榊原知美 さかきばら ともみ
東京学芸大学 国際教育センター准教授。専門は発達心理学・認知心理学。幼児の数概念の発達や子どもの知的発達に対する大人の支援などについて研究を行っている。『算数・理科を学ぶ子どもの発達心理学:文化・認知・学習』(ミネルヴァ書房)。
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生活・しつけ
年長 2015年8月25日の記事
前回は、子どもの文字や数に対する興味の伸ばし方について、東京学芸大学准教授の榊原知美先生にうかがい、親子でのゲーム遊びなどをご紹介しました。今回はさらに、生活の中で、文字や数に興味を持てるようにするにはどうすればよいかについてお聞きします。
●子どもが興味のあることを文字や数につなげていく
親子でしりとりなどの言葉遊びやすごろく、トランプなどのゲームを楽しむことのほかに、子どもが文字や数に自然にふれていくためにはどんな方法がありますか?
榊原「直接、文字や数に関係のないような遊びでも、大人の持っていきかた次第で、子どもの興味につなげることができます。
これは幼稚園での例なのですが、子どもたちが砂場で大きな山を作っていて、『すごーい、山が高くなった!』『○mくらいあるね』と言い合っていました。
そこで、先生が『じゃあ、測ってみる?』と言って、紙の定規のようなものを持ってきて測り始めたんです。このように、子どもが夢中になって遊んでいる中に、ちょっと工夫を加えるだけで、子どもの中に『数』だけでなく『高さ』とか『長さ』『重さ』がすっと入ってくるんですね。
保育の専門家ならではの技術ともいえますが、お子さんと遊ぶ機会の多い親御さんにも参考なるのではないでしょうか。
たとえば、自分の身長やリリアンを編んでいる子に『どれくらい編めたかな?』と長さを測ってみたり、電車に夢中な子には、駅の名前を読んでいくとか、車両の数を数えて『こっちの電車とあっちの電車、どっちが長いかな?』などと聞いてみてもいいですね」
●生活の中での文字・数の体験が学校で役立つ
ただ文字の書き方を覚えたり、計算問題を解くというよりも、生活に役立つ形として接することが大切なんですね。
榊原 「文字や数というのは、それだけ覚えてもあまり意味がなく、使って初めてよさがわかるものです。それがわかると、子どももますます興味がわいてくるのではないかと思います。
お手伝いや片づけといった生活の場面でも、文字や数にふれる機会がたくさんあります。『りんご、何個ある?』とか『このお肉の重さ測ってね』『このお菓子、みんなに分けてあげて』など、いろいろな作業を子どもに手伝わせるといいでしょう。分けるという作業などは、割り算などの算数の基礎にもつながっていくんですよ。
1年生の算数の授業は、子どもがそれまで積み重ねてきた経験を足場にして、新しい理解を生み出すように進められています。つまり、それまで生活の中で身につけてきた文字や数を使った経験の豊かさがものをいうんです。あせって『お勉強』させるよりも、入学までに生活の中での文字・数体験をたっぷり重ねていけるようにしてください」
子どもの自立や家事の手伝いなどの生活習慣を身につけるのにも役立って、一石二鳥かもしれませんね!
榊原先生、ありがとうございました。
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榊原知美 さかきばら ともみ
東京学芸大学 国際教育センター准教授。専門は発達心理学・認知心理学。幼児の数概念の発達や子どもの知的発達に対する大人の支援などについて研究を行っている。『算数・理科を学ぶ子どもの発達心理学:文化・認知・学習』(ミネルヴァ書房)。
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