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生活・しつけ
年長 2015年2月10日の記事
食物の除去、どこまで給食で対応してもらえるの?[2/10]
〈食物アレルギーの子の入学 後編〉 学校によってできる対応はまちまちです
前回は、 子どもに食物アレルギーがある場合の入学時の学校側との話し合いの流れや、正しい情報を伝えるために必要なことなどについて、アレルギー児を支える全国 ネットNPO「アラジーポット」の栗山真理子さんにお聞きしました。今回は、給食などの対応の状況や親としてやっておきたいことなどをうかがいます。
●給食のアレルギー対応は学校によってさまざま
子どもに食べられない食品がある場合、学校での給食対応はどうなっているのでしょう?
栗 山「学校給食での対応は、事前に配られた献立表をもとに、担任や保護者が相談してアレルゲンとなる食物を取り除く『献立表対応』、家庭で作った弁当を持参 する『弁当対応』、原因食物を除いた『除去食対応』、原因食物を除き、その栄養価をほかの食品で補う『代替食対応』の4つのレベルに分かれます。
その子のアレルギーの症状によって、どの方法がより安全かを第一に、学校と話し合って決定していくことになります。
ただし、学校給食は基本的には100(完全除去)か0(解除)かで、例えば調理法によっては食べられるという食品でも、安全のために除去することが求められます。
し かしどこまで給食で対応できるかは学校によって様々です。除去食や代替食を希望しても、設備や人員などの関係で対応できないというケースも少なくありませ ん。幼稚園や保育園では細かく配慮してくれていたことが、学校では対応できないことに納得がいかないと考えることも多いと思います。
親 の立場としては、どの学校でもすべての食物アレルギー児に代替食、せめて除去食の対応をしてもらえればと思っています。でも現在の状況で、学校の設備や人 員の対応が整わない中、無理に説得してまで対応してもらうことが安全なのかどうか、という問題もあります。これについては、十分な話し合いが必要ですし、 今後の大きな課題です」
●周囲の友だちの理解を深めて
たとえお弁当持参にしたとしても、友だちの給食を食べてしまうこともあって、完全に安全にするというのは難しそうですね。
栗山「そういうことを防ぐためにも、クラスの友だちにもアレルギーに対する理解を深めてもらえるよう学校に働きかけるといいと思います。
小 1になると、ちょっとおませな女の子などは『○○ちゃんは○と○のアレルギーがあるから、食べられないんだって』などと、しっかり覚えてお世話を焼いてく れる子もいます。うっかりアレルギーのある食品を食べようとしたときに『それ食べちゃダメなんじゃない?』と止めてくれることもあるかもしれません。実 際、症状が出たときに、周囲の子どもが大人に知らせてくれるという例もあります。
食物除去が必要な子は、クラス単位ではそう多くないので、いじめを心配して内緒にしようとすると、かえって特別扱いに見られてしまうこともあるようです。
ア レルギーの子が食べられない物を除去することは、命を守るという意味での『食育』につながります。前回ご紹介した『学校のアレルギー疾患に対する取り組み ガイドライン』にも『他の児童への説明』という項目で、アレルギーについてわかりやすく解説した紙芝居などを紹介しています。こういった情報を学校に伝え ていくのも親のできることだと思います」
●食べられない物などを、子ども自身が知ることも大切
栗山「子ども自身に、自分が食物アレルギーであることや、何が食べられないかなどを理解させることも大切です。
小1になれば字も少しずつ覚えてきますから、買い物のときなどに食品表示を見ながら、『卵(たまご)って書いてあるのは食べられないんだよ』などと教えるようにしていってはどうでしょう。多少難しい漢字でも、除去食物の文字だけ覚えればOKです」
たしかに、少しずつでも子ども自身が理解してコントロールしていけるようになることが、子どものために大切ですね。
栗山さん、ありがとうございました。
食物アレルギーと給食に関しては、こちらhttps://mamanote.jp/news.html?id=870の記事もお読みください。
プロフィール
栗山真理子(くりやま まりこ)
NPOアレルギー児を支える全国ネット「アラジーポット」代表。
2人の子に食物アレルギー、喘息、アトピー性皮膚炎があった。その寛解をきっかけに2002年に「アラジーポット」設立。教育機関でのアレルギーの正しい理解によって子どもたちが安全に過ごせるよう社会基盤の整備を目指す。
アラジーポット http://allergypot.net/toppage
アラジーポットでは、アレルギーに対する学校での理解を深めるために、新入園・入学マニュアル作成しています。写真は「食物アレルギー」編で、このほかに「アトピー性皮膚炎」「小児喘息」編があります。
ダウンロード先はこちら http://allergypot.net/syokumotu.pdf