげるといつまでも自分でできない。自立ができない」などと言って脅す人もいますが、決してそんなことはありません。
「やってあげるといつまでも自分でできない。自立ができない」などと言って脅されて、焦った親が子どもを叱りつけるというパターンが一番よくないです。
●「やってあげるといつまでも自分でできない」という思い込み
叱られてばかりの子は、「すっぱいブドウ効果」の犠牲になります。
自己肯定感もボロボロになり、「ぼくはダメだ。どうせできない」と思い込み、ますますできなくなります。
親に対する反発もわいてきて、親の言うことを受け入れられなくなります。
ですから、「やってあげるといつまでも自分でできない。自立ができない」などと思い込まないで、やってあげてください。
自己肯定感を育てながら待っていれば、機が熟したときにできるようになります。
今はまだ無理だというだけです。
「やってあげるといつまでも自分でできない。自立ができない」などという思い込みが、どれだけ世の中の親たちを苦しめ、子どもたちを苦しめているかわかりません。
こういった思い込みは本当に罪深いと思います。
●待てる親になろう
どの子もオリジナルなペースで成長しますので、親にできることをしてあげつつ、後は待つことが大事です。
待てない親は、冒頭のママのように叱りつけてしまい、却って子どもの成長をさまたげることになります。
ぜひ、待てる親であってください。
●これが「しつけの7か条」
最後に大切なことを「しつけの7か条」としてまとめます。
1,よい見本になる
2,ほめる
3,価値づけ・啓発をする
4,できないからと言って叱らない
5,叱らないで穏やかに言って聞かせる
6,叱らないで手伝う。やってあげる
7,後は時期が来るのを待つだけ
この親野智可等の「しつけの7か条」で、親も子も楽になり幸せになります。
世の中に広がるといいなと思います。
読んでくださった方が身近なふたりに伝えてくだされば、広まりますので、よろしくお願いいたします。
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1958年生まれ。本名 杉山 桂一。
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