日本FP協会会員 CFP®〈サーティファイド ファイナンシャル プランナー〉。
国内損害保険会社に勤務した後、退職し2人の娘さんを出産。育児をしながらFP資格を取得、開業。
個人のマネー相談、企業での女性向け講演のほか、コラム執筆、ママ向けセミナーも行なっている。株式会社ライフヴェーラ代表取締役
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小学1年生 2016年9月29日の記事
こんにちは。ファイナンシャルプランナーの鈴木さや子です。
このコラムでは、小学生ママに知っておいて欲しいお金の情報をお届けしています。ちなみに私自身も小学生ママ8年目! 一緒に学んでいきましょう。
■「106万円の壁」って何?
「子どもが小学生になって子育てが落ち着いてきたので、そろそろ仕事をはじめたい」と考えているママもいるのではないでしょうか。
2016年10月から、パートタイマーの働き方に大きな影響を及ぼす「厚生年金や健康保険への加入拡大」という法改正が施行されました。
この改正によって出現したのが「106万円の壁」というもの。扶養内でいくら稼ぐかを検討する際に目安とされる「130万円の壁」に続く新たな「年収106万円の壁」が出現しました。
「130万円の壁」とは、社会保険料の支払い義務が生じるのを避けるため、働き方を調整して年収130万円までに収入を抑える心理的な壁のこと。
しかし今後は一部のパートタイマーの方に、年収106万円を超えると社会保険料を払う義務が生じます。どのような人が新たに加入対象となったのか、簡単に下のフローチャートで確認してみましょう。
※厚生労働省HPを参考に筆者作成。
ご注意いただきたいのは、加入対象の判断基準はあくまで1か月あたりの賃金が88,000円以上かどうかということ。賃金によっては年収が106万円を超えていなくても対象になる可能性があります。
■「106万円超え」の家計への影響
年収130万円以下のため、これまで社会保険料がかからなかった会社員の妻の場合、今後もし対象者に入ると、大きく手取りが減ってしまいます。たとえば年収120万円の場合、厚生年金保険料・健康保険料・介護保険料として、合計約14,500円(※1)引かれます。
これは年額にして約17.5万円もの減収で、所得税や雇用保険料と合わせると、手取りは約100万円にまでなってしまいます。夫の会社からもらえる配偶者手当がもらえなくなった場合は、その影響はかなり大きなものに。
※1:協会けんぽ・東京都の場合/現行介護保険料は40歳以上のみ
対して夫が自営業の方は、負担が楽になることが多いです。なぜなら、これまで第1号被保険者として自力で支払わなければならなかった社会保険料を、第2号被保険者として社会保険に加入することで、勤務先が半分持ってくれるから。このように夫の働き方によって、影響は異なります。
■社会保険加入のメリット
それでは、家計のために今後は「106万円の壁」を越えないようにした方が良いのでしょうか。一概にもそうは言えません。なぜなら社会保険に入るメリットも実にたくさんあるからです。
<社会保険に入るメリット>
・年金が増える(老後・障害を負った場合・亡くなった場合)
・仕事を連続3日以上休んだ場合、傷病手当金として給料の2/3を最大1年半もらえる
・出産した場合に、産前・産後休暇中に出産手当金をもらえる
ちなみに、年収120万円の方が20年間同じ年収で働き続けた場合に将来増える年金額は、おおよそ年14万円。65歳からもらえた場合、80歳以上に長生きすれば、20年間分の厚生年金保険料よりも多くもらえます。
■今後の働き方を考えるポイント
国の発表によれば、この制度改正の影響を受ける短時間労働者は約25万人です。では、今後の働き方をどのように考えていけばよいでしょうか。
今の手取り額を少しでも減らしたくない場合は、「手取りが社会保険料の負担増を上回るまで仕事量を増やす」か「年収106万円に抑える」のどちらか。前者であるなら、負担増を上回る目安である「年収160万円以上」を目指すのが良いでしょう。
まだ子どもが小さくて長時間働けない場合は、数年間の収入減は仕方ないと目をつぶり、将来を見据えて今の自分にできる働き方を選択するのも手です。
手取りは多少減りますが、人生トータルでの収支には大きな影響はありません。また、仕事を休んだ時の保障なども手に入る安心も得られます。
「106万円の壁」は、今後、従業員数が少ない企業にも広がっていく可能性が高く、しかも国では、配偶者控除を撤廃し「103万円の壁」もなくす方向の話し合いが進んでいます。
どのパートタイマーさんも、今一度今後の働き方をじっくり考える局面に来ていると言えるでしょう。
鈴木さや子さんの連載はこちら
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日本FP協会会員 CFP®〈サーティファイド ファイナンシャル プランナー〉。
国内損害保険会社に勤務した後、退職し2人の娘さんを出産。育児をしながらFP資格を取得、開業。
個人のマネー相談、企業での女性向け講演のほか、コラム執筆、ママ向けセミナーも行なっている。株式会社ライフヴェーラ代表取締役
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