野崎 誠(のざき まこと)
わかば皮膚科クリニック院長。国立成育医療センターなどを経て、2013年クリニックを開業。小さい子のいる母親などに向けて、毎週テーマを決めて勉強会を行っている。2人のお子さんのパパでもある。
HPはこちら
【小学1年生】と【年長】ママのお役立ち情報を配信!
生活・しつけ
年長 2016年8月5日の記事
ここ数年、デング熱やジカ熱といった、蚊が媒介する感染症が国内で確認されています。虫さされ対策として有効なのが虫よけ剤ですが、成分に不安があり、成分が体に悪そうだと言って、安心して使えないという人もいれば、1日に何度も塗っているという人もいるなど、使い方はまちまちなようです。
そこで、虫よけ剤の正しい使い方について、わかばひふ科クリニック院長の野崎誠先生にうかがいました。
●市販の虫よけ剤は、正しく使っていれば問題ない
今、お店にはいろいろな虫よけ剤が出ていますが、小さい子どもに使用するにあたってはは、その毒性などを心配する声もあるようです。
野崎 「虫さされ対策に使われる薬品類の成分としては、殺虫剤と、忌避剤の2種類があります。
殺虫剤は、虫に対して吹きかける殺虫スプレーなどの成分になるもの。その名の通り毒性の強い成分で、虫を駆除するために使われます。
これに対して、蚊を中心とする虫よけの成分として使用されているのが忌避剤であり、人間の発する汗やニオイを感知する蚊のセンサーを一時的に麻痺させることで、蚊が寄ってこないようにするもので、殺虫効果はありません。
この忌避剤として代表的なものが、ディートです。これは約70年も前に開発された化学成分で、現在でも虫よけ剤として最も効果があるとして、多くの製品に使用されています。ほかに、『イカリジン』という成分もありますが、これはディートの改良型と言っていいでしょう。
海外では、ディートの濃度が50%もあるような虫よけ剤も販売されていますが、日本では、最大でも濃度12%と定められています。ドラッグストアなどで手に入る虫よけ剤の多くは、10%程度です。最近では、もう少し高い濃度の虫よけ剤も開発されているようですから、近いうちに商品化されるかもしれません。
ただ、いずれにしても、ディートの毒性は極めて低く、安全性を心配する必要はないと思います。あえて危険性を挙げるとしたら、大量に摂取したときに血圧が下がったり、けいれんや発作が起きるなど、中枢神経系の症状が出る点です。でもこれも、よほど一度に大量に使わない限りは、まず心配ありません。大切なのは、決められた用法・用量を正しく使うことです。
小さい子がいるお母さんにはハーブなどを使った虫よけ剤を使っている人も多いようですが、ディートに比べれば、虫よけ効果は低いと言えます」
●虫よけ剤を顔には塗るのはNG
では、5〜6歳の子の場合、虫よけ剤はどう使えばいいのでしょう。
野崎 「虫よけ剤の効果は2〜4時間程度なので、外出するときに塗って、あとは適宜塗り直してください。1日に2〜3回程度であれば、心配ありません。
虫よけ剤には、スプレーやティッシュ、クリームタイプなど、いろいろな形状があります。
よく使われているスプレータイプですが、これは直接肌にかけるのではなく、一度手に取って塗るのが正しい塗り方です。ですから、どこまでついているかがわかりづらいんですね。一番使い勝手がよいのがティッシュタイプです。
塗るときは、手や足など露出しているところに塗り残しのないようにまんべんなく塗ってください。ただし、顔には絶対に塗らないようにしましょう。目や鼻、口などの粘膜は皮膚に比べて弱いので、忌避剤の成分が刺激となってしまうからです。顔の虫よけ対策としては、首やうなじのあたりまで塗っておけば十分です。
虫よけ剤と日よけ止めを両方使いたい場合は、日焼け止め→虫よけ剤の順で塗りましょう。虫よけ剤は、揮発して、塗った部分に滞留して蚊が来るのを防ぎます。そこに日焼け止めをかぶせてしまうと、虫よけ剤の濃度が高い状態で滞留するので、それ自体が刺激になってしまう可能性もあります。
また、キャンプなど、虫の多い場所で長時間過ごす場合は、虫よけ剤だけでは不十分です。目の細かな布地の長袖、長ズボンを着て肌の露出を避け、子どもが遊ぶ周りには蚊取り線香を置くなどの対策も忘れずに行いましょう」
必要以上に安全性を心配するのではなく、正しく使うことが大切なのですね。
野崎先生、ありがとうございました。
関連記事はこちら
毎週木曜にメルマガ発信中!
ご登録はこちらから↓
野崎 誠(のざき まこと)
わかば皮膚科クリニック院長。国立成育医療センターなどを経て、2013年クリニックを開業。小さい子のいる母親などに向けて、毎週テーマを決めて勉強会を行っている。2人のお子さんのパパでもある。
HPはこちら
『ママノート』ツイッターやっています!フォローいただけたら幸いです。